エイリアンチートで新人類に進化した俺は、異星文明で現代地球を開拓して南朝復活をめざします

大沢 雅紀

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要石

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世界統合教会の日本支部に向かっている「カグヤ」に、ブラックナイトから警告が入る。
「日本の龍脈が暴走を始めました。このままでは日本人全員が二度とさめない眠りに落とされ、滅亡してしまいます」
ナイトが現れ、サタンに警告する。空中に映像が浮かび、佐我県の世界統合教会の支部から放たれた電気エネルギーが日本全土を覆っていく様子が映し出された。
「やばいよ。何か始まったみたいだ」
「私たちが止めましょう。みんな、勇人さんを救い出して、奴らの野望を食い止めるのです」
姫子の言葉に、美亜、玲、アルカードも覚悟を決めた顔になるのだった。
「世界統合教会の日本支部が見えてきたよ。あそこに日朝トンネルの入り口があるけど、周囲は信者たちに固められているね」
サタンが地上を示す。豪華で壮麗な建物の近くに「日朝トンネル建設中」と書かれた看板がついた入口があった。
「相手をするのも面倒です。このまま突っ込みましょう」
そういって、姫子は『カグヤ』に降下するように念じる。
「な、なんだあれは」
「巨大なダイヤが落ちてきた。逃げろ」
いきなり空から落ちてきた巨大なUFOに、警備していた信者たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
トンネルに向けて落下した「カグヤ」は、その機体で入口を完全にふさぐ。
「姫子ちゃんって、清楚な顔しているのに意外と過激にゃ」
「勇人さんの魂をとりもどすためには、なんだってやりますよ。行きましょう」
姫子、玲、美亜、アルカード、サタンの五人は、トンネルを通って地下を進んでいく。
このトンネルの内部は立ち入り禁止になっているのか、信者の姿も見かけず、五人は誰にも邪魔されずに奥まで進むことができた。

しばらく進んだところに広場があって、そこには多くの人間がカプセルに入って眠っていた。
「こいつら、なにやっているんだ」
「多分、こいつらは『夢人類(ドリーマー)』の一族だよ。こうやって覚めない夢をみているんだと思う」
カプセルを調べたサタンは、そうつぶやく。
「夢を見ているって?なぜそんなことを?」
「おそらく、このカプセルに捕らえられて強制的に夢を見せられながら、余った脳の機能を利用されているんだと思う。人類の集合無意識領域に作られた、夢の世界を維持するためのコンピューターとしてね。本当に、何度同じ間違いを繰り返せば気が済むんだか」
サタンは、不愉快そうにカプセルを見る。中にいる人間はボロボロにやせ細っており、苦悶の表情を浮かべていた。
「これはまずいよ。こういう方向に文明を進めてしまったら、滅んでしまった僕たちデーモン星人たちの二の舞になってしまうよ」
「行きましょう。勇人さんの魂を取り戻さないと」
五人は多くのカプセルが立ち並ぶ中を、奥へと進んでいった。
何枚もの扉を潜り抜けた策に、三つの大きな石柱が三角形に建っている場所にたどり着く。
石柱の中央の窪みには、それぞれ『雷神剣』『空神珠』『地神盾』が納められ、三角形の中心には気絶している桐人が台に縛り付けられていた。
台の側に立っていたマリアンヌが、通路からやってきた五人に笑いかける。
「ようこそ。我らが『夢人類(ドリーマー)』の都『ユートピア』へ。あなたたちを歓迎するわ」
「その声……お袋なのか?」
アルカードの問いかけに、マリアンヌは苦笑して答えた。
「残念だけど、私はあなたの母親じゃないわ。ただあなたの母親の身体にとりついていただけ。あなたの母親なら、そこにいるわ」
マリアンヌは近くにあるカプセルを示す。そこにはアルカードによく似た美しい中年女性が入っていた。
「私は長い間、『夢人類(ドリーマー)』こそが人類が進むべき進化の方向だとおもって導いてきた。でも、ある日、突然すべてが虚しくなったのよ」
「虚しくなった?なんで?」
サタンの問いかけに、マリアンヌは苦笑する。
「ええ、そうじゃない。なぜ必死に人類を進化させないといけないのか。文明を進歩させようと頑張っているのか。死ねばすべては無になるのに。そんな時、転生をつづけて悟りを開いた『彼』に再会したのよ」
彼女の瞳に、陶酔の色が浮かんだ。
「『彼』の思想に共感した私は、転生するのをやめて、他人に取り付いて永遠に生きることにしたの。これこそが人類進化の最終形態じゃない?」
そういうと、からかうようにお辞儀する。
「改めて名乗るわ。私の名は12使徒の1人、『夢人類(ドリーマー)』のナイトメアよ、よろしくね」
ナイトメアはそう名乗ると、台上の桐人を指さした。
「太古の昔、大和朝廷はこの『要石』を操作することで、日本に住む縄文人たちの脳に作用して意識を従え、王の位についたの。それから2000年、その時代ごとの政権は変われど、王は天皇家であるという意識が日本人に続いたのは、このおかげよ」
『要石』である三つの柱は、起動音を響かせながら電流を発し続けている。
「この「要石」は、後の世の政権に悪用されないように地中深く埋められた。だけど、世界統合教会を使った『日韓トンネル構想』のおかげで掘り起こすことができた。そして天皇家の分家たる南方家の血と、三種の神器のコピーである三種の神宝をささげることで、私の夢がかなうのよ」
「夢ですって?人々を眠らせて、何が夢ですか」
姫子の詰問に、ナイトメアは慈悲深い笑みを見せた。
「そう。人はつらい現世から離れて、なんでも自分の望みがかなう幸せな夢の中にいるべきなの。もうお金を稼ぐためにあくせく働いたり、失恋して辛い思いをすることもない。苦しい勉強をして競争したり、病気で苦しむこともない」
空中に無数の人々の見ている夢が浮かぶ。誰もが自分の願いを夢の中でかなえ、幸せな表情をしていた。
「そして私は人々の意識を支配する『神』になるの。これこそが私の夢よ」
陶酔しきって話すナイトメアに、玲は冷めた目を向けた。
「……あんたの妄想なんてどうでもいい。勇人の魂を返して」
「ああ、これね。いいわよ。私にとって何の価値もないゴミだしね」
ナイトメアは、ポイッと勇人の魂が入った結晶体を投げてきた。姫子は慌てて受け止め、しっかりと抱きしめる。
「その代わり、サタンの脳をいただくわ」
次の瞬間、床からカプセルがせりあがり、サタンの身体を取り込んだ。
「うわっ」
カプセルから電流が迸り、サタンの脳を直撃する。彼女はゆっくりと目を閉じ、深い眠りに落ちた。
「もともと、勇人の魂なんて、夢世界の制御のために『智人類(ブレイン)』の脳が欲しくてサタンをおびき寄せるための餌にすぎなかったしね。あなたたちは見逃してあげる。さっさとお帰りなさいな」
「そうはいかねえ。サタンとお袋と『夢人類(ドリーマー)』の同胞たちも解放してもらうぜ」
身構えるアルカードたちに、ナイトメアはやれやれと肩をすくめる。
「なら、あなたたちも幸せな夢に誘ってあげる」
ナイトメアの手から電流が迸り、姫子たちを撃つ。彼女たちの意識は、夢の世界に運ばれていった。
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