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第三章 嫌われた王子様と呪われた乞食
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しおりを挟む「その後、魔眼の調子はいかがですの。何か変な夢はご覧になった?」
心配そうな顔で見つめられ、口籠る。わざと乱暴に振り払ったのに、なかったことのように心配される。嫌な態度だと憤慨される方がましだ。ヴィクターの対応はむず痒い。
本当に私を心配しているのではないかと期待が生まれる。事実そんなことはないだろうに、もしかしたらという気持ちがある。
何度か唇を湿らせる。話すべきか迷い、きちんと話すことにした。魔眼についてあれこれ忠告してきたのはヴィクターだ。話しておくのが筋だろう。
「……夢を、見たわ。ねえ、お前はユリウスという名前に聞き覚えはない?」
「ユリウス?」
「ヨハンが殺した、大魔術師を名乗っていたユリウス。ええっと、戦でライドルに勝利したーー帝国の人間。死に神を信仰している男だった。あ、いや、それは夢の中の話ね」
頭がこんがらがる。ヨハンが殺したユリウスは現実のユリウスで、帝国出身で死に神を信仰していたのが夢の中のユリウスだ。
「そうだ、ヴィクターという名前も夢で聞いたわ。天帝の信奉者で清族。神降ろしがどうのってユリウスは言っていた」
頭に浮かんだ言葉を並べ立てている自覚があった。まとめようと思って何度か額を指で小突く。
「――帝国?」
「ん。そう、帝国。そう言ってたわ」
「夢の中で、ライドルはその帝国に敗れたということですの?」
頭でまとめながら頷く。案外、ヴィクターの方が私よりも理解していそうだ。
「でも、現実ではヨハン様が、そのユリウスという魔術師を倒しているのですわね」
「そうよ。この間、学校が襲われたでしょう? そのときに、ユリウスの亡霊のようなものが出たのよ。それで、そいつが大魔術師だと名乗ったの。こっちのユリウスが死に神を信奉していたか分からないけれど、少なくとも夢の中のユリウスは死に神を信仰していたわ」
「死に神……ねえ」
ヴィクターは考え込むように指に顎を乗せて考えを舌にのせる。
「帝国と聞いて、最初に出るのはロスドロゥですわね。大戦当時、あの国は帝国を名乗っておりましたから」
「そうなの?」
「ええ。ロスドロゥの人間は、獣人帝国アストロの伝説を信じているんです。そして、自分たちこそアストロの血を受け継いでいるのだと。ご存知かしら、獣人帝国アストロはその名の通り、獣と人間の混血が住う国。半魔や取り替え子、人魚などの人間とは異なる姿をした者達がいたとされておりますの。勿論、そういう伝説なのですけれどね」
「獣人帝国アストロ?」
アストロの伝説は聞いたことがない。けれど、その名前は聞いたことがあった。
「ま、待って。ロスドロゥというのは、属国のロスドロゥよね?」
「ええ、属国としてライドルに吸収されるまではロスドロゥ帝国と名乗っていましたのよ」
「……夢の中でアストロの名前を聞いたことがある。でも、夢の中ではアストロは存在していた国のようだった」
ヴィクターは唇を開いたり閉じたりして、結局押し黙ってしまった。夢で見たという言葉は便利すぎる。なんでも、見た、聞いたといえば流石に都合が良すぎると疑念が湧いてくるはずだ。
そもそも、私自身疑心暗鬼の状態だ。本当に夢で見たのか? どこかで聞き齧ったのではなく?
