エイリアンチートで新人類に進化した俺は、異星文明で現代地球を開拓して南朝復活をめざします

大沢 雅紀

文字の大きさ
79 / 80

夢の世界へ

しおりを挟む
「ここは……?」
姫子の意識が戻ると、北句麗王国の宮殿にいた。
「あれ?確か私は、ナイトメアと戦っていて……」
「どうしたんだ姫子?難しい顔をして」
振り向くと、王様の恰好をした勇人が優しい笑みを浮かべていた。
「勇人さん!目が覚めたんですね」
喜んだ姫子は勇人に抱き着く。勇人はそんな姫子を優しく抱きしめた。
「おいおい、悪い夢でもみていたのか?」
「夢?今までのはすべて悪い夢?」
「さあ、今から君の戴冠式が始まるぞ。いこう」
勇人は手をさしだしてくる。その先には、優しい笑みを浮かべた母のエルフリーデや、祖父の源人がいた。
「ええ。行きましょう」
姫子は勇人の手を取り、二人で戴冠式が始まる祭壇に昇っていった。
「……あれ?うちは今まで何していたのかにゃ」
美亜の意識が戻ると、なぜか前住んでいた貧乏長屋にいた。周囲には可愛い子猫がたくさんいる。
「ママ、遊んでにゃー」
子猫たちがまとわりついてくる。
「ママ?うちのことかにゃ?」
その時、ガラッと音がして玄関の引き戸があけられ、サラリーマンの恰好をした勇人が入ってくる。
「ママ、誕生日おめでとう。ケーキを買ってきたぞ」
そういうと、ケーキが入った箱を渡してくる。
「あ、ありがとにゃ」
「夕飯のあとで家族みんなで食べような。今夜はご馳走を頼むな。これ、今月の給料」
そういうと、昔懐かしい茶封筒で給料を渡してくる。
「い、いつもお仕事ご苦労さまにゃ。すぐにご飯つくるにゃ」
エプロンをつけて台所に向かいながら、美亜は貧乏ながら温かい家庭の幸せをかみしめていた。
玲の意識が戻ると、魔法巫女ウズメの恰好をして、まがまがしい雰囲気が漂う都市にいた。
「……あれ?いつの間に変身したんだろう」
首をかしげていると、いきなりゾンビのような崩れた人間が襲い掛かってきた。
「危ない!」
襲われた玲を、筋骨たくましい少年がかばい、ゾンビを打ち倒す。
「……勇人?その恰好は?」
勇人はなぜか上半身裸で、胸に北斗七星の跡が浮かんでいる。
「気を抜くな。またくるぞ。あたぁぁぁぁぁぁ『天馬電星拳』」
勇人が放った無数の拳が、ゾンビたちを打ち砕いた。
「……勇人、かっこいい💛」
玲の瞳にハートマークが浮かぶ。
「さあ、いよいよ『奴』の城だぞ。この世界をこんな風にしたあいつを、二人で打ち倒すんだ。そうしたら、いくらでも子供をつくってやるからな」
「……うん。二人で一緒に世界を救おう」
玲は勇人とともに、悪の大魔王が住む城へと向かっていった。

アルカードの意識が戻ると、無数の財宝に囲まれたピラミッドの秘密の部屋にいた。
「ついに伝説の隠しピラミッドの秘宝を見つけたな。俺たちこれで大金持ちだぜ」
隣には、冒険者風の恰好をした勇人がいる。
「さあ、宝をもって帰ろうぜ」
「ふっ」
アルカードは鼻で笑うと、勇人の首筋に噛みつく。すると勇人の姿が掻き消えた。
「くっだらねえ。こんなのが俺の夢だとでもいいたいのか?」
「あらあら、そういえば、あなたは『血人類(バンパイヤ)』と『夢人類(ドリーマー)』のハーフ。あなたにも人の夢を操る力があるみたいね」
遠くから、ナイトメアの嘲笑う声が聞こえてくる。
「なら、どんな夢がお好みかしら。世界の支配者?多くの男に囲まれた女王様?それとも、吸血鬼からただの人間になって平穏な生活を送ることかしら。好きな夢をかなえてあげるわよ」
「お断りだ。俺の夢は自分でかなえてみせる。てめえの好きにはさせねえ」
そういうと、アルカードは自らを取り巻く夢空間を切り裂く。周囲には、無数の人々の夢が浮かんでいた。
その中で、たった一つだけ悪夢にさいなまされている夢を見つける。
「勇人の奴がいるのは、あそこだな」
アルカードの魂は、勇人の魂が封じ込められている白いダイヤに入っていった。

