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第二章 王子殿下の悪徳
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しおりを挟む王宮のような煌びやかさだった。屋敷に入ると広く取られた玄関がある。遠くにある幅広の階段が二階へと繋がっているのが見えた。
階段の両脇には陶器の花瓶に花が活けられている。
甘い花の香りが芳しい。
男爵夫人は枯れ木のような人だった。毛皮で身を包んでいるが、ポキリと折れてしまいそうなほど細い。厚化粧で顔は真っ白だが、笑うとガラスのヒビのように皺が出る。
「カルディア姫! お会いできて嬉しいわ!」
差し伸べられた手をやんわりと握り返す。夫人は大袈裟な動作で喜び、楽しそうに笑う。
「ぜひ楽しんで下さいね? 今日はいろいろと趣向を凝らしておりますの」
「おや、新しいもの好きの夫人が言われるのでしたら、それはよいものなのでしょうね」
「勿論よ、ギスラン様。うふふ、お父様にそっくりなお顔立ちの華やかさ! 素敵だわ」
「夫人はお上手でいらっしゃる。私など、とんでもない。夫人の美しさと比べたら、些細なものです」
ギスランはその後も私の隣で夫人に対する美辞麗句を囁き続けていた。ありえないほど愛想がいい。
私はもう根を上げて蹲りそうになるのを堪えるばかりだ。
ホールには百人ほどだろうか、著名人が押し寄せていた。学士、政治家、付き従う清族の前には語学者として名の知れた子爵がいる。他にも各国の大使達が軒並み顔を出していた。
夫人の人脈の広さが窺い知れようと言うものだ。
ギスランはなんとか夫人と別れ、私をエスコートする。
現実離れした美しい大理石の円柱。女神を讃える構図が幾重も描かれている。頭上には巨大な格天井。亡くなった男爵の肖像画も見事だ。社交界の中心にいる人のホールにふさわしい。
途中で、大使や貴族達に挨拶され、会釈する。囲まれると厄介だが、ギスランが喋ってくれるので心強い。
「今日はお目にかかれて光栄です」
「姫のお美しいご尊顔を拝謁出来、光栄でございます」
「そういえば、新しい学校での暮らしはいかがですか?」
「……ええ、皆によくしてもらっています。皆、親切で素敵な方達ばかり」
当たり障りのない返答を口にするだけでも、肩が凝りそうだ。表情筋も引き攣って、ぴくぴくしている。
「レゾルール、古城を改築した絢爛豪華な学舎だとお聞きしております。一度訪れてみたいものです」
「是非、いらして。でも、校内には少しお気を付けを」
「おや、どうしてですか?」
「意地の悪い清族が迷子にさせる呪いをかけたのです」
トーマのことを思い浮かべながら告げる。
隣で聞いていたギスランが小鳥のような声で笑った。つられて、周りの人々も笑う。
「姫はお可愛らしい方ですね」
「あら、ほんとですのに。……いけないわ。どうしてか苦しい。皆さまとの会話が楽しすぎたせいかしら。ギスラン、どうか私を椅子まで連れていって下さらない?」
「私の可愛い姫。大丈夫ですか? 皆様、御前を失礼いたします」
心配そうな顔達に見送られ、椅子に辿り着く。
ふうと小さく息を吐いた。
ボーイからラム酒を受け取ったギスランが毒味をしたあと私に差し出してくる。受け取って、口を湿らせたあと、ギスランにしか聞こえないような声の大きさで、疲れたと漏らす。
「部屋に帰りたい。童話を読みたい……」
「カルディア姫はよく頑張られましたよ」
「……サガルに挨拶したら、頃合いを見計らって帰りたい」
「勿論です。それにしてもあの大使達、カルディア姫にお声をかけていただける名誉に浴したとは許せません」
「……上手くできていた? 大使となんてあまり話したことないわ。失礼なことを言っていなかった?」
「失礼だと感じる心の方が穢れています。なにかあったらギスランがどうにかして差し上げるので、心配しないで?」
めちゃくちゃなギスランの慰めが嬉しくてたまらない。
