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第三章 若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
099◆ ディー編◆08.つながらなかった点と点
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ルーゼンとシャインは、今でも真犯人を探そうと努力してくれている。
もう時間が経ちすぎて、不可能に近いことがわかっていても。
そんなある日、ルーゼンが王の間に入ってくると、耳打ちをされた。
ディートフリートはその場にいた者を、シャインとルーゼンを除いて全員下がらせる。
どっどっ、と己の心臓波打つ音が聞こえてくるようだ。ごくんと空気を嚥下して気持ちを落ち着かせると、ルーゼンに目をやった。
「ルーゼン、今の言葉は本当か?」
「はい。残念ながら、ユリアーナ様の件ではありませんが」
それでも、『ウッツの悪事を確認した』という言葉だけで、可能性が広がり興奮する。
ディートフリートは自分が王になった後も、彼を近くに置いていた。尻尾を掴むために、監視できる位置につけた方がいい。
それでも狡猾なウッツは、なかなか手強かった。傍目には王に従順で人当たりもいい男なのだ。疑うのが申し訳なくなるほどに。
「一体、ウッツは何をした?」
「国庫金の私的流用……ホルスト殿の時と同じです」
「よし」
これで、十八年前のことも暴けると思った。
点と点は、必ず線で繋がると。
しかし、その証拠が出てきたのは、わずか五年前までで。
ウッツは頑としてホルストの件は関係ないと主張し、過去の証拠はすでに隠滅されていて、どこを探しても出てこなかった。
結局はウッツを五年間の投獄、家督の剥奪はできたものの、ホルストの嫌疑を晴らすことは叶わなかった。
申し訳なさと目的を遂げられなかった虚無感でいっぱいになる。
ウッツが怪しいとわかっていても。確たる証拠がなければ、もうどうしようもなく。ディートフリートの心に黒いものが渦巻いていく。
そして絶望感でいっぱいになった時、励ましてくれたのはやはりルーゼンとシャインだった。
「きっと、ホルスト殿も満足してくれていますって! ウッツを投獄して、失脚させたんですから!」
「それにユリアーナ様に会った時、なにもできなかったと報告するよりはよほどよいかと存じます。きっとユリアーナ様も、王の気持ちとご苦労を理解してくださいますよ」
ユリアーナと会った時。
そう言われると、俄然会いたくなってしまった。やれることはやったのだ。
ユリアーナの地位を元に戻してやれないことは心苦しいが、逆にこれで腹が決まった。
自分は、王族から離脱するのだと。
「すまないな、ルーゼン、シャイン。私はお前たちの仕事を取り上げてしまうことになる」
王の護衛という仕事を誇りに思っているルーゼンとシャインは、二人してニヤリと笑った。
「そんなの、十八年前からとっくに覚悟していますて!」
「我らは王に忠誠を捧げた身です。命運は、常にディートフリート様と共に」
ルーゼンとシャインは胸に手を当て、敬礼のポーズをとってくれた。
二人の心意気に、ディートフリートの胸が熱くなる。
弟のフローリアンが王になっても、他の若い者が護衛係となるだろう。
年齢的にも、ディートフリートが退けば、彼らも退役を勧められてしまうに違いない。
「すまない、ありがとう」
礼を言うと、ルーゼンが弟に話しかけるかのように気安く話しかけてくる。
「まずはユリアーナ様を見つけて、早く王の童貞を卒業させてあげなきゃな!」
「ルーゼン、あなたはまたそういうことを……」
「ははは、そうだな。私も早く卒業したいよ」
「ディートフリート様まで……」
「王は昔、隙を見てはユリアーナ様にキスしようとしてたからなー! ほんと、よく耐えてると思いますよ!」
「私もそう思うよ」
ディートフリートの肯定の言葉に、二人は笑いながらも少し悲しそうな瞳をしている。一体何年間耐えてきたのだろうかと、自分でも自分を哀れんでしまうほどに。
そんな空気を吹き消すように、ルーゼンが明るく声を上げた。
「よし、ウッツのやつも投獄したことだし、これからはユリアーナ様捜しに重点をおきますよ、俺は!」
「王もなるべく共に行けるように、日程を組み直しましょう」
