普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎

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最低なセフレから逃げたらヤンデレ化させてしまって逃げられない

攻めサイド1

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また出ない。
今日で一週間だ。


いつもなら、メールをすれば5分で返事が来るし、電話をすれば遅くとも3コール目には嬉しそうな声色と共に出ていたのに。
もともと、あいつから連絡はしないように言ってある。
1度他の女と遊んでる時に電話が来たことがあったが、邪魔だったから一言「お前からかけんな」と言ってすぐ切った。


あいつのことはおもちゃくらいにしか思っていないが、こうも連絡がないと面白くない。
おもちゃは俺が遊びたい時に目の前にいればいい。


昔から自分の外見が良いことは自覚していた。
少し目を合わせニコリとしてやればどんな上等な女も顔を赤らめ近づいてくる。
だから一晩の相手には困らなかったし体格も良かったから、ストーカー気質の女も、自分の女を取られた男も全員殴って解決してきた。


何の不満もない。
手に入らないものもない。
酒が好きだから何となく知り合いの店で始めたバーテンダーもすぐに上手くいった。
しかし接客というのは短気な自分にはあまり性に合わず、適当な言い訳をしてそろそろ辞めるか、などと考えていた時だった。


くたびれたスーツに小汚い革靴で店に入ってきた客は、入った瞬間先程まで赤かった顔を真っ青にさせおろおろしながら立ち尽くしていた。
冴えない男だな。
バーは初めてか?
俺と同じくらいか、少し上か。(後に5歳も上だったことを知った。童顔すぎる。)



たまには男を食ってみるのもいいか。

ふと、脳裏にそんな考えがよぎった。
別に男を好きになったことはないが、女はすぐ惚れてくるからつまらない。
男なら落とすのに時間がかかる分少しは楽しめそうだ。
そんなことを一瞬のうちに考えながら、いつものように優しく声をかけた。


「こんばんは」


その瞬間あいつは俯いていた顔を上げ、少し安堵したような顔で恐る恐るこちらに近づいてきた。
これは案外時間がかからないか?
まあ、そうしたらまた捨てればいい。いつものように。


結果的に、あいつはすぐさま俺に惚れた。
最初に少し優しくしただけですぐにホテルに連れ込めたし、その後徐々に本性を出しても俺の傍を離れなかった。
俺は何度も感情に任せて殴ったり蹴ったり追い出したりしていたが、連絡をすると必ず返事がある。


ちょろいやつだ。そろそろ捨て時か。
何度もそう思った。
しかし、捨てるのはいつでもできる。
毎日連絡をとる必要も、愛の言葉を囁く必要もない。
遊びたい時に呼んで遊べるおもちゃ。
無理に捨てることもないだろう。
そんな訳で、何人の女と遊ぼうが寝ようが、ひとしきり遊び終わった頃にあいつを呼び出すのが日常になった。


***


そんな男がこの一週間、音信不通。


もしかしたら拗ねているのかもしれない。
確か一週間前はあいつとの約束をドタキャンして、ナンパしてきた女とラブホに向かっていた。
ドタキャンしたのが直前だったし、あいつとの待ち合わせ場所のすぐ近くを歩いた覚えがある。
きっと俺たちが歩いているのを見て拗ねているに違いない。


別に俺たちはつきあっているわけではない。あいつが俺のことを好きなのは知っているが。
だからあいつは、俺が誰と道を歩いていようがセックスしようが口を出せない。
それでもたまには反抗したくなったといったところだろうか。


正直面倒くさいこと極まりない。
おもちゃは黙って俺の連絡を待って、言うことを聞いていればいいのに。
普段の俺なら連絡が取れなくなったらすぐに次の相手を探すところだが、何故だかあいつに連絡が取れないのは腹が立った。
そもそも特定の相手と何度も会うのは稀だ。この俺が何度も呼んでやっているのに反抗するなんていい度胸だ。


気づくとあいつの古くさいアパートの近くだった。
最初の頃は何度か行ったことがあるが、狭っくるしいから俺の家に呼ぶようになった。


仕方ない。
拗ねてるおもちゃを宥めてご機嫌でも取ってやるか。
そうすればまたあいつは明日から律儀に俺の連絡を待ってすぐに飛んでくるおもちゃに戻る。
時刻は0時過ぎ。
まだ会社にいるかもしれないが、夜風もそこまで冷たくない。
少しくらいは待ってやってもいいか。


そうしてアパートの階段を登ろうと足をかけた時、アパートのポストが横目で見えた。
あいつの部屋のポストにはテープがかけられ、中に郵便物を入れられないようになっていた。


どういうことだ。
引っ越したのか?
確かにあいつの部屋にはほとんど来なくなったし、わざわざ俺に話すことでもない。


俺たちは友達でも恋人でもないんだから。
そう思った瞬間、何故か無性に苛立った。
俺からあいつを捨てることはあっても、あいつが俺を捨てるなんてことあっていいわけないのに。
あいつが俺から離れるなんて、そんなこと。


考えれば考えるほど頭がグツグツ煮えたぎって、重くて暗いどろりとしたものに支配される。


職場も知らなければ、あいつの友人の1人も知らないが、必ず見つけ出す。
今度は俺から離れるなんて考えられないように。
しっかりと、
教えこまなきゃ、
あいつの体に、
そうしないと、



***


明くる日も明くる日も、あいつはどこにもいなかった。
今まで聞き流していた会話の断片を必死に思い出そうとしたがろくに思い出せず、とりあえず行きそうな所をしらみ潰しに探した。
あいつの好みも、趣味も、嫌いなものも、何もわからない。
何も知らない。
何も。


ポケットに突っ込んでいたスマホが震える。
着信だ。
あいつかもしれないと思いすぐに電話に出ると、甘ったるい女の声が聞こえた。
こいつは確か、


「この間から全然連絡くれないじゃ~ん!今度できたカフェ行こうって約束したのにー!」


俺があいつとの約束をドタキャンした日に遊んだ女、だったような気がする。
こいつのせいで、あいつが。
瞬間怒りが湧いて通話を切ろうとしたが、あいつとの記憶が頭をよぎった。


『あのさ、えっと、もし時間あるなら、コーヒー持ってきたから、飲まない?ドリップのやつだけど、わりと美味しくて、』

『いらね』

『あ、そ、そっか、ごめん…あ、じゃ、じゃあ、たまにはゆっくりカフェとか、あの、行きつけのカフェが、』

『行くわけねえだろ、つかヤッたら早く帰れよ』

『……ごめん』


そうだ、カフェだ。
あいつは確か酒よりコーヒーが好きだって言ってた気がする、そうだ、そうだった。


「聞いてる?遊ぼうって、」


女の声を遮るように通話を切った。
やっと、あいつと繋がった気がした。
行きつけがどこかも、どんなコーヒーが好みかも知らないが、必ず見つける。
見つけなきゃいけない。
だって、繋がったんだ。これは運命に違いない。あいつは探して欲しいんだ、俺に。


きっと今頃、寂しがっているよな?


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