姫なんて進んでなろうとする人間の気がしれない。差し障りのない会話をするというのは一種の才能だ。私にはそれがとても難しいことだ。サラザーヌ公爵令嬢の姿を思い出してしまう。深い苦悩に落ちる前に、首を振って話題を変える。
「視線を感じる……」
「カルディア姫が夜会に参加されるのは珍しいですから」
それだけではないだろう。明らかに、私を値踏みする視線だ。こう言い換えてもいいかもしれない。私の粗を捜して、見つけ出したらほらやっぱりと嘲笑うためのものだ。
粗相をしないようにと気をつめると、胃が痛くなってきた。
大丈夫。うまくやれる。うまくやってみせる。
わあと周りが騒がしくなる。何事かと見渡すと、人ごみのなかにサガルの顔が見えた。
若く美しい女性を連れている。魅力的な白いドレスを着ていた。豊満な胸が遠目でも分かる。
胸が掴まれたようにうめき声を上げてしまう。サガルの隣に女性がいる。腹立たしさが噴き出してくる。
サガルは周りに声をかけながら、迷わず私の目の前にやってきた。
「やあ、カルディア」
「……サガル。ごきげんよう」
「ごきげんよう。ギスランも、久しぶりに会えて嬉しいよ。コリン領はその後、変わりないか?」
「清族達の尽力のおかげで、疫病の感染は最小限に防ぐことができております」
ギスランの視線が、エスコートされてきた女性へと注がれる。
「失礼ですが、そちらの女性はいったいどなたでしょうか?」
「美しいだろう? 口説くつもりかな」
「私はカルディア姫の僕。愛を囁くのも姫だけです。ですが、確かにお美しい。ご挨拶させていただいても?」
女性はギスランに愛らしい笑みで答えた。首元に輝くダイヤの首飾りが見事だ。だが、貴族ではないだろう。社交界に通いなれている様子ではあるが、それでもぎこちなさがある。
ギスランが女性の手の甲に口づけし、上目遣いをした。
傍から見ても壮絶な色香を漂わせている。
この女狂いめと衝動的に罵倒したくなった。気を持っているふりが、あまりにうまい。
「ギスラン・ロイスタ―と申します。貴女のお名前をお聞きしても?」
「アンナと申します。ギスラン様。お会いできて光栄だわ」
外国語の発音だ。子供のように甘えるように母音を使う。
「ああ、お名前に憶えが。アルジュナの歌姫でいらっしゃいますよね?」
「あら、嬉しいわ。そうですの。アルジュナからやってきましたの。次のオペラ座の公演で、主役として出ますのよ」
「『女王陛下の悪徳』のですか?」
「もともとは違う子が歌うことになっていたのだけど、急に体調を崩してしまったらしくてね。それでアルジュナの歌姫を呼び込んだというわけだよ」
納得したとばかりにギスランは相槌を打った。だが、私は全く納得できていない。どうしてアルジュナの歌姫がサガルと一緒に夜会にやってくるのだろうか。
「紹介が遅れてしまったね。アンナ、こちらが僕の妹のカルディア。少し人見知りをするが、根は真面目で優しいいい子だよ」
「うふふ、やっと紹介していただけたわ。お初にお目にかかります。姫。私、姫にお会いするのを楽しみにしていましたのよ」
「そう? 私も会えて嬉しいわ。アンナ」
「サガル様ったら馬車の中でも姫様のことばかり教えて下さるの。私は粗相をしてはいけないから、マナーを教えて下さいとお願いしましたのに」
「それは言わないでとお願いしただろう?」
「私のお願いを無視したからですわ」
二人の砕けた雰囲気に気まずさを感じる。
オペラの演目が『女王陛下の悪徳』だと聞き少し胸が高鳴ったが、彼女の口から仔細聞きたいとは思えなかった。
いつもならば、一も二もなく飛びつきたい話題だ。童話は私の血肉で、癒しで、救いだ。
だが、彼女の顔を見ていると妙にむかむかしてしまう。顔は綺麗だし、媚びるように私を見ないのは好ましいと感じるのに、サガルの隣で笑っていると思うだけで、どろどろとしたへどろのような感情が止まらない。
「わ、私、他にもご挨拶したい方がいますので、失礼させていただきます。ギスラン、行きましょう?」