頼もしい二人の言葉に、ディートフリートはニッコリと笑った。
また、ユリアーナに会えると信じて。
あの日のように、愛を囁きあえることを楽しみに……王と二人の騎士は、ユリアーナを捜し続けた。
もう時間が経ちすぎて、不可能に近いことがわかっていても。
そんなある日、ルーゼンが王の間に入ってくると、耳打ちをされた。
ディートフリートはその場にいた者を、シャインとルーゼンを除いて全員下がらせる。
どっどっ、と己の心臓波打つ音が聞こえてくるようだ。ごくんと空気を嚥下して気持ちを落ち着かせると、ルーゼンに目をやった。
「ルーゼン、今の言葉は本当か?」
「はい。残念ながら、ユリアーナ様の件ではありませんが」
それでも、『ウッツの悪事を確認した』という言葉だけで、可能性が広がり興奮する。
ディートフリートは自分が王になった後も、彼を近くに置いていた。尻尾を掴むために、監視できる位置につけた方がいい。
それでも狡猾なウッツは、なかなか手強かった。傍目には王に従順で人当たりもいい男なのだ。疑うのが申し訳なくなるほどに。
「一体、ウッツは何をした?」
「国庫金の私的流用……ホルスト殿の時と同じです」
「よし」
これで、十八年前のことも暴けると思った。
点と点は、必ず線で繋がると。
しかし、その証拠が出てきたのは、わずか五年前までで。
ウッツは頑としてホルストの件は関係ないと主張し、過去の証拠はすでに隠滅されていて、どこを探しても出てこなかった。
結局はウッツを五年間の投獄、家督の剥奪はできたものの、ホルストの嫌疑を晴らすことは叶わなかった。
申し訳なさと目的を遂げられなかった虚無感でいっぱいになる。
ウッツが怪しいとわかっていても。確たる証拠がなければ、もうどうしようもなく。ディートフリートの心に黒いものが渦巻いていく。
そして絶望感でいっぱいになった時、励ましてくれたのはやはりルーゼンとシャインだった。
「きっと、ホルスト殿も満足してくれていますって! ウッツを投獄して、失脚させたんですから!」
「それにユリアーナ様に会った時、なにもできなかったと報告するよりはよほどよいかと存じます。きっとユリアーナ様も、王の気持ちとご苦労を理解してくださいますよ」
ユリアーナと会った時。
そう言われると、俄然会いたくなってしまった。やれることはやったのだ。
ユリアーナの地位を元に戻してやれないことは心苦しいが、逆にこれで腹が決まった。
自分は、王族から離脱するのだと。
「すまないな、ルーゼン、シャイン。私はお前たちの仕事を取り上げてしまうことになる」
王の護衛という仕事を誇りに思っているルーゼンとシャインは、二人してニヤリと笑った。
「そんなの、十八年前からとっくに覚悟していますて!」
「我らは王に忠誠を捧げた身です。命運は、常にディートフリート様と共に」
ルーゼンとシャインは胸に手を当て、敬礼のポーズをとってくれた。
二人の心意気に、ディートフリートの胸が熱くなる。
弟のフローリアンが王になっても、他の若い者が護衛係となるだろう。
年齢的にも、ディートフリートが退けば、彼らも退役を勧められてしまうに違いない。
「すまない、ありがとう」
礼を言うと、ルーゼンが弟に話しかけるかのように気安く話しかけてくる。
「まずはユリアーナ様を見つけて、早く王の童貞を卒業させてあげなきゃな!」
「ルーゼン、あなたはまたそういうことを……」
「ははは、そうだな。私も早く卒業したいよ」
「ディートフリート様まで……」
「王は昔、隙を見てはユリアーナ様にキスしようとしてたからなー! ほんと、よく耐えてると思いますよ!」
「私もそう思うよ」
ディートフリートの肯定の言葉に、二人は笑いながらも少し悲しそうな瞳をしている。一体何年間耐えてきたのだろうかと、自分でも自分を哀れんでしまうほどに。
そんな空気を吹き消すように、ルーゼンが明るく声を上げた。
「よし、ウッツのやつも投獄したことだし、これからはユリアーナ様捜しに重点をおきますよ、俺は!」
「王もなるべく共に行けるように、日程を組み直しましょう」
頼もしい二人の言葉に、ディートフリートはニッコリと笑った。
また、ユリアーナに会えると信じて。
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