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第三章 嫌われた王子様と呪われた乞食
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しおりを挟む「それでそんな変なフードしていらっしゃるんですか、イーストン伯」
「からかうな、商人風情が」
くすくすと嫌味な笑みをこぼしながら、蘭王は続けた。
「トヴァイス様もノア様も見世物小屋のように奇天烈な格好であらせられる。このまま売りに出したらさぞ好事家が集まりそうですね」
「蘭王の舌も、切り取って売りに出せばさぞ高額で取引されそうだね」
「おや! これは辛辣だ。というかそれほど高値で売れますかね?」
四枚あった招待状は私とノア、トヴァイス、そして蘭王の分だった。悩んだ結果、仕方なく、蘭王を招集した。
こいつは私達の姿を見るなり興奮し、あちこち触ってみたがった。
意外なことにトヴァイスは蘭王のことをそこまで邪険にはしなかった。口は相変わらずつんけんしているが、言葉に圧がない。そういえば、オペラ座で二人は蘭王に協力していたのだったか。奇妙な縁があるものだ。どんな縁だか、知りたくないが。
「蘭王は相変わらず喧しい。……そこまで元気ならば、三不管に言い聞かせて欲しいな。このままじゃあ俺が介入するって」
「ゾイデック領は管轄外でして。俺って王都がテリトリーですし? だいたい、ランファ系列は無数にあるんです。同じ国のものだからと言って全て解決出来るとか思わないで下さいよ」
「蘭王の名はただの飾りか? 悲しいほど役に立たないな」
先行する三人のあとをとぼとぼとついていく。何かあるといけないからと、護衛としてイルもついて来ていたが、流石に中まで連れ歩くことは遠慮し、屋敷の前で別れてしまった。
サンジェルマンの屋敷は外観は今風だ。
左右対称になるように部屋や窓が組まれている。横もあるが、それ以上に高さがある。尖塔がついており、屋根には二羽の風見鶏。屋敷自体を花の蔓が刻まれた柱が支えている。縦長で、屋敷自体のシルエットが聖堂や教会を思わせた。
だが、内装は一転して華美さがない。天井は高く、備え付けられた窓から射し込む光だけが照明だ。室内は異様なほど暗く、冷えていた。大理の床は磨き上げられているが、模様も絨毯も敷かれてはいない。だから歩む足が滑る。
階段は螺旋を描いており、手すりは綺麗に磨かれていた。
触ると少し湿っている。陰気な雰囲気がそう感じさせるのだろうか。
上へと案内されていく。応接間は二階にあるらしい。階段先には回廊のギャラリーがあった。絵画がずらりと並べられているが、派手な絵や宗教的な意味を持つ絵はなかった。
質素な村人の日常を切り取ったような、粛々とした清廉さが漂う絵画だけだ。
「そもそもどうしてお前が招待されたんだ」
「いやあ、心当たりはあるんですが、絶対信じませんよ」
ちらりと私を見られた気がする。何か私に用があるのか?
「実は夢で、お会いしたようで」
「……夢?」
「あ、ほら信じないじゃないですか!」
ノアもトヴァイスも現実主義者だ。信じられないのも無理はない。たとえ、自分の身に変なことが降りかかっていたとしても、蘭王の台詞はなるほどと納得できないものだ。
そもそも夢の中で会ったというのは、下手な口説き文句のようだ。信じる方がどうかしている。
「夢で会えたら招待状を差し出すのか? この家の主はお優しいことだな」
「なんじゃ、褒めてくれるのか?」
こつこつと音を立てながら、少年が廊下の端から歩み寄ってくる。
薄紫色の髪を肩口まで伸ばした品のいい顔をしていた。
肌は白く、太陽の臭いを感じない。子供らしく高揚した頬には三つ、並んだほくろがある。
白い軍服を着ていた。胸元にはメダル型の勲章がぶらさがっている。襟元には鷲のマーク。お遊びで作ったというには、きちんとした衣装だ。
たが、軍人とも思えない。訓練された軍人にしてはあまりにも肌が綺麗すぎる。まるで人形だ。
「おや……。これは、イーストン卿ではあるまいか。今でも探し回っておられるのか? 亡者どもの安息の地とやらを」
ゆっくりと目を細め懐かしそうに、トヴァイスに話しかけてくる。
「知り合いなの?」
小さな声でこっそり尋ねると、トヴァイスは苦虫を噛み潰したような顔になる。
「顔も見たことがない子供だ。だいたい、なんだ、安息の地とやらは。俺はそんな場所を探したことは一度もない」
それはそうだ。トヴァイスにはイーストンという領地がある。わざわざ探す必要はない。一体誰と勘違いしているのだろう。
「ゾイデック卿もおられるとは。お二人が反目せずにいらっしゃるのは、なんというか、母が生きておられたら驚かれたであろうな。 祖母ならば、この光景を見て爆笑必至に違いあるまい」
ノアが突然後ずさり、私の後ろに隠れた。くねくねしながら近付いてきたので、少し不気味だ。
「知らない人。……でも、なんか変。まるで俺達によく似た誰かを知っているみたいな……」
「勘違いはしているでしょうね。……でも、流石に挨拶はしなくては。招待してくれたのだし。お前が、サンジェルマン?」
「いかにも、儂がサンジェルマンであるが。……おぬしはあの時の女だな。よくもまあ、儂の寝ぐらに土足で踏み込んでくれたものだ。儂からきつい仕置をしてやろうと思っていたところよ」
「……?」
何を言っているんだ?
