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旦那様と迷子
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お洋服屋を楽しみ、私達はウインドウショッピングをしております。
私が行きたいお店や七氏さんが気になったお店に入り、欲しい物があれば買う。
私が少しでも”可愛い”と言えば七氏様が「買うか?」と聞いてくださった時は、少々焦りました。
可愛い=ほしい
ではないと伝えて、今はお品物を見て楽しんでおります。
今、私達がいるのは雑貨屋さん。
誰もが知っている人気キャラクターをモチーフにしたポーチやペン。
デザイン重視の鞄や、ファンシーなエプロンなどが置かれております。
見ているだけで思わず手に取ってしまう程可愛く、惹き付けられております!
「可愛い……」
「これも可愛いぞ、華鈴」
「えっ?」
――――カチャッ
ん? 頭に何かを付けられました。
何でしょう、手に大きなぬいぐるみを持っているのですぐに確認が出来ません。
「ほれ」
近くに置いていた鏡を顔近くに持ってくださいました。
覗き込んでみると――え?
「これって、兎のカチューシャですか?」
「そうだ。華鈴によく似合うだろう?」
「に、似合って、おりますか?」
「似合っておるぞ、可愛い」
――――むっ!!
目を細め、愛らしいというような瞳を浮かべながらそのようなことを言わないでください! 恥ずかしいです!!
「な、なら七氏さんはこちらです!!」
「む? これは、猫か?」
「はい!」
七氏さんが膝を折ってくださったため、頭に付けます。
髪を崩さないため気を付けると――ふぁぁぁぁぁあ!!!
「かっこいい!! かわいい!! 素敵です七氏さん!!」
「さっきより興奮しているなぁ。そんなに似合っておるかぁ?」
「はい! 鏡を見てください!」
先程預かった鏡を渡すと、七氏さんは覗き込みます。
鏡を見ると、首を傾げてしまいました。
ど、どうしたのでしょうか。
猫はあまり好きではなかったのでしょうか。
「くくっ、これは面白い事になっておるな」
「どういう事でしょう?」
「我は狐なのに、今は猫になっておる。面白いなと思ってな」
鏡を片手で持ち変え、七氏さんは片手を猫のポーズにし「ニャーン」と、猫の真似をします。
や、辞めてください、七氏さん。
あ、あの、あの。
心臓が爆散してしまいます!!
で、でも!! 可愛いです! ありがとうございます。
「お、おい。華鈴? 大丈夫か? いきなり俯いて……」
「だ、旦那様が可愛すぎて、心臓が止まる一歩手前でした……」
「そ、それは大丈夫――なんだよな? あと、呼び方が戻っておるぞ」
もう、旦那様が素敵すぎるのが悪いのです!!
・
・
・
・
・
・
七氏さんと共にショッピングモールを楽しんでいて、ちょうど半分くらいまで周り終った頃、もう時間は夜。
七氏さんがスマホを取り出し時間を確認します。
「ふむ、今日はここまでだな」
「えっ…………」
ショッピングモールにも時計があり確認すると、十七時を回っておりました。
確かに、もうそろそろあやかしの世界に帰った方がよさそうです。
ですが、もっと七氏さんと共に遊びたいです。
まだ、周り切っていないですし……。
「華鈴、また来ような」
「うっ、はい…………」
七氏さんが私の頭を撫でて、優しく言ってくださいました。
悲しいですが、また来れる時まで我慢します!
七氏さんと手を離さないよう歩いていると、アナウンスが流れ始めました。
『――――本日夜、二十時より開始される花火大会が間もなくとなりました』
――――へぇ、花火大会。
今日、花火大会という催しが開催されるのですね。
少々気になりますが、もう帰らなければなりません。
「七氏さん、帰りましょう」
「む? 気にならんのか? 花火」
え、あっ――……
だ、旦那様、口元がもぞもぞしております。うずうずしております。
「――――ものすごく気になります!! 行きませんか?」
「おっ、それなら行こうぞ!!」
ふふっ、七氏さん、相当行きたかったみたいですね。
私も気になっておりましたので、楽しみです。
会場へ向かっていると、人が徐々に増えてきました。
会場は屋上駐車場。
辿り着き夜空を見上げると雲一つなく、星空が広がっております。
月が昇り、煌々と輝いておりました。
――――楽しみたいのですが……。
「ふむ、人が凄いな」
「そうですね。これははぐれないように気を付けなければなりません」
絶対に七氏さんの手を離してはいけない。
ぎゅっと繋いでいると、子供の泣き声が……聞こえて、来た?
「――あっ」
二人の子供が手を繋ぎ、泣いております。
もしかしたら迷子かもしれません。
この人込みです、怖いでしょう。
「華鈴、絶対に手をはなっ――――」
――――――――スルリ
凄い不安そうに泣いております、怖がっております。
咄嗟に近付くと、二人の子供が私を見上げてきました。
「大丈夫? お母さんかお父さんは?」
目を合わせしゃがみ聞いてみると、涙を拭きお兄ちゃんかなって方が嗚咽を漏らしながらも頑張って話してくださいました。
「お、お母さん。いなく、なっちゃ、た……」
「お母さんと来たんだね。あの、七氏さん、この子達をっ――――」
あ、あれ? 七氏さん、いないです。
え、七氏さん、いなくなって……。
――――い、いや、違います。
私から、手を離してしまいました。
私から、離れてしまいました。
いくら見回しても、七氏さんを見つける事が出来ません。
あ、あぁ……。
「お姉ちゃん?」
「……………………どうしましょう。私も、迷子になってしまいました」
だ、だだだ、旦那様!?