こんな調子なのに、ヴィクターに尋ねること自体間違いなのではないだろうか。
「ユリウスという名前は、わたくしは聞き覚えがありませんわ。次に会う時までにお調べしておきます」
「えっ、いいの?」
「ええ、白状してしまいますけれど、はなおとめの夢見を、わたくしはとても興味深いと思っておりますの。はなおとめでなかったら、被検体として保護しておりますわね」
さっき口をパクパクさせていたのはこれを言おうか言うまいか迷っていたからか。気持ちを殺して一生言わないで欲しかった。
「勿論、はなおとめにはそんなことをしませんわ。けれど、他の清族は違う。真に信用出来る人間以外に口外なさるのは慎み下さいね」
「お前にも打ち明けなければよかったと思っているところよ」
大笑いしている。私は本気なのだけど。
真剣に聞いてくれているのは分かるが、脅しのようなことをされると、警戒心が生まれる。
「ところで、詳しくお聞きしてもよろしいかしら。どれくらいの頻度で夢見をされるの?」
「よく、分からない。とても、突然なの。連続することもあれば、しないこともある」
「見た後に記憶の混濁や欠落はございますか?」
「あるわ。混濁が、特に酷い。自分がどこにいるか分からないことが殆どね。混乱する。……この前は、起きた時、全身が濡れていたわ。寝台で寝ていたはずなのに他の場所にいた。水に沈んでいく夢だったから、ぞっとした」
「……夢を見ている間、動き回っていたということですの?」
「おそらくは」
医者の検診のよう。矢継ぎ早に尋ねられ、質問に答える事しかできない。
「夢見の内容はばらばら?」
「ええ、視点もばらばらよ。誰かを見ているようだったり、私自身に入ったり、誰かに話しかけられるような感じだったり」
「どれが一番多いですか?」
「私自身に入ることだと思う」
「そのとき意識は誰にありますの?」
「誰?」
首を傾げると、ヴィクターは一言一言をゆっくりと聞き取りやすいようにして説明してくれた。
「はなおとめ自身の意識が強いのか、それともその入った器の方の意識が強いのか。はなおとめ自身の言葉で喋りますか? それとも、器の思考で話が進む?」
「器……でも、夢の中では殆ど私の思考は溶けて混ざっているようなものよ。あるいは、本当に独立しているわ。意識ははっきりしているけれど、私は参加出来ない。舞台を観ているように、影響を与えられない」
「ならば、よかった」
ヴィクターは安心したように息をついて私をしっかりと見つめた。
「夢の中で、はなおとめ自身の感情で動いて喋るようになったら、尚更混乱が激しくなると思われますわ」
「そんなこと起こり得るの? 一度もないけれど」
「ないと断言出来る材料がありませんわ。それにもしかしたら夢の中から戻ってこれない。そんなこともあるかもしれませんわ」
ヴィクターの言葉は真剣で、からかいを含んでいない。私は唾を飲み込んで続きを促した。
「はなおとめの夢見はかなり特殊だわ。前例がなく、どう転ぶか見当がつかないここにトーマがいないのが口惜しいわ。討論したい。それに、ライがいないのも。精神的なケアは、彼がとても上手でした」
ライの名前が出たとき、ヴィクターの目から涙が溢れた。ぎょっとして慌てて手を伸ばす。頬から溢れる涙を拭ってやると、泣いていることに気が付いたようにへらりと笑った。
「ライはこの間、亡くなりましたの」
「――亡くなった?」
「トーマが最期まで看病をしていました」
血を吐いていたライを思い出して血の気がひいていく。二度しかきちんと話したことはない。けれど、知らない相手ではなかった。トーマも気を許していたようだった。
私は、トーマから何も聞いていない。あいつは私に何も言わなかった。
前髪を掴む。くそと悪態をつきそうになった。
「トーマは私に何も言わなかった」
戦の勲章ぐらいならば、仕方ないと納得できた。トーマは本当に何も言わないし、語りたがらない。それでも構わないと思っていた。あいつが言いたくなったら、言えばいい。
けれど、ライのことさえ教えてくれなかった。看病していたことも。あいつにとって、私はそういうことすら言いたくない相手だった。
胸がじんじんと疼く。
あいつは言う必要を感じなかったから言わなかっただけだと答えるだろう。
けれど、感情が暴れる。冷静に受け止められない。自分がライの死を知らなかったから気に食わないと思っている。ただの我侭だ。
「……そうですの。トーマらしい。あの子は何も言わないの」
「ヴィクターはトーマと付き合いが長いの?」
ぽろぽろとまた頬に溢れていく。きっとしばらくは止まらないだろう。手で拭ってやる。ヴィクターはされるがままだ。
足元にはいつの間にか雑巾がいて、いつでも床に落ちていいように準備していた。
「そこまで長くもありませんわよ。初めて会ったときは、どちらかというと嫌われていましたし。ラサンドル派は、清族の中でも少人数です」
あのトーマが嫌っていた?
無視していたではなく、か?