「お前は南方家から追放だ!」
正人から屋敷を追いだされた勇人が、一人街をさまよっている。
「ははは……とうとう追い出されてしまった。ブラックナイトのことも、海設都市のことも、みんなのことも、すべては夢だったのか。そうだよな。宇宙人なんかいるわけないし、俺に手を差し伸べてくれる奴なんているわけないよな」
とぼとぼと歩く勇人の前で、姫子、美亜、玲の三人の美少女に囲まれている桐人が通りかかる。彼らは勇人を見下したように笑うと、ホテル街の方に消えていった。
いつの間にか雪が降ってきており、寒さが体の芯までしみわたってきている。
「……眠くなってきた。もういいや……俺の人生なんて、ここで終わっても誰も困らないんだ」
酔客の小便の匂いが漂う繁華街の路地裏で、勇人は一人座り込む。彼の心は絶望に染まっていった。
その時、厳しい声がかけられる。
「おい。こんなところで何やっているんだよ」
その声に聞き覚えがあるような気がして勇人が顔をあげると、怒っているアルカードが立っていた。
「アルカードか……どうせお前も俺をバカにしてくるんだろ。もう俺のことは放っておいてくれ」
そういうと、再び膝を抱えてうずくまる。
「やれやれ。しょうがねえなぁ。おらっ、しっかりしやがれ」
アルカードは、勇人を無理やり立たせると、強烈なビンタをお見舞いした。
「いたっ!何するんだ!」
ビンタされて、勇人の意識がはっきりする。
「俺たちの救世主ともあろうものが、こんな悪夢程度でくじけるんじゃねえ」
そういうと、アルカードは勇人を力いっぱい抱きしめた。良い匂いが勇人の鼻孔をくすぐり、大きな胸に包まれる。
「ああ……おっぱい柔らかい」
「本当に、このスケベ野郎が」
アルカードは苦笑しながらも、勇人を抱きしめ続ける。
「俺のおっぱいくらい、後でいくらでも触らせてやる。辛かったら俺が支えてやる。さみしかったら俺が側にいてやる。お前は一人じゃねえ。お前に助けられた多くの人が、お前を慕っているんだ」
アルカードの優しい言葉が、勇人のすさんだ心を癒していく。
「いいか。これはナイトメアの悪夢だ。現実のお前は魂だけになって、結晶の中に封じ込められている。まずはそれを破るぞ」
「ああ」
アルカードと勇人は手を合わせて、電力を集中させる。二人の手の先に、すさまじい強さの電気が集まってきた。
『『空震雷』』
2人の手から放たれた球電は、勇人の魂を封じ込めている結晶体を内部から破壊するのだった。

勇人を封じ込めていた白いダイヤが、爆発して砕け散る。
「あらあら。『ダーククリスタル』から脱出できたみたいたね。でも、それからどうするの?今のあなたは魂だけの存在。幽霊じゃなにもできないわよ」
周囲を包む夢空間から、ナイトメアのあざけるような声が聞こえてくる。
「問題ねえ。勇人が宿るべき肉体はそこにある」
元の肉体に戻ったアルカードが、自分の身体の近くを漂う光の玉に呼びかける。
「勇人、あいつに取り憑くんだ」
「あ、ああ。わかった」
勇人の魂は、台に縛り付けられている桐人の身体に入っていった。
「いてて……なんだか臭い匂いがする。それに身体の調子も悪い」
目を開けた桐人は、勇人の声でつぶやく。
「贅沢言うな。おい、その体を通して龍脈のエネルギーを制御して、人々に夢を見させているんだろ。だったら、同じ南朝の血を引くお前にも制御できるはずだ」
「やってみる」
桐人の身体に入りこんだ勇人は、夢をみて眠っている人たちに、全く逆のベクトルのエネルギーを与える。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
幸せな夢を見ていた人々が一転、悪夢に襲われ、その口から絶叫が迸った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

処理中です...