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赤い目と黒い瞳
第16話 絶対に
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「今回の件で鬼神家の穴が見えた。侵入者を許してしまった経路を探り、封筒を渡した者を見つける」
「そちらは私に任せてくれるかしら、雅」
響さんが笑みを浮かべて雅様に伝えた。
少しも考えることなく、雅様は頷く。
「母様は、そのような事が得意だからな」
「任せてちょうだい。全てを暴いてみせるわ」
ふふんと鼻を鳴らし、胸を張る響さんがかわいく見えてしまう。
私も思わず笑うと、雅様がこちらを向いた。
「では、次にこの封筒の内容だが……」
雅様が響さんを見る。
すぐに察したのか、立ち上がり近くの押入れを開けた。
中から一つの小箱を出すと、また座り直す。
雅様が自身の前に置くと、心苦しそうに蓋を開けた。
中に入っているのは、五つくらいの封筒。
全部、同じ封筒が使われているみたい。
「これは、今まで貴様の姉から届いていた封筒だ」
「――――え、今まで? どういうことですか!?」
思わず体を乗り出してしまった。
「勝手ながら中身も確認させてもらっていた。内容に問題が無ければ渡すつもりではあったのだが、少々難しくてな」
「そ、うなんですね」
「申し訳ない。勝手に見た事は謝罪する」
あっ、雅様が頭を下げてしまった。
そ、そんな悲しい顔を浮かべないで、頭を下げないでください!
「だ、大丈夫ですよ! それに、私を考えてくれての事なんですよね。それは、わかっていますので顔を上げてください」
私が言うと、雅様は素直に顔を上げた。
「それで、あの、お手紙には何が書かれているのでしょうか……」
「…………まず、一通目のを読み上げよう」
雅様が一枚の封筒を手に取り、手紙を開いた。
「挨拶などは抜かすぞ。『鬼神家に嫁いでいかがお過ごしですか。冷酷無情な旦那様をもって精神的にも肉体的にも大変でしょう。美月は何でも我慢しがちで、素直にものが言えないのを私はわかっています。もし、何かあれば遠慮なく戻ってきてくださいね。いつでも、私は美月の味方です。美晴より』だ、そうだ」
な、なんだその内容、反吐が出る。
何が味方だ、何が、戻ってきてもいい、だ。
ただ、美晴姉様は、雑用が欲しいだけではないのか。
宿題を押し付ける相手が欲しいだけではないか。
それに、雅様を勝手な想像で穢さないでほしい。勝手に、決めつけないでほしい。
私を助けてくれた人を、馬鹿にしないでほしい。
「心配しているように見せて、少々言葉に棘があるように感じてな。それに、どこか企んでいるような文に、伝える事はやめていた」
「これを見せてしまうと、貴方は傷ついてしまうんじゃないかとも思ったの。だから――美月ちゃん?」
なんで、みんな、雅様の優しさを見ないんだろう。
なんで、雅様を冷酷無情だというのだろう。
「美月?」
雅様のおかげで、鬼神家は成り立っている。
雅様は責任感が強いから、少し言葉がきつくなってしまうけれど、それだけ本気なだけ。守りたいという気持ちが強いだけ。
鬼神家を守りたいと思っている優しい雅様を、なんで見ようとしてくれないの。
なんで、頑張っている雅様から目を逸らすのだろう。
酷い、酷いよ……。
雅様は、本当は誰よりも優しくて、強くて、たくましくて――誰よりも素敵な方なのにっ!!」
「――美月!」
「っ、す、すいません。あ、あの……私……」
しまった、自分の世界に入ってしまった。
「顔色が優れないわね」
「無理もない。いきなりこのような封筒が今回のも含め六つも届いていると知ったのだ、気分も悪くなるだろう。今日はここまでにする」
あ、気を遣わせてしまった。
大丈夫、私はただ、怒っているだけだから。
雅様の優しさを見ていない周りの人に、努力を見ていない人達に。
「美月ちゃん、今回の件は私達も調べるわ。だから、あまり気負い過ぎないようにね。雅は、貴方に笑っていてほしいのだから。もちろん、私もね」
響さんが私の肩を支え、安心させるように言ってくれる。
雅様を見ると、真顔で頷いていた。
「美月が楽しく笑い、安心した暮らしを続けられるようにこちらは動きたいのだ。それが夫である俺様の役目であり、鬼神家の当主としての責務だ。だから、無理はするな」
「…………すいません」
「謝罪はいらん、今はゆっくり休め。母様、送ってもらえるか?」
雅様が聞くと、響さんは「当たり前よ」と言って、私を立ちあがらせ、部屋まで送ってくださった。
本当に、私はなんて弱いのだろう。
あんな手紙で、ここまで心が乱れてしまうなんて、情けない。
これでは、雅様の妻として恥ずかしい。
勉学も剣術も習ってきたというのに、なにも成長していない。
私は今まで、何をしていたのか。
もっと、もっと強くならないと。もっと、役に立てるようにならないと。
私の居場所は、ここしかない。
絶対に私のせいで雅様に迷惑をかけてはいけないし、鬼神家を危険な目に合わせてはいけない。
絶対に、私はもっと強くなって、雅様の役に立ってやるんだ。
「そちらは私に任せてくれるかしら、雅」
響さんが笑みを浮かべて雅様に伝えた。
少しも考えることなく、雅様は頷く。
「母様は、そのような事が得意だからな」
「任せてちょうだい。全てを暴いてみせるわ」
ふふんと鼻を鳴らし、胸を張る響さんがかわいく見えてしまう。
私も思わず笑うと、雅様がこちらを向いた。
「では、次にこの封筒の内容だが……」
雅様が響さんを見る。
すぐに察したのか、立ち上がり近くの押入れを開けた。
中から一つの小箱を出すと、また座り直す。
雅様が自身の前に置くと、心苦しそうに蓋を開けた。
中に入っているのは、五つくらいの封筒。
全部、同じ封筒が使われているみたい。
「これは、今まで貴様の姉から届いていた封筒だ」
「――――え、今まで? どういうことですか!?」
思わず体を乗り出してしまった。
「勝手ながら中身も確認させてもらっていた。内容に問題が無ければ渡すつもりではあったのだが、少々難しくてな」
「そ、うなんですね」
「申し訳ない。勝手に見た事は謝罪する」
あっ、雅様が頭を下げてしまった。
そ、そんな悲しい顔を浮かべないで、頭を下げないでください!
