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#185 暑さのあまりヘンテコなショートストーリー登場
しおりを挟む今日の最高気温は、47度だった。
もはや外はフライパン。アスファルトが恋をしてジュウジュウいっている。
エアコンはもう悲鳴すらあげない。暑い、を通り越して、熱い、いや、熱烈だ。
その日の午後、僕は室内でアイスを溶かしながらうたた寝していた。
すると、どこからか声が聞こえた。
「……やっと、目を覚ましてくれたね」
耳元に、湿ったような、でもどこかドライな声。
目を開けると、目の前に数字が立っていた。具体的には「気温47℃」が、擬人化されて立っていた。火山みたいなドレスを着た女性だった。ツヤツヤと汗が滴り、まるで蒸気機関の女神。
「私は今日の気温。あなたに会いにきたの」
「え? なんで?」
「だって……ずっと見てたもの。クーラーの設定を28度にして、耐えるあなたを。打ち水して空を見上げるあなたを。私、抑えきれなかったの……」
僕はのぼせていたのかもしれない。いや、これは恋だ。そう錯覚するくらい彼女は情熱的だった。
「私と、溶けあってくれない?」
そう言って、彼女は僕に触れた。
次の瞬間、部屋の空気が一瞬で沸騰した。アイスは蒸発し、観葉植物が「ちょっ、ちょっと待っ……」と言いかけてから干物になった。
そして気がついたら、僕は冷房の効いた救急車の中で目を覚ました。
おでこに大量の冷えピタ、体に冷却剤。
周囲の看護師たちが「今、47度に告白されたって言ってましたよね」と、そっとメモを取っていた。
それ以来、気温が30度を超えると、僕の心臓がドキドキする。
もしかして、彼女、また来るんじゃないかって。
いや、むしろ彼女の熱を体の内に感じることがある。
それが夏というものだ――。
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