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旦那様と迷子
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「七氏さまぁぁ!!」
「おかあさぁぁぁあん」
「かーしゃぁぁぁぁ!!」
こんな人込みで名前を呼んだところで、さすがに気づきませんよねぇ……。
…………視線が体に刺さります。
周りの人達が私達の声に反応し、見てきておりました。
ですが、誰も声をかけてくれません。
どうしましょう、やっぱりお店の人に相談した方がよろしいのでしょうか。
ですが、ですが!!
『こちらの親御さん、いらっしゃいますかー』
子供に囲まれた、大人の女性の図。
それだけは避けたい、避けたいです!
想像しただけで本当に怖いです、嫌です、恥ずかしいです。
でも、この子達を早く親御さんに会わせてあげたいです。
私も、旦那様に会いたいです。
「……………………」
…………人込み、困っている人を無視する人達。
昔、このような光景、巫女装束を着ていた時、たくさん見てきたな、そういえば……。
誰も手を差し伸ばしてくれなくて、助けを求めても断られて。
誰も、誰も…………。
「? お姉ちゃん?」
どうせ手を伸ばしても、誰も掴んではくれない。
人は皆、自分が良ければそれでいい。それが、人だ。
――――私が、私がこの子達を助けないと。
絶対に、親御さんの所に連れて行かないと!!
「だ、大丈夫だよ! お姉ちゃんが絶対にお母さんを見つけるからね!!」
笑顔を向けるけど、子供達はまだ不安そうに顔を歪ませている。
不安だよね、怖いよね。
「大丈夫、大丈夫だからね」
二人の頭を撫でてあげ、再度立ち上がる。
回りをいくら見回しても意味はなく、知っている人はいない。
「お姉ちゃん」
「ん? どうしたの?」
裾を引っ張られて下を向くと、お兄ちゃんの方が引っ張っていた。
しゃがもうとすると女性の人の名前を呼ぶ声が変に鮮明に聞こえた。
それは子供達にも聞こえたみたいで、一緒に回りを見ている。
「――――あっ!!」
「かーしゃん!!」
あっ、二人がお母さんを見つけ、走り出してしまった。
すぐにお母さんも気づいて二人を抱きしめる。
「ばか!! だから離れるんじゃないと言ったでしょ!!」
「ごめんなさい、ごめんなさい!!」
子供二人は、心から安心したように泣きながらお母さんを抱きしめている。
…………あれが、本当の家族、なのかな。
それとも、あの子達が特別?
私にはわからないけど、良かった。
本当に、見つかって良かった。
…………あの子達にはあるんだ、戻るべき場所が。
家族と呼ばれる、場所が。
…………必死に手を伸ばしても届かなかった光。
ただ、普通の光が欲しかっただけの私。
私のこの手を握ってくれる光、あるのかな。
伸ばしてみるけど、まぁ、あるわけがなっ――……
――――――――ガシッ!!!!
「っ!!」
へ? 前に出した手を、掴まれた?
「ふぅ、まったく。どこに行っていると思ったら……。華鈴、今回の事はさすがに怒るぞ?」
「だ、んな、さま?」
汗が滲み出て、前髪が額に張り付いている旦那様。
サングラスがずれ、髪も乱れております。
そんな旦那様が、藍色の瞳を私に向けています。
「――――ん? どうした、華鈴」
前に伸ばした手が、包まれております。
優しい温もりに、包まれております。
私の手、しっかりと握ってくれております。
「っ!? な。ど、どどどどど、どうしたのだ華鈴!! どこか痛いのか!? 怖かったか!?」
旦那様が急に慌て始めてしまいました。
私がなんの前ぶりもなく泣いてしまったからでしょう。
――――あぁ、だめです。
駄目ですよ、旦那様。
私、私……。
「旦那様」
「な、なんだ?」
「私の手を握ってくださり、ありがとうございます」
大きな逞しい手で、私の手をしっかりと掴んで下さり、ありがとうございます。
本当に、ありがとうございます。
「――――当たり前だ。華鈴の手は我のだ、誰の物でもない、我の華鈴だ。今後、誰かに助けを求めたい時は、他の誰でもない我に手を伸ばすのだぞ? 約束だ」
旦那様が私の甲にキスを落とします。
――――はい。
必ず私は、旦那様に手を伸ばし続けます。握り続けます。
ここが、私の帰るべき場所なのですから。
・
・
・
・
・
・
「すぅ~、すぅ~」
寝てしまったか……。
結局、花火を見る事が出来なかったなぁ。
仕方がない、また行った時にでも見ようか。
…………我の肩で眠ってしまっている華鈴は、安心したような表情を浮かべておる。可愛いな。
膝に置かれている華鈴の手を握ると、我の片手ですっぽりと包み込めてしまう。
こんな小さな手で、華鈴は小さな子供二人を助けようとしていたのだな。
あの時、離れてしまった華鈴を我は、すぐに見つけられると思っていた。
だが、あそこまで人の密が濃いとうまく動けんかった。
気配を探ろうにも、声を聞こうにも。
我は、華鈴を見つけられんかった。
…………怖かった。
我は、この温もりを失ってしまうんじゃないかと、不安になってしまった。
「――――華鈴よ、我を、一人にしないでくれよ。我には、そなたが必要だ」
この小さな手で、我は幾度となく救われておる、幸せを感じ取る。
我も、我と同じ幸せを華鈴に送れるようにしなければ…………。
「我は、絶対に離さぬからな。何があっても、この温もりを――……」
「おかあさぁぁぁあん」
「かーしゃぁぁぁぁ!!」
こんな人込みで名前を呼んだところで、さすがに気づきませんよねぇ……。
…………視線が体に刺さります。
周りの人達が私達の声に反応し、見てきておりました。
ですが、誰も声をかけてくれません。
どうしましょう、やっぱりお店の人に相談した方がよろしいのでしょうか。
ですが、ですが!!
