どうやら私はバッドエンドに辿りつくようです。

夏目

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第一章 夜の女王とミミズク

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 目覚めて数日が経った。
 サガル兄様ーーサガルはあのあとすぐに予定が詰まっていると部下に怒られながら名残惜しそうに出て行ってしまった。
 どうやら無理をして看病をしてくれていたらしく、数日間、本当に重要な用事以外では外出を控えて様子を見守っていてくれたのだ。
 嬉しいやら気恥ずかしいやら、サガルには感謝しかない。
 さっさと元気になろうと思ったはいいのだが、そう事は簡単に進まなかった。
 体が食事を全く受け付けないのだ。
 食べてもすぐ吐き出してしまう。毒味をされても駄目だった。
 最初の一週間は寝込んでいたので胃が受け付けないのだろうと判断されていたが、だんだんそうでないとわかるとサガルが用意した清族は見るからに動揺した。
 美味しそうな食べ物を並べてもだめ。水で流し込んでもだめ。
 体力は落ち、みるみるうちに窶れていった。体力も気力も落ちる一方だ。
 水は飲めるので、それを頼りに生きている。
 けれどいよいよ我慢が効かなくなって、嫌がる使用人達を言い含め、ギスランに手紙を出した。


 スープも駄目。
 お菓子も駄目。
 紅茶も駄目。
 吐き出してしまう。
 けれど数日経ってもギスランからの返答はない。

 食事をまともに取れない。寝台の上にいることは苦痛だった。
 ふらふらする体をどうにか気力で持たせて、屋敷中を散策する。
 サガルが言っていた通り、使用人達は私にとって都合が良かった。
 どこかに不具がある子ばかり集められていた。
 殆どの使用人達は耳が聞こえなかった。喋ることができないように口を縫い付けられている子もいた。
 皆とても若く、機敏に動く。私の要求にも瞬時に反応してくれる。
 いつも毒味役を買って出てくれる給仕役のメイドは義眼だったし、いつもベットメイクをしてくれる従僕は弦のようなものを喉の中に入れて声を出していた。
 普通と言われるような子は誰もいない。
 外に出たら憐情を注がれるだろう不具者しかいない。
 けれど、快適だった。ここには普通はない。誰も自分に対して卑屈があって、居心地がいい。
 ここには、私より優れた人間はいない。
 そんなことに価値を見出している自分が心底怖くて、今はそうやってでしか自己肯定できないのに、吐き気がした。



「死人が生きてるときは、生きてるって言わなくちゃならないの、知らないのかよ」
「もお、うざいんだけど。俺に絡む時間があるなら、牢屋にぶち込んでやってもいいけどお」
「ははは。そのクソうざい口調、死んでも変わらないんだ。死んでも治らなかったわけだ」
「うっざ。つうか、黄泉の国行ってきたのはそっちでしょ? ハルとかあんたの主とかまとめて死んでてくれたら都合がよかったのに。おかげでこっちが人探ししなくちゃならなくなったの、分かってる?」
「うるさいな、性悪男。ああ、そうか、リュウはハルの身長、妬ましかったもんなあ。カンドもそれなりに図体でかかったし、そりゃあ、みんな死ねって思うわけだ」
「はあ?! 別に、そんなんじゃないし。つーか、筋肉眼鏡のお前だって、ハルより身長低かったでしょ?!」

 ある日、屋敷の中庭に面する窓を何気なしに見ていた時のことだ。突然窓の外が騒がしくなった。
 見てみるとなぜか馭者の恰好をしたイルと使用人の服装をしたリュウが口論していた。
 ……なんだあれ。
 ハルの名前も聞こえてきた。気になって、階段を降り、中庭へと向かう。
 中庭につく頃には、全身汗でびっしょりになっていた。フラフラで、目の前が全体的に光っている。左右に顔が揺れる。地面も揺れている感覚がした。

「わわ、姫様、大丈夫ですか?」
「……イル?」

 後ろから声とともに、体を支えられる。
 振り返ると銀色の縁の眼鏡が見えた。

「ひっどい顔ですね。うっわ、がりがりだ。骨だけになってません?」
「……阿るような敬語、似合わないわね」
「まじか。って、まずそれですか? 言っとくけど、あんまり親しい口調で会話しているとギスラン様に俺は殺され、貴女は監禁ですよ。お互い嫌でしょう」
「リュウは?」

 おやとした顔をされた。見ていたことを気付かなかったらしい。

「リュウを知っているんですか? ギスラン様、知ってる?」
「ああ、そっち。知っているわ。リュウと会ったとき、ギスランもいたもの」

 はあーとイルは大きくため息をついた。

「あの方、だから俺に行けと言ったわけだ。どうりで、お使いなんて餓鬼のような真似をさせられたわけか。ギスラン様もおひどい方だな」
「本当の本当に、ギスランの部下なのね」