私も、この少年と会うのは初めてだ。あの時と言われても、思い当たる節がない。
「何を言っているの? どこかで会ったことがあった?」
「何を言うておる。リスーーいや、今はザルゴ公爵だったか? あやつを交えて一緒に食事をした仲だろうに」
「そんな記憶全くないのだけど」
そもそもザルゴ公爵と食事した記憶はほとんどない。サンジェルマンと食事した事実はないはずだ。
「……おかしなことを。いや、そういえばあやつ夢だなんだと言っておったな。いやあ、間違えた。他の者と勘違いしておったようだ」
白々しくすっとぼけている。だが、この感じ、追求してものらりくらりとされそうだ。
「この屋敷、トデルフィ公爵も出入りしているのか」
剣呑な表情を湛えながらトヴァイスが視線を向ける。警戒心がありありと浮かんでいた。
「……まあ、知り合いではあるのでな。さて、お客人方、こちらへ。まずはお茶会と洒落込もうではないか」
案内された先にあったのは部屋の奥から手前までぐんと伸びる長机だった。部屋の中心にあるそれ以外目立った家具や絵画はない。食事をする、ただそれだけのためにあるような部屋だ。貴族の屋敷にありがちな趣向を凝らした花瓶や剥製、タペストリーがない。
椅子はダンテスカのように上下の形が対称になっていた。秤のように湾曲しており、座るとすっぽりと腰を包む。
トヴァイスは内装が気に入らないようだ。派手好きな男だから、質素すぎるのが気に召さないのだろう。逆にノアは心地よい様子だ。物がほとんどないのが気に入ったらしい。
蘭王は……うん。金目のものがないが探している。歪みがない。性根が商人すぎる。
「紅茶はギルの花を抽出したものだ。薫り高く、甘い。口に合うとよいのだが」
使用人が注ぐ紅茶の色は美しい青色だ。ギルといえば、ハルが育てていた花だ。麻薬の元にもなるという。
「こんなもの飲めるものか。俺は聖職者だ。麻薬はやらない」
心外だが、トヴァイスと同意見だ。麻薬を自ら飲もうという気にはなれない。
「俺はギルは好き。美味しいし、甘い。初心者が飲むには最適だ」
ノアは何も考えずに手に取り、カップを傾けた。溢れた青い液体がノアの喉を流れ落ちていく。
「何か混ぜている? 甘さが引き立ってる。悪酔いはしなさそうだけど」
「ノア様ってだいたいの麻薬への耐性があるんでしたっけ。ところで、俺の方で珍しい薬を買ったんですよ。まだ市場に出回っていないんですが、よろしければどうですか?」
「檸檬ならやったけど、あれ、いまいちだ。中毒性があまりないから商品として売れない」
「よ、よくご存知で……」
「どこの領主だと? 出回る品物には目を通している」
何も聞こえなかったことにしよう。ゾイデックは悪徳の都。人を腐乱させ、虜にするのが得意だ。麻薬や女、ゾイデックにいれば、望むもの全てが手に入るとまで言われている。
麻薬や売春は街を支える資金源でもある。深く考えると、ゾイデックを批判したくなる。
他のことを考えよう。例えば、目の前にいる少年のことだ。
「俺達をここに招待した理由はなんだ。そもそも、どうして俺達をここに招待した?」
「『カリオストロ』を開いただろう? 伝わるのじゃよ。儂には。旧時代の遺物とはいえ、万能ゆえな」
「……お前、なぜ『カリオストロ』を開いたと知っている?」
「おかしなことはあるまい? 儂は『カリオストロ』の司祭の一人だからの」
「なんだと?」
サンジェルマンは冗談を言っている様子ではなかった。彼は悠然と紅茶を啜る。焦れたように再度、トヴァイスが声を上げた。
「女神カルディアを信奉する聖職者たる俺の前で、貴様なんと言った?」
「何度でも言ってやるぞ、イーストン卿。……いや、イーストン卿もどき、と言った方が正しかろうな。おぬしはイーストン卿の姿をしておるが、それは『カリオストロ』の恩恵によるものじゃ」
「この国で、女神を軽んじるものには制裁が下ると知らないのか? 口は災いを招く。軽口は、死を意味する」
「女神など馬鹿らしい。恋狂いな神は死に絶えて欲しいぐらいなのでな。だいたい、よくも知りもしない神を、よくそこまで信じられるものじゃな」
神のことをよく知らない。そう言われても困る。女神は私達の生活に馴染みすぎている。産まれた時から祈りを捧げているようなものだ。知らないから、祈りを捧げないというものでもないと思う。
だが、トヴァイスの言い方は過激だ。女神を信奉していなくても、この国では生きていける。
威圧して、情報を引き出そうとしているのかもしれない。
「サンジェルマン、お前は『カリオストロ』の幹部……本を読めるものなのね?」
「いかにも」
「あの本には変な術が仕掛けてあって、そのせいで私達はこうなった。それで合っている?」
「ああ『カリオストロ』はおかしな書物でな。原本を写したことで、変な呪が宿った。神の背の皮を剥いで作られたとも言われるほど神聖なものだからだろうか?」
あれは写しだった。やはり元になる本があるのか。でも、どこに?