何歳ぐらいの時に会ったのだろう。トーマがかなり幼い頃ではないか。
「人の数で物事が決まるのはどの階級でも同じこと。わたくし達ラサンドル派は嫌われ、疎まれておりました。元々、清族はその血を脈々と受け継ぐことに神経を注いでおります。血をより濃くする。近親相姦を繰り返すのもそのため」
「でも、お前達はーーラサンドル派は子供を産めない」
信仰の証として性器を切り取るからだ。彼らは子を産まない。だから、ラサンドル派は血脈で決まらない。カルディア教の一族に産まれてもラサンドル派になり得る。
「ええ、だから清族の中での地位は低く、しなければならない仕事はいつも汚れ役ばかり。トーマも清族らしい清族で、初対面で渋い顔をされたものですわ」
ライも最初はそうでしたと、小さな声で教えてくれた。ラサンドル派は嫌われていた。同じ神を信仰していないから、風当たりも強いらしい。女神カルディアを信仰している殆どの清族は遠巻きに接するか、嫌がらせをしてくる。ヴィクターもそんな彼らに冷めた対応をしていた。
「仲良くなったのは偶然としか言いようがありません。ライともトーマとも仲良くなる気なんてなかったのですから」
涙が止まらないので手が退けられない。吐息があたる。
「はなおとめ、ここだけの話をしてもよろしい?」
「な、なに?」
ヴィクターが顔を寄せてくる。
甘い香りがした。砂糖菓子のような臭いだ。
「トーマは、酷い後遺症が残るかもしれません」
「……それほど酷いの」
「ええ、トーマは呪術を得意としています。あの時も、呪術を用いて敵を撃退しようとした」
レゾルール学校での防衛戦でのことだ。トーマはその後、重体になり、今でも面会を断られている。
「呪術はとても恐ろしい代物です。術の行使中に破られれば何重にもなって自分に返って来てしまう。トーマの術は失敗しました。彼は自分がかけようとした呪いを何倍にもなって受けている」
「どれくらい酷いのか、分からないわ」
「そうですわね。術を使わない方には想像が難しいかもしれませんわね」
ぽたりと、顎に涙が落ちてくる。体が納得するまで泣くつもりなのかもしれない。
「何十回も、何百回も、自分で腹を開いて内臓をかき混ぜるような痛みと言ったらいいのかしら。普通の清族ならば発狂して二日も持ちません。トーマはよくもっている方だわ」
「それは、治せるものなの」
聞いている限り、死を待つばかりの恐ろしいものに思えてならない。手の施しようのない難病のように。
「解呪がございます。贖宥状を使い、呪いを解く。ですが、今回のトーマはあまりにも穢れを帯び過ぎている。贖宥状を使ったものは気休めにしかならなかった」
「助からないと言うこと?」
指の先まで力む。トーマが死ぬ。そんな言葉が頭をよぎった。
「いいえ。けれど、他の方法を使わなくてはなりません。とても原始的な、忌むべきことですが」
ヴィクターが私の手に、指を重ねてきた。
性的なものを一切感じなかった。元気付けるように揺らされる。
「人柱を立てて、トーマの身に受けた呪いを移します。常人では耐えられません。移したものは死にます」
「トーマを助ける為に、人が死ぬということ?」
「そうですわよ」
手の甲を指で引っ掻かれる。
痛みはなかった。傷痕もない。ただ、軽く引っ掻かれただけ。
「どうしても?」
「トーマを生かすにはその方法しかありません。幸い、トーマは清族ですわ。貧民や平民よりも命の価値が高い」
命の価値が高い。
何も言えなくなる。トーマを助ける為には代わりに死ぬ人間が必要なのだ。それが嫌だと言えばトーマを見殺しにすることになる。どうしようもないことだ。そう割り切りたいのにうまくいかない。
「後遺症というのは呪術の後遺症ということ?」
「上手くいけば、呪術の後遺症は殆ど残らないでしょう。けれど、そちらより心に出来た後遺症の方が危険です」
呪術は最も精神を病みやすい術の一つだと、ヴィクターは言った。人を呪うという行為自体が負のもので、心に負担をかけやすいのだと。
「敵対した相手は精神干渉系の魔術を行使しました。それで、トーマは取り乱した。その後呪詛が返ってきたはずです。心理的負荷は激しいものだったはず」
「はっきり言って。どうなる可能性が高いの」
勿体ぶるというよりは、答えを選ぶようにヴィクターの視線が泳ぐ。
覚悟を決めたのか、ヴィクターがしっかりと私の瞳を見つめた。
「一番可能性があるのは自殺です。希死念慮が強くなります」
希死念慮。つまり、現実から逃げ出したいと思い、死を選ぼうとしてしまうのか。
「あらゆることに無気力になり、鬱のような症状が出ることも。勿論、そうならない可能性も十分あり得ます。時間と共に回復していくことも。あるいはその逆も」
「逆?」
「日に日に精神状態が悪化していく可能性もありますわ。日々の経過が重要です。もし、一度治っても再発する可能性も十分考えられます」
「つまり、起きた時、トーマが自殺を考える可能性があって、そうでなくとものちのちそう思う可能性が高い? 治っても、また死にたいと思うかも知れない?」
「はい」
目頭を指で揉む。神経の部分をこりこりと摘むと指先に痺れのような感覚がした。
「確かに理解したわ」
トーマが人の命を犠牲に生きることにも抵抗があるのに、彼の希死念慮を受け止め切れるのか、本当のところは分からない。けれど、大丈夫だと自分自身に暗示をかける。そうしないといっぱいいっぱいで泣き出しそうになる。
目の前に泣いている人間がいるのに、そんなことは出来ない。心に留め置いて、実際にトーマに会ってから対応を決めよう。
先延ばしにしている自覚はある。けれど、今はそう思うしかなかった。
ヴィクターの涙は止まらない。長雨のように、ずっと落ちていく。こいつが私の代わり泣いている。そんな錯覚がした。
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