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第二章 男装王子の秘密の結婚 〜王子として育てられた娘と護衛騎士の、恋の行方〜
081●フロー編●72.そばにいない
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シャインは一段と首謀者探しに力を入れていた。
フローリアンはそれと並行して、女性の地位向上の政策をどんどん進めていく。
クーデターの首謀者がわからない現状、議会で怪しいと思われるメンバーは全て外した。そうなると議会メンバーが足りなくなって国が回らなくなるので、絶対に組織のメンバーではない女性を採用することになった。
そんなわけで現在は男と女の比率が半々になり、クーデターの失敗も相俟って、女性の地位向上の政策はスムーズに進んでいった。
少し落ち着いたある夜、フローリアンは寝室の大きなベッドにごろんと転がって、額を枕につけた。
ついこの前まで、ツェツィーリアと一緒にここで喋っていたのが遠い昔のようだ。
トントンとノックが鳴ってラルスが入ってくると、フローリアンは頭を上げてベッドに座った。
「お疲れですか、フローラ」
「ん、大丈夫だよ」
そういうと、ラルスはその優しい目を細めている。
「庭師が、バラ園がきれいに咲いたので見に来てほしいと言ってましたよ」
「え、バラが?!」
フローリアンは思わずベッドから飛び上がる。
「明日は時間を作ってバラを見に行こうよ、ツェツィー!」
そういいながらベッドを振り返って、フローリアンはハッとした。
嬉しそうに微笑んでくれるツェツィーリアが、そこにはいない。
「……あ」
視線をラルスに戻すと、悲しく微笑む顔が飛び込んできた。
「ツェツィーはいなかったよね……あは、間違えちゃった」
ぎゅっと胸の部分の布を掴んで、ベッドに座り直す。
嬉しい時も悲しい時も、ずっとそばにいてくれたツェツィーリアが、もうここにはいない。
「なに、してるかな……ツェツィー……元気かな……」
「お元気ですよ、きっと」
「うん……」
じわりと涙が出てくる。ツェツィーリアが幸せになってほしいという気持ちは本当なのに、近くにいてくれないことが、つらい。
「大丈夫ですか」
ラルスが隣に来て、ぎゅっとフローリアンを抱きしめてくれた。
「こんなに長い間ツェツィーに会わなかったこと、初めてだよ……」
言葉に出すと、声が勝手に震え始めてしまう。
「僕とツェツィーは、五歳の頃からずっと一緒だったんだ……」
「はい」
「ツェツィーは本当に優しくて……一緒にいると、楽しくって……」
「はい」
「僕の、自慢の、親友なんだよ……」
ラルスの手が、優しくフローリアンの背中を往復する。そのせいか、余計に泣けてきた。
「ごめん、こんなことで泣いちゃって……困るよね……」
「こんなことなんかじゃないですよ。俺になら、なにを言ったってかまいません。フローラの気持ち、全部教えてください」
すべてを受け止めてくれる人が隣にいて、ポロリと涙が流れ落ちる。
「僕のこと……嫌いにならない?」
「なりませんよ」
まっすぐな瞳で返してくれるラルスに、フローリアンは少し目を伏せた。
「僕は……ツェツィーには幸せになってほしいって思ってるのに……そばにいてくれないことが、こんなにもつらい……」
「フローラ……」
「寂しいよ……! またツェツィーと一緒に笑って、一緒に子育てして……! ずっと、ずっとそばにいてくれると思ってたんだ!! 一生、隣で笑っていてくれるんだって……!!」
ツェツィーリアの隣にいるのは、イグナーツだ。二人を心から祝福しているはずなのに、二人が一緒になれて嬉しいはずなのに、なぜだか悲しみが湧いてくる。
「ツェツィー……会いたいよ、ツェツィー……!! ずっと僕のそばに、いてほしかったよ……~~あああああっ!!」
フローリアンはラルスの胸にしがみつくように、わんわんと声を上げて泣いた。
「フローラ、俺がいますよ。俺は絶対に、フローラから離れたりしません。約束します」