どこですかぁぁぁぁぁぁああ!!!!
私が行きたいお店や七氏さんが気になったお店に入り、欲しい物があれば買う。
私が少しでも”可愛い”と言えば七氏様が「買うか?」と聞いてくださった時は、少々焦りました。
可愛い=ほしい
ではないと伝えて、今はお品物を見て楽しんでおります。
今、私達がいるのは雑貨屋さん。
誰もが知っている人気キャラクターをモチーフにしたポーチやペン。
デザイン重視の鞄や、ファンシーなエプロンなどが置かれております。
見ているだけで思わず手に取ってしまう程可愛く、惹き付けられております!
「可愛い……」
「これも可愛いぞ、華鈴」
「えっ?」
――――カチャッ
ん? 頭に何かを付けられました。
何でしょう、手に大きなぬいぐるみを持っているのですぐに確認が出来ません。
「ほれ」
近くに置いていた鏡を顔近くに持ってくださいました。
覗き込んでみると――え?
「これって、兎のカチューシャですか?」
「そうだ。華鈴によく似合うだろう?」
「に、似合って、おりますか?」
「似合っておるぞ、可愛い」
――――むっ!!
目を細め、愛らしいというような瞳を浮かべながらそのようなことを言わないでください! 恥ずかしいです!!
「な、なら七氏さんはこちらです!!」
「む? これは、猫か?」
「はい!」
七氏さんが膝を折ってくださったため、頭に付けます。
髪を崩さないため気を付けると――ふぁぁぁぁぁあ!!!
「かっこいい!! かわいい!! 素敵です七氏さん!!」
「さっきより興奮しているなぁ。そんなに似合っておるかぁ?」
「はい! 鏡を見てください!」
先程預かった鏡を渡すと、七氏さんは覗き込みます。
鏡を見ると、首を傾げてしまいました。
ど、どうしたのでしょうか。
猫はあまり好きではなかったのでしょうか。
「くくっ、これは面白い事になっておるな」
「どういう事でしょう?」
「我は狐なのに、今は猫になっておる。面白いなと思ってな」
鏡を片手で持ち変え、七氏さんは片手を猫のポーズにし「ニャーン」と、猫の真似をします。
や、辞めてください、七氏さん。
あ、あの、あの。
心臓が爆散してしまいます!!
で、でも!! 可愛いです! ありがとうございます。
「お、おい。華鈴? 大丈夫か? いきなり俯いて……」
「だ、旦那様が可愛すぎて、心臓が止まる一歩手前でした……」
「そ、それは大丈夫――なんだよな? あと、呼び方が戻っておるぞ」
もう、旦那様が素敵すぎるのが悪いのです!!
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七氏さんと共にショッピングモールを楽しんでいて、ちょうど半分くらいまで周り終った頃、もう時間は夜。
七氏さんがスマホを取り出し時間を確認します。
「ふむ、今日はここまでだな」
「えっ…………」
ショッピングモールにも時計があり確認すると、十七時を回っておりました。
確かに、もうそろそろあやかしの世界に帰った方がよさそうです。
ですが、もっと七氏さんと共に遊びたいです。
まだ、周り切っていないですし……。
「華鈴、また来ような」
「うっ、はい…………」
七氏さんが私の頭を撫でて、優しく言ってくださいました。
悲しいですが、また来れる時まで我慢します!
七氏さんと手を離さないよう歩いていると、アナウンスが流れ始めました。
『――――本日夜、二十時より開始される花火大会が間もなくとなりました』
――――へぇ、花火大会。
今日、花火大会という催しが開催されるのですね。
少々気になりますが、もう帰らなければなりません。
「七氏さん、帰りましょう」
「む? 気にならんのか? 花火」
え、あっ――……
だ、旦那様、口元がもぞもぞしております。うずうずしております。
「――――ものすごく気になります!! 行きませんか?」
「おっ、それなら行こうぞ!!」
ふふっ、七氏さん、相当行きたかったみたいですね。
私も気になっておりましたので、楽しみです。
会場へ向かっていると、人が徐々に増えてきました。
会場は屋上駐車場。
辿り着き夜空を見上げると雲一つなく、星空が広がっております。
月が昇り、煌々と輝いておりました。
――――楽しみたいのですが……。
「ふむ、人が凄いな」
「そうですね。これははぐれないように気を付けなければなりません」
絶対に七氏さんの手を離してはいけない。
ぎゅっと繋いでいると、子供の泣き声が……聞こえて、来た?
「――あっ」
二人の子供が手を繋ぎ、泣いております。
もしかしたら迷子かもしれません。
この人込みです、怖いでしょう。
「華鈴、絶対に手をはなっ――――」
――――――――スルリ
凄い不安そうに泣いております、怖がっております。
咄嗟に近付くと、二人の子供が私を見上げてきました。
「大丈夫? お母さんかお父さんは?」
目を合わせしゃがみ聞いてみると、涙を拭きお兄ちゃんかなって方が嗚咽を漏らしながらも頑張って話してくださいました。
「お、お母さん。いなく、なっちゃ、た……」
「お母さんと来たんだね。あの、七氏さん、この子達をっ――――」
あ、あれ? 七氏さん、いないです。
え、七氏さん、いなくなって……。
――――い、いや、違います。
私から、手を離してしまいました。
私から、離れてしまいました。
いくら見回しても、七氏さんを見つける事が出来ません。
あ、あぁ……。
「お姉ちゃん?」
「……………………どうしましょう。私も、迷子になってしまいました」
だ、だだだ、旦那様!?
どこですかぁぁぁぁぁぁああ!!!!
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