追放された雑用係、実は神々の隠し子でした~無自覚に世界最強で、気づいたら女神と姫と勇者パーティがハーレム化していた件~

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第2話 森で拾った少女と出会う

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朝霧が森の中に漂っていた。小鳥のさえずりがかすかに聞こえる中、レオンは焚き火の前で目を覚ました。  
昨夜の出来事が、夢だったのか現実なのか判断がつかない。だが、手のひらに刻まれた紋章が、全てを現実だと示していた。  

「……本当に、俺が神の子なんてな。」  
呟きながら火をかき立て、パンを温める。  
空腹を満たそうと一口かじると、森の奥からわずかな悲鳴が聞こえた。  

「きゃあっ……!」  

レオンは反射的に顔を上げる。鳥の群れが舞い上がり、地響きが近づいてくる。  

「誰かが、襲われてる?」  
考えるよりも早く、レオンの足は駆け出していた。  

木々をかき分け、声の方向へ進むと、そこには一人の少女が倒れていた。  
血まみれのドレス、腕には無数の傷。  
彼女の前には、異様な姿をした魔物──巨大な猪のようなモンスターが牙を剥いていた。  

「危ない!」  
レオンは思わず飛び出し、少女と魔物の間に立った。  

「グオォォォッ!!」  
魔物が突進してくる。地面が割れるほどの衝撃。  
しかし、レオンは恐怖を感じなかった。むしろ胸の奥が静かに燃えるような感覚があった。  

「動くな……俺が、やる!」  

手をかざした瞬間、光が爆ぜた。  
足元に陣が描かれ、眩い稲妻が空を裂く。  
次の瞬間、魔物は爆音と共に吹き飛び、黒焦げの煙だけを残して地に沈んだ。  

「……まただ。」  
レオンは自分の手を見つめた。制御している感覚が、まるでなかった。力が勝手に溢れ出すように、自然に魔法が発動していた。  

「あなた……今の、何?」  
震える声で少女が見上げた。  

レオンは彼女の傍へ行き、膝をついて尋ねる。  
「大丈夫か?ケガがひどい。待ってろ、癒やす。」  

手を彼女の傷にかざすと、温かな光が包み込んだ。  
淡い金色の輝きが流れ、彼女の皮膚の裂け目が瞬く間に塞がっていく。  

少女は唇を震わせてつぶやく。  
「この光……まさか、神聖魔法……?」  
「そんなのよくわからない。ただ、助けたかっただけだ。」  

彼女の瞳が、驚きと尊敬の混じった色に変わった。  
「ありがとう……あなた、すごい人なのね。」  
「いや、俺なんて……つい最近まで雑用係だったんだ。」  
思わず自嘲混じりに笑うと、少女はぽかんと口を開けた。  

「雑用係?嘘でしょ。そんな力があるのに?」  
「俺自身、昨日まで知らなかったんだ。どうやら、封印されてたらしい。」  
「封印……?」  

レオンは簡単に事情を説明した。神の声を聞いたこと、自分の中に力が眠っていたこと。  
それを黙って聞いていた少女が、やがて深く息をついた。  

「あなた、もしかして……本当に、神の血を継ぐ者なのかもしれない。」  
「そんなの信じてくれるのか?」  
「ええ。だって、今の魔法、人間じゃ無理だもの。」  

彼女は微笑みながら立ち上がろうとしたが、すぐに足を押さえて崩れた。  
「無理するな。傷は塞がったけど、体力が戻ってないんだ。」  
レオンは彼女を支え、近くの切り株に座らせた。  

「ありがとう……本当に助けてくれて。」  
「気にするな。それより、名前を聞いてもいいか?」  
「私はユリィ。王都から逃げてきたの。」  

その言葉に、レオンの表情がかすかに動く。  
「王都から?冒険者か?」  
ユリィは首を横に振った。  
「いいえ、違うの。私は……王都アルダリアの第四王女、ユリィ・アルダリア。」  

「……王女?」  
想定外の答えに、レオンは言葉を失う。  

「でも今は、ただの逃亡者よ。」  
ユリィは苦く笑いながら続けた。  
「私の国は今、帝国に狙われているの。父が病で倒れ、兄たちは跡継ぎ争いをして……私は命を狙われたの。」  

レオンは拳を握った。  
「追われてるのか。」  
「ええ。さっきの魔物、きっと帝国が放ったものでしょう。魔獣使いたちが、追手と一緒に来ていた。」  

空に黒い鳥の影が遠く見えた。その方向を見つめながら、レオンは考える。  
「ここにい続けたら危険だ。森の外れに小さな洞窟がある。しばらくそこに隠れよう。」  
「でも、あなたに迷惑を──」  
「気にするな。困ってる人を放っておけるほど冷たくはないさ。」  

*****  

洞窟の中。焚き火の明かりが二人の影を映す。  
ユリィは温かいスープを手に持ちながら、静かに尋ねた。  
「ねえ、レオン。どうしてあんな状況でも、人を助けようと思えるの?」  
レオンは少し考えてから答えた。  
「俺にはもう、帰る場所がないからだ。だったらせめて、必要としてくれる人の力になりたい。」  

ユリィはスープを見つめたまま呟く。  
「……あなた、優しいのね。」  
「優しいっていうより、バカなんだろうな。」  
「ふふ、そんなことないわ。」  

焚き火がぱちぱちと音を立てる。穏やかな時間の中で、ユリィは目を閉じたまま微笑んだ。  
「不思議ね。今日出会ったばかりなのに、あなたといると安心する。」  
「そりゃあ、命の恩人だからな。」  
「それだけじゃないわ。何か……懐かしい感じがするの。」  

レオンは驚いて彼女を見る。  
ユリィの瞳が、焚き火の光を反射して金色に輝いていた。  
まるで神々の光を宿すように──。  

――おそらく、この出会いは偶然ではない。  
アルシェの声が、どこか遠くで響いた気がした。  

(これも、運命ってやつか。)  
レオンは小さく息をつき、焚き火に木をくべた。  
外では冷たい風が唸り、闇がさらに深まりゆく。  
だがその中心で、二人だけの新しい物語が静かに動き始めていた。  

(続く)
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