「だ、大丈夫ですよ! それに、私を考えてくれての事なんですよね。それは、わかっていますので顔を上げてください」
私が言うと、雅様は素直に顔を上げた。
「それで、あの、お手紙には何が書かれているのでしょうか……」
「…………まず、一通目のを読み上げよう」
雅様が一枚の封筒を手に取り、手紙を開いた。
「挨拶などは抜かすぞ。『鬼神家に嫁いでいかがお過ごしですか。冷酷無情な旦那様をもって精神的にも肉体的にも大変でしょう。美月は何でも我慢しがちで、素直にものが言えないのを私はわかっています。もし、何かあれば遠慮なく戻ってきてくださいね。いつでも、私は美月の味方です。美晴より』だ、そうだ」
な、なんだその内容、反吐が出る。
何が味方だ、何が、戻ってきてもいい、だ。
ただ、美晴姉様は、雑用が欲しいだけではないのか。
宿題を押し付ける相手が欲しいだけではないか。
それに、雅様を勝手な想像で穢さないでほしい。勝手に、決めつけないでほしい。
私を助けてくれた人を、馬鹿にしないでほしい。
「心配しているように見せて、少々言葉に棘があるように感じてな。それに、どこか企んでいるような文に、伝える事はやめていた」
「これを見せてしまうと、貴方は傷ついてしまうんじゃないかとも思ったの。だから――美月ちゃん?」
なんで、みんな、雅様の優しさを見ないんだろう。
なんで、雅様を冷酷無情だというのだろう。
「美月?」
雅様のおかげで、鬼神家は成り立っている。
雅様は責任感が強いから、少し言葉がきつくなってしまうけれど、それだけ本気なだけ。守りたいという気持ちが強いだけ。
鬼神家を守りたいと思っている優しい雅様を、なんで見ようとしてくれないの。
なんで、頑張っている雅様から目を逸らすのだろう。
酷い、酷いよ……。
雅様は、本当は誰よりも優しくて、強くて、たくましくて――誰よりも素敵な方なのにっ!!」
「――美月!」
「っ、す、すいません。あ、あの……私……」
しまった、自分の世界に入ってしまった。
「顔色が優れないわね」
「無理もない。いきなりこのような封筒が今回のも含め六つも届いていると知ったのだ、気分も悪くなるだろう。今日はここまでにする」
あ、気を遣わせてしまった。
大丈夫、私はただ、怒っているだけだから。
雅様の優しさを見ていない周りの人に、努力を見ていない人達に。
「美月ちゃん、今回の件は私達も調べるわ。だから、あまり気負い過ぎないようにね。雅は、貴方に笑っていてほしいのだから。もちろん、私もね」
響さんが私の肩を支え、安心させるように言ってくれる。
雅様を見ると、真顔で頷いていた。
「美月が楽しく笑い、安心した暮らしを続けられるようにこちらは動きたいのだ。それが夫である俺様の役目であり、鬼神家の当主としての責務だ。だから、無理はするな」
「…………すいません」
「謝罪はいらん、今はゆっくり休め。母様、送ってもらえるか?」
雅様が聞くと、響さんは「当たり前よ」と言って、私を立ちあがらせ、部屋まで送ってくださった。
本当に、私はなんて弱いのだろう。
あんな手紙で、ここまで心が乱れてしまうなんて、情けない。
これでは、雅様の妻として恥ずかしい。
勉学も剣術も習ってきたというのに、なにも成長していない。
私は今まで、何をしていたのか。
もっと、もっと強くならないと。もっと、役に立てるようにならないと。
私の居場所は、ここしかない。
絶対に私のせいで雅様に迷惑をかけてはいけないし、鬼神家を危険な目に合わせてはいけない。
絶対に、私はもっと強くなって、雅様の役に立ってやるんだ。
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