 イルに手伝ってもらいながら、中庭に設置された椅子に腰かける。

「そうですよ。ギスラン様の剣奴、イルです。改めまして、ご贔屓のほどを。とはいえあんまり贔屓にされると殺されるんで、ほどほどに可愛がって下さい」
「あのリュウは、元空賊のリーダーであるリュウ?」
「姫様ってば、結構情報通だ。ハルか、ギスラン様から聞いたんですかね。そうですよ」
「ハルは死んだって」

 がしがしと頭を掻いた。

「なんでか生きていましてね。どうせ、清族の術でどうにかしたのでしょうよ。可哀そうなのは、モニカだ。声まで失ったってのに。その衝撃を与えた本人はクズなんで、名前さえちゃんと覚えてない」
「モニカ、まだ、声が?」

 モニカに会ったのはあの日だけだ。
 それ以来会っていない。ハルは精神的なもののせいで声が出ないのだと言っていた。まだ、治らないのか。

「リュウの奴が死んで、ずうっと喋れないままです。あのダメ男のなにが気に入ったのかは知りませんが、あそこまでダメージを負うと思うと、恋は末恐ろしいものがありますよねえ」
「リュウに会ったら、治るかしら」
「会わせない方が得策だと思いますけどね。なんたって、生きてサガル様のもとにいたとなると、いろいろ意味合いが違ってしまうので」

 そうだ、そういえば、なんでリュウがここにいたのだろう?
 サガルの下についているような発言をしていたが、あいつは空賊のリーダーだったはず。
 うーん、あれ? なんだか、変ではないか?
 違和感に眉を寄せる。だって、そうなると、空賊とサガルが繋がることになる。
 空賊は麻薬や魔薬をサラザーヌ公爵令嬢に流していた。そして、空賊は軍の魔薬を盗んでいる。盗んだせいで暴動が怒り、カリレーヌ嬢の父が殺されて、それがきっかけで今回のレイ族の騒ぎになった。でもその前にリュウが鳥人間の時にモニカを庇って死んでいた。でも生きている。……って、え?
 だめだ。深く考えると、何が何だか、分からなくなる。
 サガルはいったい何に関わっているんだ?
 リュウはなぜ生きていたのに、死んだことにしたんだ?

「ま、今日はリュウの話をしに来たわけではないですよ、姫様」

 考え込む私をイルは無遠慮に揺らした。

「ここの警備、馬鹿みたいに厳重なんですよ。入り込むのも苦労した。丸め込むのに金も飛んでいっちゃいましたし」
「そうだ、イルは馭者になったの?」

 いくら見ても、イルの服装は馭者のそれだ。
 似合っているが、そもそも学者然とした風貌だ。もっと似合う服装があると思う。

「まさか。俺はいつでもギスラン様の剣奴ですよ。まあ、俺の得意なのは剣だけじゃありませんけど。射撃の腕も一流です」
「じゃあ、潜り込むためにそんな服を?」
「当たり前じゃないですかやだー。こんな姿じゃなきゃ侵入できなかったんです。ギスラン様の名前を出しても突っ返されたんですよ。おかげで肩が凝ってしかたありません」
「ギスラン……ギスランの命でここに来たのね? あいつは元気?」
「やっと、その話題になって下さった。リュウのことは気にしても、ギスラン様のことはそれほど、ですか?」

 不服そうに言われて困窮する。
 今、頭が回っていない。目の前のことしか反応できなくなっている。
 ギスランはイルのこと送ってきた。命令を下せるほどには、無事なんだ。
 息を吐き出すと熱い。

「でも、さすがにそうなるか。いつから、食事してないんです? 顔真っ青だし、目も落ち窪んできてる。ギスラン様がこれを持って行けっていうのも無理ない話か」
「これって?」

 イルから差し出されたのは、茶色の袋だ。中からミルクの香りがする。
 口をおさえる。吐きそうになった。

「ミルク煮です。ギスラン様が毒見したものです。これなら、食べられるだろうって」
「む、無理よ。あいつが目の前で食べなきゃ」

 本当に毒が入っていないか分からないじゃないか。

「大丈夫ですよ。俺も目の前でやるようにって言われましたし。ほら、食べるので、食って下さい」

 そういって、イルは袋の中から瓶を取り出した。赤い蓋を回して、付属したスプーンですくい口の中に入れた。
 喉がこくりと動くのを必死で見つめていた。
 イルは私の視線に気が付いてスプーンを振る。

「うまい。ほら、これで大丈夫でしょう?」

 スプーンでおかゆをすくい取るとイルは私の唇に突き付けてきた。

「あーん。ほら、口を開けて」
「…………」

 逡巡のあと、小さく口を開ける。
 喉の奥で吐き出したいという感情が蠢いている。
 けれど、とてもお腹が空いているのも事実だった。
 イルは口を開けた私に笑いかけ、スプーンを口のなかに突っ込んだ。
 喉の奥にスプーンの硬い感触がした。
 すくったものを舌の上に落とすと、素早く引き抜き、今度は私の鼻と口を塞ぐ。