「分かりました。お二人とも、失礼いたします」
ギスランの袖を引っ張り、その後何人もの貴族達に挨拶して回る。視界の片隅ではいつもサガルを探していた。
サガルは火に群がる虫のように人々に囲まれている。隣にいるアンナの姿が邪魔だった。どうか消えてくれないかと身勝手な願いを込めた。サガルの前から消えて、仕事場であるオペラ座に戻るといいのに。
しばらくするとダンスが始まった。軽快で華やかな音楽が流れ、男女が二人組を作って曲に合わせて踊り出す。
サガルはアンナと一曲踊ろうとしていた。頭がかっとなって、私もギスランと踊ることにした。
ダンスはいつぶりだろうか。ろくに練習もしていないので、ギスランに促されないと、手の置き方や足運びまで疎かになってしまう。
「カルディア姫、私に体を預けて下さい」
息がかかるような距離でギスランが囁く。
紫の瞳がとても綺麗で見惚れるように頷いた。
体をギスランに預けると、一気に体から重さが抜ける。ギスランに操られるまま足を出して、ゆるゆると体を動かし、腕を捻り、背中に手を回す。そのあと手をギスランの頬に当てて体ごと回転させる。
「お上手だ」
息切れを起こす私と違い、ギスランは穏やかに微笑み、褒めた。
「ダンスは嫌い」
「私は好きです」
「お前がいないとこんなに踊れないもの」
「では私とだけ踊って下さればいい」
全体に合わせて場所を移動する。
周りを気にする余裕がない。踊りと目の前のギスランしか考えられない。
「お前が何人に同じような台詞を吐いてきたのか、考えるだけで気分が悪くなりそう」
「カルディア姫だけです」
詐欺師のような口の上手さだ。ギスランが私のことを思っているのは理解している。だが、ならばなぜ他の女性達と関係を持っていたのか。ギスランの確かな気持ちは分かるのに、軽薄な付き合いがあるせいでどこか半信半疑の状態だ。
なにか考えがあるのだろうが、それとは別の生理的な部分が拒絶反応を起こす。
アンナに対する嫌悪感もそれに似ているような気がする。生理的にサガルに近付く女性は嫌だと思ってしまう。これはサガルを取られたと思う妹の悋気なのだろうか。それとも、なにか別の恐ろしい感情の塊なのだろうか。
「どんな女と踊っても、楽しくない。媚びた視線と猫なで声には飽き飽きです。カルディア姫に叱られるほうが、私はいい」
「お前の被虐趣味には付き合いたくない」
「意地悪な言葉も好きです。カルディア姫はなにを言っても可愛らしい」
ギスランの足の動きとともに場所を移動する。ぴょんぴょん飛び回る銀色の髪を掴みたくなった。
「お前は最後にはそうやって煙に巻こうとする」
「煙に巻いているつもりはないのですが」
「嘘つき。可愛いとさえ言っておけばいいと思っているのでしょう?」
不満を口にすると、紫色の瞳が見張った。
「どうしてお疑いになるの。ギスランは本当のことしか言っていません」
「口は偽りばかりを吐き出すもの。本当のことなど、胸にしか秘められていないでしょう?」
「……心臓をあげられたらいいのに」
力の入った呟きに動揺した。
ぐらついた体をしっかりと抱きとめて、ギスランはそのまま踊りを続行する。
「カルディア姫に私のなにもかもを差し上げたいな」
「なにもかも?」
「私の人生のすべてを差し上げる。だから、幸せになっていただきたいです」
冗談だと切り捨てようとしたのに出来なかった。ギスランが幸せそうに微笑んでいたからだ。
「自分ではなく、他人の幸せを祈るなんて、変よ」
「カルディア姫は難しいとお思いですか」
「できないに決まってる。私には無理だもの」
「では私が証明します」
左右に揺れながら、宣誓するようにギスランが言った。
「ギスランがずっと幸せにしてあげる」
硬質な決意がにじんだその言葉に嫌な予感がした。
ダンスの輪から抜け出した私は婦人用の椅子に腰かける。ギスランはボーイから水を受け取ってくると探しに行ってしまった。
ブランクがあった割には踊れた方ではないだろうか。ひっそりと心のなかで自分を褒める。そうでもしないと、ここで座っているのも耐えられない。
