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第二章:新しい世界
決着は、
しおりを挟む「…勅令…放棄、か。」
真っ白な短剣を、自身の左胸に刺したまま。
ノヴァンが…静かに、つぶやいた。
「ええ。
勅令を叫ばずに…チカラを、使わせてもらいました。」
ブレイズは、すでに短剣から手を離し。
少し離れた所で、短剣が刺さったままのノヴァンを、じっと見つめる。
そして…
「ホワイトノーブルで勅令放棄ができるのは…
…隊長3人と、限られた部隊長のみです。
あの日…
アオバ君の勅令放棄にも、意表をつかれましたが。
今日の…
あなたの勅令放棄は、もっと洗練されていて…見事です。」
ブレイズは、微笑みを崩さずに、そう答えて。
「ですが、その”チカラ”で…私の目は、欺けませんよ。」
ーーパチン。
ブレイズが、そう指を鳴らすと…
真っ白の短剣が、吹雪のように、細かい雪に変わり。
周りの空気をかき乱しながら…空に溶けて、消えていった。
そして…
その短剣が刺さっていた、ノヴァンの身体もまた
小さな吹雪と一緒に、空気中に溶けて…消えていった。
荒れた土地に訪れたーー静寂。
その荒野には…
真っ白の隊服を来た青年が、1人だけ。
「やはり、ニセモノ…。
そういう”チカラ”ですね。
本体は…もう、この周辺にはいない…か。」
やれやれ、といった様子で。
ブレイズは、荒れた土地に立ち尽くす。
「ニセモノと入れ替わった瞬間を…目で、追えなかった。
全く…何がホワイトノーブル”最強”だ…
この私が…全力で戦える相手に…
…気が、高揚して。夢中になった…とでも…?」
1人、ぶつぶつと、自問自答する。
そして、少しの沈黙の後。
今度はいつもの冷静な口調で、つぶやいた。
「まぁ…ヨウ君の居場所は、特定できましたし。
どうせヨウ君は…必要ない。ーーー”今は”、まだ…。
それよりも…タケト・ノヴァン、ですか。
私の”夢”を叶えるのに…大きすぎる、障害ですね。」
荒れ果てた土地に残った青年は…空を見上げて
「決着は、…いずれ、また。
それにしても…きれいな、青空だ。」
ポツリと、つぶやいた。
彼の表情は…青空だけが、受け止めた。
「あ~強かった!なんだあれ!バケモノか!?
勅令放棄が遅れてたら…心臓一突きだったぞ!?」
合流したノヴァン大先生は…ものすごいテンションで。
そう、俺たちにまくし立ててきた。
「くっそ~!
俺は”チカラ”、3つも見せたのに…!
あいつぅ~…結局、氷操る”舞い狂え”だけで攻撃してきやがって!
サクの迎えがもうちょい遅ければ、絶対追い詰めて
…新しいチカラ、使わせてやったのに!!」
誰に言うわけでもなく。
「でも、さっすがホワイトノーブル”最強”だよな!
いやぁ~、あんな強いやつ、いるんだな!俺以外に!」
大先生は、合流してから…ずっと、こんな調子だった。
俺は、大先生を1人、あの場に置いてきてしまったこと、
すごく、心配していたんだけど…
「まぁ…大先生が無事で…、良かった、か。」
その、相変わらずな姿を見て。
ほっと胸をなでおろし、ポツリとつぶやいた。
すると…
「良くないわよ!!!
アタシの大切なもの…大切な…お酒が!
全部…全~部、パァじゃないの!!ふざけんじゃないわよ!!」
俺の独り言が聞こえていたのか…
俺の、真後ろで。
ハナ隊長が…
お酒を失った悲しみを…荒れ狂った叫びと動きで、表現し始めた。
ここは、”転送先”にあった…洞窟の、奥深く。
洞窟の入り口からは想像できないほど…
洞窟を進んだ奥には、開けた空間があって。
今はそこに、本部にいた数人の隊員達、全てが集まっている。
そんな、みんなも見ている、状況…なんだけど…
「タケ…あんたねぇ…
なぁ~に敵のこと褒めてんのよ!!嬉しそうにするなバカ!
何のために、いっつも”自信家”やってんのよ!
最強ならねぇ、あんなやつサクッと倒さんかい!!!」
ハナ隊長は、恥ずかしげもなく両腕を広げて
「アタシのお酒コレクションがぁ~!!!」
子どもみたいに、バタバタと暴れ続けた。
(お酒の恨み…すげー…。)
俺も含め、誰も荒れ狂うハナ隊長に近づけないでいると…
「ハナ隊長…!その…怒りの舞い…
…モモも、加勢いたします!!」
1人の子どもが、加わった。
「せっかくお部屋の片付け終わったのにー!
モモの可愛くレイアウトしたお部屋…
誰にも見てもらえずに、潰れちゃったじゃんー!!」
加勢した子ども…モモナは、ハナ隊長と手を取り合って。
ぐるぐると回転しながら、ギャアギャアと文句を言い続けていた。
「そんなことより、あいつ他にどんなチカラ、隠してんのかな!?」
テンションの高い独り言を言いまくる大先生。
「「そんなことですって?!」」
子どもみたいに駄々をこねる2人。
激しい3人が、ついには入り乱れ…
洞窟内の質素な椅子やテーブルが…無惨に、散っていく。
「ちょっと!いい大人がブツブツ言わないっ!
ハナ隊長もモモナも、そんなに暴れたら危ないですわよ!」
それを、必死に止めようとするミチカ。
(カ、カオスだ…!)
そう思いながらも、ミチカに加勢しようとした、その時
「アザミ…。
僕、そんなに長い間、ここから離れたっけ?」
「いえ…。
入り口の結界を確認して、少し外を警戒して…
5分もかからずに、僕たち…戻ってきましたね。」
「だよね…。
5分前と同じ場所とは…到底、思えないなぁ。」
そんな、サクヤ隊長とアザミの
やけに落ち着いた会話が、背後から聞こえてきた。
「アザミ!サクヤ隊長っ!
この状況を止められるのは…2人しかいない~!」
俺は、くるっと半回転して。
頼もしい2人に泣きついて、助けを求めた。
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