どうやら私はバッドエンドに辿りつくようです。

夏目

文字の大きさ
11 / 320
第一章 夜の女王とミミズク

11

しおりを挟む
「ーーああ、赤白の薔薇の花のようですわね」

 軽やかな声を発して、淡青色のドレスを纏った令嬢が私達の前に姿を現した。
 妖艶な顔立ち。墨を垂らしたような髪は軽くねじれ、高い位置でむすばれ、青薔薇をさしている。
 サラザーヌ公爵令嬢。このフォート王立学校の貴族令嬢のなかで一番の家柄を持つ、大四公爵家のご令嬢だ。
 貴族の子息のなかで流行っている目元の刺青を、彼女はしている。彼女はリストのように赤ではなく青で、しかも花ではなく、蝶の刺青だ。
 彼女の後ろにはぞろぞろと令嬢達が引きづられるようについてきた。
 サラザーヌ公爵令嬢の信者達だ。サラザーヌ公爵令嬢に倣って、目元に青の刺青をさしている。
 ご令嬢達は、自分が崇拝する人間の真似をやりたがる。サラザーヌ公爵令嬢の真似をするのもそのためだ。

「ご関係が良好なようで、羨ましい限りですわ」

 お辞儀をしたサラザーヌ公爵令嬢は、私に視線を流し、そしてそのままギスランに熱っぽい視線を送った。
 昔から、サラザーヌ公爵令嬢はギスランのことを好いていた。それはもう、可哀想なぐらいだ。ギスランに会うときは、化粧も衣装もばっちりにし、香水をふりかけ、繰り返し声をかける。ほんの一瞬の邂逅のために、何時間も浪費するのだ。
 恋というのは恐ろしいもので、人から時間感覚や合理性というもの奪ってしまうらしい。
 ギスランは女狂いなので、サラザーヌ公爵令嬢だけには微笑みかけないのに。それだけの努力をしてまで、多くの中の一人。満足できるものなのだろうか。恋というのは理解できない。

「サラザーヌ公爵令嬢。ご機嫌よう。今日も一段とお美しいです。言葉では言い表せぬほど。あなたの美しさに胸が早鐘を打つ意味が、お分かりになる?」

 ギスランは立ち上がると、サラザーヌ公爵令嬢にむけて妖艶に微笑んだ。うっとりとサラザーヌ公爵令嬢がギスランを見つめる。後ろにいる取り巻き達も、興奮したように顔を赤らめている。
 ギスランとサラザーヌ公爵令嬢の付き合いも同じ大四公爵家ということで長い。だからか、自然に近付き、サラザーヌ公爵令嬢の取り巻きにも挨拶を交わしている。
 面白くない。
 というのも、私とサラザーヌ公爵令嬢の仲は良好ではないのだ。サラザーヌ公爵令嬢は私を目の敵にし、慇懃無礼な態度で接する。ギスランがいるあいだは猫を被って、従順な姿を演じているのだから、なお憎い。
 貴族らしい目聡さで、粗探しをし私を追い詰めることが大好き。
 ざらざらとした憎悪で私の肌を舐めるのだ。この女。
  長年の悪意の思い出を流し込むように紅茶を啜る。
 視線を感じた。サラザーヌ公爵令嬢が悪意のこもった眼差しで見下している。
 嫌な予感がした。

「カルディア様はご無事ですか? 校内を荒らしまわっていたあの化物が、姫のお命を狙ったとお聞きしました」
「なんとか生きているわ」
「貴族令嬢は六人も亡くなってしまいましたの。わたくしのお友達も、その一人でした。いつもあの席にいた子です」

 サラザーヌ公爵令嬢が視線で示したのは、いつまでも泣いている彼女達の席だった。
 分かっていたことを、指摘された。彼女達の一人が、犠牲者の一人だということぐらい、気付かないはずないじゃない。

「悲しいわ。とても。でも、カルディア様が生きていらっしゃるなら、喜ばなくては。ええ、彼女達が亡くなった意味がありませんもの」

 声だけ聞けば、悲痛だ。
 だが、正面から見える顔のにやつき。許しがたいぐらい、はっきりと笑っている。
 友達が亡くなって悲しいという顔ではない。
 人を貶めようとする、不愉快千万な顔だった。