「僕と踊ってくれませんか」
差し出された先には手袋をした手があった。腕から肩、首、顔とたどっていく。
美しい瞳とかち合って、たじろいでしまう。
「でも、アンナと一緒にいたんじゃないの?」
「僕と踊るのは嫌かな」
質問には答えずに、サガルが尋ねてくる。その言い方はとてもずるい。嫌だという選択肢を潰してしまっている。
「嫌じゃないです……」
「ならば、お手をどうぞ、お姫様」
ぎゅっと握られた手が熱くてたまらない。今、サガルに手を握られているのは私だ。アンナじゃない。優越感で顔が燃えそうになる。こんなに綺麗な人にダンスを誘われたことが、仄暗い愉悦の感情に変化していた。
音に合わせて、ステップを踏む。サガルと呼吸を合わせるのは簡単だ。自然にできる。
「約束を破ったね」
真正面にある顔から笑みが消えた。それだけで鳥肌が立った。
「僕以外とは踊らない約束だった。あの男と踊ったね」
「ギスランは婚約者だもの」
「それを知らないと思ったの? 知っていてお前に言ったんだよ。誰とも踊らないで、と」
「でもアンナと踊ったでしょう?」
サガルは驚いたようにしたあと、すぐに熱っぽい瞳で私を見た。
「お前、嫉妬したの?」
顔に油をかけて火をつけたように熱い。
その通りだった。さっきからずっとアンナのことが気に入らず、たまらなかった。目にいれるのも嫌なのに、気になって仕方がなかった。サガルにエスコートされているだけで、憎たらしい。
「僕はアンナと踊っていないよ」
「……嘘つき」
「本当だよ。お前は違うみたいだけどね」
責めるような視線で見つめてしまう。信じられない。アンナに誘われていたじゃないか。
「約束しただろう。カルディア以外とは踊らないって」
「……だって、アンナと踊るサガルなんて見たくなかったのだもの」
「本当にそう思っているの?」
不審そうな眼差しを向けられる。カッとなりギスランと踊ったのは本当のことだ。衝動的に、行動してしまった。
「……僕はギスランが憎らしいよ」
言いようもない喜びを感じた。今すぐ抱きしめたくなる。私と同じように、サガル兄様も私のことを思ってくれているのだ。だから、ギスランのことが気に入らない。
サガルが嫉妬してくれている。肌の下にある血が沸騰するような高揚感に滾る。
切なげなサガルの表情に、目の前の胸に飛び込んでしっかりと腰に手を回したい気持ちが募る。
「僕以外と踊らないで」
同じことを思ったのだろうか。サガルは私の腰を抱き、胸に顔を埋めさせた。想像以上に硬い筋肉に驚いた。小さい頃から一緒にいたせいか、華奢な体だという認識が強く、男性らしさを感じたことはあまりなかったのだ。とくりと心臓がはねた。こんなに美しい人であっても、体は男になっているのだと思うと異性であることを意識してしまう。
抱きこまれたことによってダンスをすることが出来なくなった私は胸に顔を押し付けたまま、じっと待った。サガルの高鳴る心臓の音が妙に心地よかった。自分と同じ速さで鳴っていたからだ。
急に首筋に痛みが走る。どうしたのだろうと驚いて顔を上げると、サガルも同じように目を丸くして驚いていた。まるで自分のしたことが信じられないというかのようだった。
首筋を手でなぞる。湿った部分はくぼんでいた。噛まれたのだとそれで分かった。
あ、あと意味もない声を上げる。
恥ずかしかった。痛かった。だが、それ以上に嬉しかった。
自分のなかに産まれる感情が意味不明で、混乱でなにも考えられなくなる。
音が変わった。それに合わせて、サガルの腕のなかから抜け出す。名前を呼ばれた気がするが、応えることはできなかった。
――これはなにかの夢に違いない。
唾液で濡れた首筋をなぞる。サガル兄様の歯型が私の肌に刻まれている。
どうしてこんなことをしたんだろうか。どうして。どうして?
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