「『カリオストロ』について、詳しいようだから尋ねるけれど、どうしてこんな変な姿になるの?」
「変、か。まあおぬし達の認識ではそうじゃろうな」
「まるでこの姿が特別じゃないみたいに言うんだね」
「はて、そうじゃな。おぬし達の姿は儂には画一的過ぎる。だが、人の認識とは移り変わるもの故なあ」
「問答はこりごりだ。これを治す方法を知りたい」
ギルの紅茶を退けて、トヴァイスが前のめりになる。
「それは病気の類ではないぞ」
「俺にとっては病気も同じだ」
「病気ではなく、変異だ。治癒は不可能で、完治は無理だ」
きっぱりとサンジェルマンは言い切った。完治は不可能。咄嗟にノアを見つめてしまった。彼がこのなかで一番体が変化していて、影響が出ている。
ノアは透徹とした瞳で、サンジェルマンを見つめていた。その瞳からは感情を伺うことが出来ない。
「『カリオストロ』に大人しく入ればいいだろうよ。貴族など肩が凝って仕方がなかろう。この際、何もかもを放り投げてはどうだ?」
「――ふざけないでくれ」
感情の読めない瞳が、殺気立つ。ノアの低い声に震えあがる。
「俺は『名誉ある男』だ。投げ出すぐらいならば、この使えない足を斬る」
咄嗟に席を立って、ノアの腕を握る。
この殺気は本物だ。売り言葉に買い言葉のような軽々しい言葉じゃない。
「ノア、やめろ。お前の足も、肌もきっと元に戻る」
「だから治らんと言うておるだろうが」
心臓が大きく脈打ち、汗が流れそうになる。ノアは自分の体に頓着しない。このまま方法がなければ、足を斬り落としてしまう。
「……サンジェルマン。どうして指摘してやらないんです? ノア様、自分の肌を見て下さい」
誘導されて、ノアの体を見る。手から鱗が消えていた。顔の鱗もなくなっている。触ってみると弾力があるが、少し硬い男の肌だった。どういうことだ。なぜ、消えている?
「ねたばらしが早すぎる男は嫌われるぞ、商人」
「焦らす男も嫌われますよねえ。いっそのこと、お姫さんにどちらが嫌味な男か決めてもらいます?」
しれっとこっちを巻き込んできた蘭王は、笑顔でこちらに視線を投げてきた。サンジェルマンは興が削がれたように肩を竦める。
「……ふん。まあ、よかろう」
「よくない。どういうことだ、これは?」
私と同じようにトヴァイスはノアに近付いて頬をべたべたと触った。
「言ったであろう。それは変異だ。言ってしまえばお前達の体が清族になったようなものじゃな」
「清族に?」
つまり、『乞食の呪い』にかかった清族ということか。
「さっきの紅茶になにか何かを混ぜたのよね?」
「呪いのために開発された薬をな。強すぎて、苦痛を感じるため、ギルと混ぜた。痛みも緩和するだろう」
やっぱりだ。清族が使用する薬が、この体には効くのか!
「痛みがあるのか?」
「痛みに悶絶して、一ヵ月は立ち上がれないものもいたとかいないとか」
ノアの表情に変化はない。激痛を感じている様子はないが、そもそも、ノアは麻薬を常用している。様子から、麻薬が切れている様子はない。そのせいで痛みに鈍くなっているのではないか。
「ノア、体調に変わりはないか」
「……体温が、熱い。頭がぼおっとする」
額を触る。茹るように熱い。
「凄い熱よ! はやく横になって」
「……これぐらいは平気」
「馬鹿を言うな。お前はこの性悪な餓鬼の実験台にされたようなものだ。おい、サンジェルマン。休ませる場所はないのか」
「案内させよう」
指を鳴らし、サンジェルマンが侍女を呼び寄せる。
「いい、一人になる方が危険だ。カルディアを襲った『カリオストロ』の司祭を信用できない」
手を貸そうとした侍女の手をノアは振り払う。
「信者が独断で行ったこと故、少しは信用して欲しいのじゃがな」
「見苦しい言い訳は聞きたくない。トヴァイスもカルディアも、これを飲めば元に戻る?」
「服用し続ける必要はあるがな。繰り返せば体が順応し、痛みも減る」
ノアの体はみるみるうちに人間のものへと戻っていく。私はそっと視線を外した。下半身が露わになっていたからだ。
「服が必要だな。サンジェルマン、用意しろ。流石のノアも今度は拒否出来ないだろうよ」
ころころと笑いながら、サンジェルマンが侍女を走らせる。
青い色の紅茶が私を笑うようにさざ波を立てた。
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