「我らのカルディア様、お笑いください、健やかに。その笑い声が彼女達への悼辞となりましょう」

 なにをとち狂ったことを言っているのか。
 不謹慎すぎる言葉に、こいつこそ悪魔ではないのだろうかと思わざるをえなかった。
 笑い声が悼辞?
 人の死を、なんだと思っているのだろうか。
 私は、まだこんな人間よりは人間らしいのではないか。
 だが、そんな私とは裏腹に、サラザーヌ公爵令嬢の取り巻きは、彼女の言葉を輪唱した。

「ええ、お笑いください」
「健やかに」
「それが彼女達への手向けの花になる」
「カルディア様、泣かれないで」
「お笑いください、高らかに!」

 私は、悪夢に迷い込んだのだろうか。
 ちらりとギスランの顔を覗き見る。
 ギスランはにこにこと笑っていた。彼女達の狂気に同調しているように思えた。
 私が間違っているのだろうか。この女達が言うように、笑うべき? それは、おかしいのではないか。人が死んでいるのだ。なぜ、笑える?
 笑えと命じる?
 貴族とは悪魔の異名なのか。
 じいと彼女達の狂った言葉の雨を耐える。
 しばらくすると、興奮していた彼女達はだんだんと落ち着いてきた。
 サラザーヌ公爵令嬢はようやく、私達に会いに来た理由を思い出したらしく、私に封筒を渡してきた。
 きっちりと印で封をされたものだ。なかを確かめると、お茶会への招待状だった。

「五日後、お茶会を開きますの。カルディア様も、ぜひお越しください」
「考えておくわ」

 なにが目的だろうか。
 慎重に封筒のなかに招待状を戻す。

「カルディア様にもご満足いただけるような、素敵なお茶会にいたしますわね」

 サラザーヌ公爵令嬢は、艶美に微笑むと、踵を返して、ぞろぞろと女達を引き連れ去っていく。人の出入りが慌ただしいサロンには令嬢達の胸が焼けるような香水の臭いが充満していた。
 立ち上がって窓を開く。この臭い、眉をしかめたくなるな。
 外からは花弁が舞い込んできた。
 その花弁を捕まえようと手を伸ばすと、後ろからギスランに抱きかかえられた。

「カルディア姫、私とお茶会をしていただける?」
「どういう意味?」
「サラザーヌ公爵令嬢だけ、ずるい。私も貴女様とお茶会がしたいのですが」
「なぜ?」

 くるりと回転し、ギスランが正面から私を抱き締めた。
 銀髪に顔が埋まり、息がしづらい。
 ぽんぽんと肩を叩くと、ギスランが私の顔をすくい上げた。

「カルディア姫と、な、仲良くなりたいので」
「は?」
「サラザーヌ公爵令嬢はカルディア姫と仲良くなりたいからお茶会に招待したのでしょう? でも、私の方が、カルディア姫と仲が良いですよね?」

 駄目だ。ギスランとの会話に失敗した。
 おそらく、先ほどの令嬢達の興奮にあてられ、意味がわからないことを口走っているのだろう。
 仲良くってなんだ。私とお前は友達か?
 真剣に婚約者をを変えたくなる。

「カルディア姫は私よりも仲のいい人間をつくってはいけません」
「あのね、ギスラン」
「構うのも弄ぶのも仲良くなるのも、私だけにしてくださらないと」

 よし、即刻、婚約者の替えを探そう。

「お前ね」

 ぐりぐりと頭を押さえつけていると、なぜか出て行ったはずのサラザーヌ公爵令嬢が戻ってきた。
 私達を見て、目を見開き、顔がみるみるうちに蒼ざめていく。
 そのうち顔が赤らみ、穴があきそうになるほど睨み付けられる。
 翠色をした瞳が嫉妬の炎で炙られている。
 すくみそうになるのを必死で堪える。私はあの瞳に二度も負けるわけにはいかない。恐怖を無理矢理、優越感にかえる。この女はギスランに軽く窘められるだけ。私とは比べものにならないぐらい、矮小な女だ。
 そう思うと胸がすっとした。悪意の塊である言葉の数々も、彼女の羨望と嫉妬の塊だったと思えば、馬鹿馬鹿しくなる。
 そもそも、この女は貴族で、私は王族だ。この女に邪険に扱われる理由がない。
 不当な行為をされているのだから、怯える必要はどこにもない。

