黒の悪魔が死ぬまで。

曖 みいあ

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第二章:新しい世界

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ヨウの叫びが…

風に乗って、ほのかに、空気にとけて。

最強の2人がいる場所へ、流れてきた…その時。



その叫びを、知ってか知らずか。

2人の最強のうち、最初に動いたのは…



「いきますよ。」


ホワイトノーブル”最強”

ヒュー・ブレイズだった。




ーードガッ。ドガッドガッ!!


10本以上の氷柱が…
その大きさに見合わない、ものすごい回転とスピードで。



一直線に…ブラックアビス”最強”

タケト・ノヴァンへと、向かっていく。




「…っ!はっや!!」


氷柱のスピードに驚きつつも、

ノヴァンは、素早くペアレの後方に回り込む。



そして


「ガオォォォオ!!!」


ペアレの…大地を揺らすような、唸り(うなり)声。


と同時に、

振り回された、その立派なタテガミは…

襲ってくる氷柱を、問答無用で、弾き落としていった。




「パワーに、正確さ…完璧な、オーバーですね。」


ブレイズは、自分の攻撃が効いていないことを、冷静に受け止め。

何かを考えるように…じっと、ノヴァンのチカラを、観察する。







「今の氷柱で…ラストらしいな。

んじゃ~次は、こっちから…いかせてもらうぜっ!」


嬉しそうなノヴァンは、
軽やかな身のこなしで…巨大なペアレの背中に、飛び乗った。




「勅令するーーペアレ、”射抜き”放て!」


「ガォォオン!!!」


ノヴァンの勅令に呼応するように、ペアレが雄叫びをあげる。


そして、その巨体に見合う、大きく開いた口の中に

…ひときわ眩しい、光のかたまりが、形成されていく。



それを見たブレイズは

「勅令するーーノエル、舞い狂え。」


素早く勅令し。


あっという間に、分厚い…巨大な、真っ白の盾が

ペアレから、ブレイズを守るように…天に向かって、作られていった。




「そんな氷の盾で…防げるかな?」


ノヴァンが楽しそうにそう言って、

勢いよく、右腕を振り下ろす。




ーーードォォォン!!!



ペアレの口から…
まさに、”射抜く”ような、圧縮された光が、

轟音とともに、一直線に、ブレイズに向かって放たれた。



そのまま…真っ白の盾に、光が突っ込み…




ーーードカドカッ!!!


氷の壁は、盛大に破壊され、

飛び散るように…いくつかの塊となって、地面に降り積もっていく。





「だから、言っただろ?

そんな氷で、防ぎきれるのかって。

後ろのお前までは…攻撃、届いてないかな?」


嬉しそうに、ペアレごと、壊れていく氷の壁に近付くノヴァン。




そこに…



ーーーヒュンっ!!



「防ぐためだと…言った覚えは、ありませんよ。」



壊れていくだけだと思われた…氷の盾から

細かい…棘のような形をした氷が。


ペアレとノヴァン目がけて…

まるで吹き出すように、何百本も、飛び出してくる。



「ちっ!!」


ノヴァンは咄嗟に身をかがめ、
ペアレの背中に潜り込み、その身をかわす。




ただ…数本は避けきれず



ーーザシュッ!


ノヴァンの皮膚が、むき出しの部分…

つまり、顔の辺りを、かすめて飛んでいった。



「あ~あ。俺のイケてる顔が…。

ま、血も滴るイイ男…ってやつか!」


そう言ってニヤけた顔には

血が滲み始めたかすり傷が、数箇所でき始めている。






「ふふっ。面白い人ですね。」

氷の盾は、綺麗な粉雪のように消えていき…

その中から、嬉しそうなブレイズが姿を現す。



「まだ…オーバーは、消えませんか。

その大きさで、そんなにも維持できるとは。

そのチカラ、底しれないですね。…厄介です。」


未だに発現されたままのペアレを見て、

考え込むような仕草で、ブレイズがつぶやく。




「底知れないのは、お前も同じ…だろ?

聞いたぜ、夜が近くても…ある程度のチカラ、使えるんだってな。


…俺と同じ、だな!


でも…その”やり方”は違う…だろ?」



ニヤッと笑うノヴァンと、



「よく…調べていますね。さすが、私達のファンです。」


にこやかに微笑む、ブレイズ。




「そう思うならさ~…

…隠してるチカラ、見せてくれよ。


お前ほどの発現者が、”舞い踊れ”と”舞い狂え”だけなわけ…ないよな?」





「さて…。それは、どうでしょう?」



「つれないなぁ~。

ま、使わなきゃいけないほど…追い詰めればいい、だけなんだけど~。」




まるで、街中で立ち話をしているような…そんな、気軽さで。



2人の最強は、終始にこやかに視線を交わす。








「さて…そろそろヨウは、安全な所に”転送”された頃だな。

お前の目的は、達成できなかったわけだが…この後はどうする?

ファンサービスでも、してくれるか?」



「ふふ、ファンサービス、ですか。」



「そうそう!

せっかく会えたんだし、ファンの質問に、答えてくんない?



1つ目は…

お前は、”黒の悪魔”について、どこまで知ってる?


2つ目は…

ホワイトノーブルの隊員で、真の目的を知っているのは、何人だ?


3つ目は…

”黒の悪魔”を復活させて、世界を牛耳りたいって言ってんのは…どこのどいつだ?

お前がトップってわけじゃ…ないんだろ?



あとは…

う~ん、きりねぇな~。


ファンとしては…好きな食べ物なんかも、

聞いとかなきゃいけない気もするしぃ~。」


ノヴァンは、人懐っこい笑みで、

ペアレから降り…ブレイズに対面して、質問した。




「なかなか…欲張りなファン、ですね。


 1つだけで良いなら、答えましょう。」



「お!じゃあ…1つ目のやつがいいな~。」





「ふふっ。私は…


イチゴが、好きですよ。」




ブレイズは、そう言って笑い…




…真っ白の、短剣で。



ノヴァンの左胸を…深々と、突き刺した。
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