『こちらの親御さん、いらっしゃいますかー』
子供に囲まれた、大人の女性の図。
それだけは避けたい、避けたいです!
想像しただけで本当に怖いです、嫌です、恥ずかしいです。
でも、この子達を早く親御さんに会わせてあげたいです。
私も、旦那様に会いたいです。
「……………………」
…………人込み、困っている人を無視する人達。
昔、このような光景、巫女装束を着ていた時、たくさん見てきたな、そういえば……。
誰も手を差し伸ばしてくれなくて、助けを求めても断られて。
誰も、誰も…………。
「? お姉ちゃん?」
どうせ手を伸ばしても、誰も掴んではくれない。
人は皆、自分が良ければそれでいい。それが、人だ。
――――私が、私がこの子達を助けないと。
絶対に、親御さんの所に連れて行かないと!!
「だ、大丈夫だよ! お姉ちゃんが絶対にお母さんを見つけるからね!!」
笑顔を向けるけど、子供達はまだ不安そうに顔を歪ませている。
不安だよね、怖いよね。
「大丈夫、大丈夫だからね」
二人の頭を撫でてあげ、再度立ち上がる。
回りをいくら見回しても意味はなく、知っている人はいない。
「お姉ちゃん」
「ん? どうしたの?」
裾を引っ張られて下を向くと、お兄ちゃんの方が引っ張っていた。
しゃがもうとすると女性の人の名前を呼ぶ声が変に鮮明に聞こえた。
それは子供達にも聞こえたみたいで、一緒に回りを見ている。
「――――あっ!!」
「かーしゃん!!」
あっ、二人がお母さんを見つけ、走り出してしまった。
すぐにお母さんも気づいて二人を抱きしめる。
「ばか!! だから離れるんじゃないと言ったでしょ!!」
「ごめんなさい、ごめんなさい!!」
子供二人は、心から安心したように泣きながらお母さんを抱きしめている。
…………あれが、本当の家族、なのかな。
それとも、あの子達が特別?
私にはわからないけど、良かった。
本当に、見つかって良かった。
…………あの子達にはあるんだ、戻るべき場所が。
家族と呼ばれる、場所が。
…………必死に手を伸ばしても届かなかった光。
ただ、普通の光が欲しかっただけの私。
私のこの手を握ってくれる光、あるのかな。
伸ばしてみるけど、まぁ、あるわけがなっ――……
――――――――ガシッ!!!!
「っ!!」
へ? 前に出した手を、掴まれた?
「ふぅ、まったく。どこに行っていると思ったら……。華鈴、今回の事はさすがに怒るぞ?」
「だ、んな、さま?」
汗が滲み出て、前髪が額に張り付いている旦那様。
サングラスがずれ、髪も乱れております。
そんな旦那様が、藍色の瞳を私に向けています。
「――――ん? どうした、華鈴」
前に伸ばした手が、包まれております。
優しい温もりに、包まれております。
私の手、しっかりと握ってくれております。
「っ!? な。ど、どどどどど、どうしたのだ華鈴!! どこか痛いのか!? 怖かったか!?」
旦那様が急に慌て始めてしまいました。
私がなんの前ぶりもなく泣いてしまったからでしょう。
――――あぁ、だめです。
駄目ですよ、旦那様。
私、私……。
「旦那様」
「な、なんだ?」
「私の手を握ってくださり、ありがとうございます」
大きな逞しい手で、私の手をしっかりと掴んで下さり、ありがとうございます。
本当に、ありがとうございます。
「――――当たり前だ。華鈴の手は我のだ、誰の物でもない、我の華鈴だ。今後、誰かに助けを求めたい時は、他の誰でもない我に手を伸ばすのだぞ? 約束だ」
旦那様が私の甲にキスを落とします。
――――はい。
必ず私は、旦那様に手を伸ばし続けます。握り続けます。
ここが、私の帰るべき場所なのですから。
・
・
・
・
・
・
「すぅ~、すぅ~」
寝てしまったか……。
結局、花火を見る事が出来なかったなぁ。
仕方がない、また行った時にでも見ようか。
…………我の肩で眠ってしまっている華鈴は、安心したような表情を浮かべておる。可愛いな。
膝に置かれている華鈴の手を握ると、我の片手ですっぽりと包み込めてしまう。
こんな小さな手で、華鈴は小さな子供二人を助けようとしていたのだな。
あの時、離れてしまった華鈴を我は、すぐに見つけられると思っていた。
だが、あそこまで人の密が濃いとうまく動けんかった。
気配を探ろうにも、声を聞こうにも。
我は、華鈴を見つけられんかった。
…………怖かった。
我は、この温もりを失ってしまうんじゃないかと、不安になってしまった。
「――――華鈴よ、我を、一人にしないでくれよ。我には、そなたが必要だ」
この小さな手で、我は幾度となく救われておる、幸せを感じ取る。
我も、我と同じ幸せを華鈴に送れるようにしなければ…………。
「我は、絶対に離さぬからな。何があっても、この温もりを――……」
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