「サラザーヌ公爵令嬢」

 ギスランが私を下ろそうとした。それを掴んで止める。ぎゅうと力強く抱き着くと、ギスランが動きを止めた。
 サラザーヌ公爵令嬢の顔が歪にゆがんだ。
 やはり、私に嫉妬しているのだ。

「どうかしたの?」

 声をかけたときに気がつく。彼女がさしていた青薔薇がなくなっている。
 床を見渡して気がつく。薔薇の花は、踏みつけられ、ぼろぼろになっていた。私とギスラン、どちらが踏みつけたのだろうか?

「薔薇の花を落としましたの」

 そういいつつ、彼女は薔薇が無残な姿になっていることに気がついた様子だった。
 ギスランが、私の髪を撫でながら、機嫌をとるように抱き締め返すと、体を離した。
 サラザーヌ公爵令嬢がほっと安堵の表情を浮かべる。どうにも憎らしい表情だった。
 だが、次の瞬間、その憎たらしい表情が様変わりした。引き攣った、失望に酷似した表情になったのだ。

「次は落とされてはいけませんよ」

 そういって、ギスランは踏み潰されたままの薔薇の花を拾い上げ、サラザーヌ公爵令嬢の髪にさしたのだ。
 ぽろりと青い花弁が舞い落ちる。その光景が、やけに印象的だった。
 ギスランはそのまま、手で頬を撫で、そのまま耳へと指を滑らせる。
 サラザーヌ公爵令嬢になにか言葉を溢した。すると、彼女はすぐに後ろを振り返り、サロンを出て行く。
 なんだったのだろう?
 首を捻っていると、ギスランがつかつかと近づいて、再び私を抱き上げた。

「ねえ、カルディア姫。邪魔されてしまいましたね?」
「ギスラン、先ほど、なにを?」
「いえ、ただ、その花も似合うと」

 その言葉を、サラザーヌ公爵令嬢はどう受け止めたのだろうか。
 悔しい?
 あるいは、それすらも甘美な囁きだったのだろうか。
 彼女の嫉妬は、見当違いのものだ。私とギスランは政略結婚をするつもりだ。思い合ってなどいない。けれど、彼女はその地位が欲しいのだろうか。愛もなく、ただ、血を求められるだけの存在が、相貌を歪ませるほど妬ましい?
 空疎な妄想だ。彼女は誤解している。
 きっと彼女が私の地位を手に入れれば、憤るに違いない。こんなものを望んでいたのではないと。
 なのに、なぜ、彼女は私のことをああまでも疎んじるのだろうか。それすら想像できぬ間抜けだからか。それとも、それすら考えられぬほどギスランは魅力的な男性なのだろうか。

「ふぇ……」

 考え込んでいた私の思考に、泣き声が入り込んでくる。
 彼女達はいまだ、泣いたまま、席を離れようとしない。
 身体中を火で炙られているような苦痛が襲った。言葉で詰られることや体を害されるよりも恐ろしい、耐えることのかなわない痛みだった。この痛みに名前があるならば教えて欲しかった。きっと、誰もが抱く、そういう感情ではない。悔しくて、悲しくて、自分を殺したくなるような歯痒さを味わう。彼女達の泣き顔を見るだけで、心が殺される。
 平然と私が過ごしていいのか。なにも感じないといったように、毎日穏やかに。
 昏い絶望に支配されそうになったとき、ギスランが同じように昏い絶望をまとった声を出した。

「浅ましい連中だ」

 冷淡な言葉の響きに瞠目する私の手をひき、ギスランが言葉とは裏腹な穏やかな微笑をつくる。

「カルディア姫、多く笑う者や泣く者に情を向けてはなりません。それらは赤子のように見栄っ張りで、構われたがりなのです。過剰な態度で気をひこうとしている。感情のこもった声とはよく通るものだ」
「それは」

 よく笑うギスランが、そうなのだろうか。
 なぜ、今、諫言を?