涙が止まらず泣き叫ぶフローリアンに、ラルスはずっとそう言いながら、優しく抱きしめてくれていた。
フローリアンはそれと並行して、女性の地位向上の政策をどんどん進めていく。
クーデターの首謀者がわからない現状、議会で怪しいと思われるメンバーは全て外した。そうなると議会メンバーが足りなくなって国が回らなくなるので、絶対に組織のメンバーではない女性を採用することになった。
そんなわけで現在は男と女の比率が半々になり、クーデターの失敗も相俟って、女性の地位向上の政策はスムーズに進んでいった。
少し落ち着いたある夜、フローリアンは寝室の大きなベッドにごろんと転がって、額を枕につけた。
ついこの前まで、ツェツィーリアと一緒にここで喋っていたのが遠い昔のようだ。
トントンとノックが鳴ってラルスが入ってくると、フローリアンは頭を上げてベッドに座った。
「お疲れですか、フローラ」
「ん、大丈夫だよ」
そういうと、ラルスはその優しい目を細めている。
「庭師が、バラ園がきれいに咲いたので見に来てほしいと言ってましたよ」
「え、バラが?!」
フローリアンは思わずベッドから飛び上がる。
「明日は時間を作ってバラを見に行こうよ、ツェツィー!」
そういいながらベッドを振り返って、フローリアンはハッとした。
嬉しそうに微笑んでくれるツェツィーリアが、そこにはいない。
「……あ」
視線をラルスに戻すと、悲しく微笑む顔が飛び込んできた。
「ツェツィーはいなかったよね……あは、間違えちゃった」
ぎゅっと胸の部分の布を掴んで、ベッドに座り直す。
嬉しい時も悲しい時も、ずっとそばにいてくれたツェツィーリアが、もうここにはいない。
「なに、してるかな……ツェツィー……元気かな……」
「お元気ですよ、きっと」
「うん……」
じわりと涙が出てくる。ツェツィーリアが幸せになってほしいという気持ちは本当なのに、近くにいてくれないことが、つらい。
「大丈夫ですか」
ラルスが隣に来て、ぎゅっとフローリアンを抱きしめてくれた。
「こんなに長い間ツェツィーに会わなかったこと、初めてだよ……」
言葉に出すと、声が勝手に震え始めてしまう。
「僕とツェツィーは、五歳の頃からずっと一緒だったんだ……」
「はい」
「ツェツィーは本当に優しくて……一緒にいると、楽しくって……」
「はい」
「僕の、自慢の、親友なんだよ……」
ラルスの手が、優しくフローリアンの背中を往復する。そのせいか、余計に泣けてきた。
「ごめん、こんなことで泣いちゃって……困るよね……」
「こんなことなんかじゃないですよ。俺になら、なにを言ったってかまいません。フローラの気持ち、全部教えてください」
すべてを受け止めてくれる人が隣にいて、ポロリと涙が流れ落ちる。
「僕のこと……嫌いにならない?」
「なりませんよ」
まっすぐな瞳で返してくれるラルスに、フローリアンは少し目を伏せた。
「僕は……ツェツィーには幸せになってほしいって思ってるのに……そばにいてくれないことが、こんなにもつらい……」
「フローラ……」
「寂しいよ……! またツェツィーと一緒に笑って、一緒に子育てして……! ずっと、ずっとそばにいてくれると思ってたんだ!! 一生、隣で笑っていてくれるんだって……!!」
ツェツィーリアの隣にいるのは、イグナーツだ。二人を心から祝福しているはずなのに、二人が一緒になれて嬉しいはずなのに、なぜだか悲しみが湧いてくる。
「ツェツィー……会いたいよ、ツェツィー……!! ずっと僕のそばに、いてほしかったよ……~~あああああっ!!」
フローリアンはラルスの胸にしがみつくように、わんわんと声を上げて泣いた。
「フローラ、俺がいますよ。俺は絶対に、フローラから離れたりしません。約束します」
涙が止まらず泣き叫ぶフローリアンに、ラルスはずっとそう言いながら、優しく抱きしめてくれていた。
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