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第一章:あの日、再び
狂え
しおりを挟む「!?な、なんで…!?」
信じられない、信じたくない人物が。
木の陰から…ゆっくりと、その姿を現した。
「…ヨウ君まで、来てしまいましたか。
…これ以上、誰かを傷付けるのは、本意では…ないのですが。」
困ったような声色で話す人物。
その人物が、上品な仕草で指をパチンとならす。
それが合図だったのか、
彼の周りの地面に突き刺さっていた、”水色の”氷柱が、溶けて消えていった。
その人は…
…たった今溶けた氷と同じ、
”水色”の腕章が、真っ白な隊服に、よく似合っていて。
俺は…何度も、何度も、その姿に憧れた。
見間違える、はずもない…
「ブレイズ…隊長?」
アオ兄の背中越しに見える、信じたくない光景。
信じたくない…信じたくないのに。
少し距離はあっても、その姿は、やっぱり…。
何度も憧れて目に焼き付けた、
真っ白な軍服に、左腕に垂れる真っ白の布。
今まさに、目の前で布ペリースをはためかせて、
俺たちの前に立つのは…ホワイトノーブル隊長、”ヒュー・ブレイズ”、その人だった。
「な…んで…。」
段々と状況を理解し始めた頭で、
それでも認めたくないと、目の前の光景から視線を外し、足元を見つめる。
(何で?何で??どうして、ブレイズ隊長がここに?
誰かを…傷付ける?誰が…?誰を…?なんで…???)
…そんな、彷徨える俺の視線が、視界の端に、”ある色”をとらえた。
ブレイズ隊長の足元…あの輝く”金色の髪”は…
「ヒマリッ!!」
ごちゃごちゃと考えていたことが、全て吹き飛び。
気付けば俺は、一心不乱に、ブレイズ隊長とヒマリの方へ駆け出していた。
「ヨウっ!やめろっ!」
突然飛び出した俺に驚くアオ兄と、
「本当に…本意では、ないのですよ。」
落ち着いた声色でつぶやくブレイズ隊長。
そして、ブレイズ隊長は…いつもと、同じように。
優雅な所作で、左腕を前に突き出し、よく通る声で、こう告げた。
「勅令(ちょくれい)するーーノエル、舞い”狂え”。」
俺の知っている勅令とは、少し…違う。
そう思った矢先。
「なっ!?」
見たことのない…ヒト型の、まるで童話の人魚姫のような。
イルカの尻尾を残しつつ、きれいな水色の長い髪を漂わせた、
そんな可愛らしい水色の少女が、俺とヒマリの直線上にフワフワと漂い。
「ノエル…なのか?そこを…どいてくれ!」
俺が叫ぶのとほぼ同時に、ノエルのまとう”水色のモヤ”から、
…いくつもの氷柱が、形成され。そのずべてが、俺めがけて…容赦なく、一直線に飛んできた。
「うわぁっ!!!」
反射的に目をそらし、その場に頭を抱えてうずくまる。
(…当たるっ!)
そう思った時、後方から
「くそッ!勅令するーーリュウマ、分け与えよッ!」
叫ぶような、祈るような…そんな、アオ兄の勅令が、聞こえた。
ーーー【黒の再来】まで、あと19分ーーー
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