「なぜ、ここで彼女らが泣いているか、お分かりになる? なぜ貴女様の前で泣いているか。声を上げれば、気をひけると思っているからです」
「なぜ、私を」
「貴女様に力があるので」
「力が」

 私には、王族の血が流れている。それは、力なのか。

「マリカ嬢を失った彼女らは下級貴族なのです。より強い者の庇護に預かりたい。しかし、サラザーヌ公爵令嬢は下級貴族に興味はない。相手にされねば不遇の扱いを受ける。まるで平民のように、見下される」
「泣いているのよ」
「貴族ならば、あのように無様に咽び泣くことはありません。あれはだから、豚なのです。平民という豚だ。いや平民より品性のない、知のない家畜です。貴族ではありません」
「なにを、言っているの。ただ、悲しくて泣いているだけじゃない」
「カルディア姫、貴族とはそういう生き物です。情を打算で塗り潰す。だが、見栄が邪魔をし、見目を気にする」

 ふっと、ギスランは謎の微笑を唇に漂わせた。

「秘密を教えて差し上げる。サラザーヌ公爵家は没落寸前なのですよ」

 反射的に顔を上げた私に、ギスランが笑みを深めた。

「現当主は愛人に宝の山を貢いだのですよ。おかげでサラザーヌ公爵家の財政は貧窮を極めている。美しいドレスを仕立てる余裕もない」

 サラザーヌ公爵令嬢はただ、虚飾の権威で飾りたてているだけ。もし、本当にサラザーヌ公爵令嬢が没落寸前ならば。いけないと思いつつも、邪な思いが心に忍び寄ってきた。
 踏みつけた薔薇の似合う女。
 優越感の海に、心が沈殿していく。
 ギスランの指が、私の喉をなぞる。
 初々しく、ギスランの頬が高揚している。頬を思わず触ると、こそばゆいというように体を動かされた。軽く顔を伏せ、どうして触るの? とばかりに私を見つめる。なんで、恥じらってるの、こいつ。

「可愛いカルディア姫、あのように貴女様の気をひきたくて泣くものやサラザーヌ公爵令嬢のように欺瞞で真実を隠すものもいる。惑わされてはなりません」
「ギスランも私を惑わす?」
「そうであって欲しい?」

 疑問を疑問で返された。
 顔を顰め、むっとしているとギスランがはにかみ、腕の中に私を捕らえた。
 温かな温度を感じ、目を閉じる。そうすると、耳にも目蓋をしたように音が遮断された。
 私の気をひきたいーー。
 ねえ、ギスラン。誰もが、本当はお前の気をひきたいのでは?
 沈殿したはずの心が浮き上がってくる。
 力があるのは私ではなく、お前ではないの、ギスラン・ロイスター。
 私にはなんの力もない。それをお前という華で飾っているだけなのでは。
 激しく心が揺さぶられた。ギスラン・ロイスターがいなければ、私は軽んじられる?
 はじめて、ギスランに奇妙な執着が湧いた。思慕ではなく、愛情でもない。薄暗く、惨めな気持ちだった。ギスランは、権利を具現化した存在なのではないだろうか。
 ギスランは、私の髪に何度も口付け、愛おしそうに撫でている。
 人間だと、当たり前のことをぼんやりと思った。頭の芯が熱くて、考えるのが難しい。それでも、もう一人の私が、ギスランに執着することを止めようとする。

「ギスラン、私は……」

 なにかを口走りそうになり慌てて止める。
 きょとんとしたギスランが、私を不思議そうに見つめた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

家出を決行した結果

恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。 デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。 自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。 ※なろうさんにも公開しています。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

逃した番は他国に嫁ぐ

基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」 婚約者との茶会。 和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。 獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。 だから、グリシアも頷いた。 「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」 グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。 こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?

秋月一花
恋愛
 本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。  ……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。  彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?  もう我慢の限界というものです。 「離婚してください」 「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」  白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?  あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。 ※カクヨム様にも投稿しています。

処理中です...