「ん! っんー!」

 ばたばたと暴れるが、イルは難なくそれを抑え込んだ。口のなかにあるどろりとしたお粥が、今は千足を持った虫のように舌から喉へ向けて滑っていく。
 イルは嚥下するのを見送ると、片手を外して袋から水筒を取り出した。
 手が外れたと思ったら、今度は口内に水が入り込んで来た。水が鼻を上がっていく。つんと息が詰まった。
 咳き込んで吐き出す。
 ――なんだ、この眼鏡! 悪魔だったのか!?
 足を縺れさせながら、イルから逃げる。
 だめだ。虫の感触が消えない。
 人目も構わず、口のなかに指を突っ込んで吐き出したくなる。

「はは、まあ、そうなりますよね。でも、よかった。食べれたじゃないですか」

 ごほごほと噎せながら、イルを睨み付ける。

「すいませんね。ギスラン様には服装と臭いが変わっていたら無理矢理食べさせろと言われていて。文句ならあの人に言って下さいよ?」

「服と臭い?」と口を動かす。途中で噎せたが、イルには伝わったようだ。

「そうですよ。サガル様の好みにしちゃってまあ。せっかく、ギスラン様のものらしくなってたってのに」
「はっ、げほっ……はぁ、……だれが、ギスランのものよ!」

 呼気を落ち着かせ、大声で叫ぶ。
 脇腹が軋むように痛くなり歯を食いしばる。

「自覚ありませんでした? ああ、そう。ならいいですけど。美味しかったですか?」

 こいつ、頭がおかしい。
 普通に話していた時は全然そうは思わなかったのに、こうやってギスランの部下として接しているとイルの顔をした別の人物と話をしているみたいだ。

「この瓶まるごと食べさせろって命令されてるんで、気長に食べさせますよ」

 イルはそういうと瓶を指の先で突いた。

「その頃にはギスラン様がお嫌いなコロンの臭いも消えてるでしょ」

 眼鏡の奥の瞳が笑う。凶悪な殺人鬼の顔に思えた。



「ギスラン様、今後処理を押し付けられていて出るに出れない状態なんですよ。そもそも怪我だってまだ完治してない。なのに、コリン領では農民一揆や商人達の買い占め問題が発生。そして今回のフォードの一件ときたもので、体がいくつあっても足りないぐらいの忙しさなんです」

 ぐったりとした私を抱え起こしながら、イルが軽快な口調で言った。
 イルは悪魔だ。いや、悪魔以上の何かだ。
 今日から、怖い、恐ろしい、イルの順番で恐怖度を表すことにする。
 たぶんイルには私が同じ種族だと思われていない。
 野生の猫に給餌するときよりも手荒だった。
 この眼鏡、学者風だと侮っていた自分が恥ずかしい。こいつ、ばりばり肉体派だ。
 力でねじ伏せられた。

「鬼畜眼鏡……」
「ははは、よく言われます。でも、きちんと食べてないようだったし、丁度良かったのでは?」
「お前、一度口のなかにものを突っ込まれて鼻と口を塞がれた方がいいわ」
「やられたことならありますけど」

 不思議そうにイルが首を傾げた。

「え?」
「一度へまをやらかして敵側に拷問されたことがありまして。助けられたときにものが食えなくなったんですよねえ。そのときにギスラン様に。あの時は殺してやろうかと本気で殺意を抱きましたけど」
「だったら、私にやらないでくれる……?」
「でも、あの荒療治がなけりゃあ餓死してました。姫様はどうです?無理矢理でもなけりゃあ拒んでませんでした?」

 突然の食べ物に胃は拒否反応を示しつつあるけれど。そういわれてしまえば、確かにそうなのかもしれない。

「ギスラン様に感謝して下さいね。俺は、あの人のためにわざわざ貴女の世話を焼きにきたんですから」

 あんなことされて素直に感謝の念が浮かぶほど被虐趣味をしていない。

「さて、では腹も膨れたところですし、本題に入りましょうか」
「本題って、食事させに来ただけではないの!?」

 すみやかに帰ってほしい。
 今更だが、イルに対してふつふつとした怒りがこみあげてくる。
 どれだけ、食事するにあたって恥ずかしい真似をさせられたかと思うと頭痛がしてくる。

「まさか。事後処理についての情報を伝えにきたんです。サガル様に少しはきいていらっしゃると思いますが、俺はギスラン様に語れと言われたことも、絶対に喋るなと言われたことも口にするつもりですから、安心してください」

 それでいいのか?
 でも、助かる。この屋敷にいては情報がまったく集まらない。
 さっきまでイルに持っていた敵意が払拭できたわけではない。けれど、情報は欲しい。
 背筋を伸ばして、聞く体制に入る。イルはくすりと嫌らしく笑った。

「では、ココ・リジ―の話からしましょうか」


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