黒の悪魔が死ぬまで。

曖 みいあ

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第一章:あの日、再び

悲劇はいつも、突然に

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「アオバ、これも運んでくれ!」

シゲ叔父さん、本当に嬉しそうだな。

「え~?このテーブル、
これ以上乗るとこないんですけどぉ?」

自分の家で、薪割りやジャムの仕込みを終えた俺は、
誕生日会に向けて、黙々と料理をする、
シゲ叔父さんの手伝いに来ていた。

「まだまだ作るぞ!
ほら、新しいテーブルを出せばいいんだ!」

ワハハ、と豪快に笑い。
笑い方以上に豪快な動作で、隣の部屋から、テーブルを引っ張ってきた。

一人娘の誕生日…まあ、上機嫌にならないわけがない、か。



「…あれ、ヒマリは?」

先程まで、大柄なシゲ叔父さんに隠れつつも、
テキパキと働いていたのに。

ふと気づくと、
働き者の金髪の少女、ヒマリは、
俺の見える範囲から、いなくなっていた。


「あ!あぁ…そろそろ5時半か…。」

シゲ叔父さんは、ついさっきまでの、豪快な笑顔を少し引つらせ。
大の男には可愛すぎるエプロンを、いそいそと脱ぎはじめた。


「え?なになに、なんかの準備?」

俺がそう問いかけている間にも、準備を整えた様子で。
シゲ叔父さんは、玄関に向かっていく。


(玄関?ヒマリを探しに行くのか?)

…っ!!ま、まさか…!!


「俺の可愛い弟の勝負を…邪魔する気!?」

「…。」

「シ、シゲ叔父さん!気持ちは分かるけどっ…!」


無言で出ていこうとする背中を、慌てて呼び止めた。

「分かってる。分かってるよ。
ヨウは、良い子だ…。俺たちなんかより、よっぽどな。」 


「…じゃあ…。」


「ただ…

俺の見てないところで言うなんて、許せん!
男なら、俺の目の前で、堂々と言えってぇんだ!」

そう言って、ワハハと豪快に笑う。
なぁんだ。緊張はしているらしいが、話せばいつもの叔父さんだ。


「いやぁ、いくらなんでも、
初めての告白が、相手の父親の見てる前って…。
うちの可愛いヨウを、あんまりいじめちゃダメだよ?」


ひとまず止めるのを諦めた俺は、
せめてお手柔らかに…と、
叔父さんの背中を、笑顔でちょんっとつついた。

「まあ、アオバに免じて…
…隠れて見るだけに、してやるか!ワハハ!最初はな!」

何だかんだ、嬉しそうに玄関を抜け。
叔父さんは、ゆっくりとした足取りで森へ向かった。


「ヨウなら…ま、大丈夫か。なんたって、俺の弟だしっ!」

ウンウンと、自分に言い聞かせるように納得し。
作りかけの鍋を、一人で完成させるべく、キッチンに戻った。







ーードォォオン!!!



ミタ山の、中腹にて。

日が落ち始め、昼の空から、
夜空に取って代わろうとする景色に

ーー雷鳴のような音と、”黄色い光”が、溶けて…広がる。



…ただそれは、雷ではない。

音の発生源…”大きな切り株”の周囲には、
雷ではありえない…”黄色のモヤ”と、眩しい光が…。



麓の街ジャアナの住人で、
音やモヤに気づいた者は、一人もいなかった。


それに気付けたのは…

…山の中腹付近にいた、数人だけ。



ただ、それは確かに確実に…

”現実だ”とでもいうように、

ひっそりと、山に、ゆるく、鈍く、反響して。ーーー



 
ーーー【黒の再来】まで、あと31分ーーー
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