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#18 神の憂鬱 (ほのぼの)
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神も大いに悩むのである。
その原因は、神自身が作りたもうた人間。己の欲望のためにどこまでも他者を犠牲にする彼らは浅ましく、悲しかった。
なぜ人間はこうなのかと、神は毎日のように心を痛めた。そこへ側近が進言した。
「いっそ、一度滅ぼしてしまっては」
神もそれを考えなかったわけではない。ここまで荒みきってしまった人間には、むしろ滅びこそが救いなのではないか。
ついに神は人間を滅ぼすと決断した。
神は雲に乗り、下界を覗き見た。手に持った杖を振りかざせば悪性のウィルスがばらまかれ、ものの数日ですべての人間は死に絶える……。
「おじいちゃん!」
後ろから聞こえた声の主は、今は天使の卵、ゆくゆくは神の後継者となる孫であった。どうしたと聞くと、
「立派な神様になるために人間のことを勉強しなくちゃって思うんだ。だから下に降りようとしたの」
その純粋な瞳で見られては、本当のことなど言えない。神はしばし沈黙したあと言った。
「では私も一緒に行こう。人間は素晴らしい生き物だぞ」
かくして、ひとりの小さな天使のおかげで人間は滅びを免れた。側近もこれには苦笑した。
神も孫には弱いのである。
その原因は、神自身が作りたもうた人間。己の欲望のためにどこまでも他者を犠牲にする彼らは浅ましく、悲しかった。
なぜ人間はこうなのかと、神は毎日のように心を痛めた。そこへ側近が進言した。
「いっそ、一度滅ぼしてしまっては」
神もそれを考えなかったわけではない。ここまで荒みきってしまった人間には、むしろ滅びこそが救いなのではないか。
ついに神は人間を滅ぼすと決断した。
神は雲に乗り、下界を覗き見た。手に持った杖を振りかざせば悪性のウィルスがばらまかれ、ものの数日ですべての人間は死に絶える……。
「おじいちゃん!」
後ろから聞こえた声の主は、今は天使の卵、ゆくゆくは神の後継者となる孫であった。どうしたと聞くと、
「立派な神様になるために人間のことを勉強しなくちゃって思うんだ。だから下に降りようとしたの」
その純粋な瞳で見られては、本当のことなど言えない。神はしばし沈黙したあと言った。
「では私も一緒に行こう。人間は素晴らしい生き物だぞ」
かくして、ひとりの小さな天使のおかげで人間は滅びを免れた。側近もこれには苦笑した。
神も孫には弱いのである。
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