57 / 72
第三章:来たる日に備えて
黒vs白、開戦
しおりを挟むーーベシッ!!
「…いたぁっ!」
レンが、まさに勅令しようとした、その時。
突然後ろから現れた人物に、レンは頭を叩かれて。
その勅令は、途中でストップされた。
「なーに勝手に勅令しようとしてんだ。
よく見ろよ。あいつ、探してた”禁色”だろ?
お前、バカか?
”禁色”ごと、攻撃しようとしてんじゃねーよ。」
レンを叩いたのは、
レンと同じ真っ白の隊服に身を包んだ、
ガラの悪そうな、金髪で、ツンツンと派手な髪型の男。
たぶん、20歳ちょっと位だ。
「…すみません。つい、カッとなって…。」
レンは、ハッと我に返った表情をして、
そのままゆっくりと、突き出していた右腕を下げた。
「ったく。
チェリーナ隊長からの頼みだし?
ポイント稼ぎで引き受けたのは良いけど…
これじゃ、新人教育どころか、
自分の感情も制御できない、ただのガキのお守りじゃねーか。」
レンの謝罪を聞いても、
派手男は、イライラしたまましゃべり続ける。
「ま、
”禁色”は見つかったし、結果オーライってことにするか。
レン、お前は邪魔だから、下がって頭でも冷やしてろ。
俺がソッコーで終わらせてやる。」
レンに向けて、シッシッっと、
手で、下がるように指示を出して。
派手男はそのまま、
俺とシオンに向かって、歩き始めた。
「それ以上、近付くな!」
俺は、ひとまず大声で警告する。
派手男は、俺の警告を聞いて
ムスッとした表情のまま、
4メートル位離れた所で止まった。
「あと一歩でも近付いたら…
問答無用で、チカラを使わせてもらう。」
(俺のチカラ…戦闘には、向かないけど…。)
内心、不安に思いながら。
俺は、悟られないように堂々と、
ハッタリの脅しをかけてやった。
…んだけど。
派手男は、全然こたえてない様子で、
緊張感のない口調のまま、ヘラヘラと返事をする。
「いやー。なんか、嫌われてんな。
ご存知、我々は…
正義の味方、ホワイトノーブルですよ?」
そう言って笑う派手男は、
さっきまでの、
イラッとした表情から、コロッと変化していて。
まるで別人みたいな、爽やかな笑顔と、口調。
「”禁色”の…シオン君、だったね。
私達の組織は、君を…
君の隣の、コートの下に真っ黒の隊服を着た
【黒の悪魔】の組織の魔の手から、保護するために来たんだ。
我々と一緒に、来てくれるね?」
そう言って微笑む、派手男の周りには…
【”禁色”ってだけで…
監禁されんだから、こいつも可哀想だな。】
【俺は褒美が貰えればそれでいいけど。】
【今後は”家族も一緒に監禁”だったな。】
【こいつが手に入れば、黒の悪魔復活も、すぐか?】
明らかに、ホワイトノーブルの
”闇の部分”について、書かれた付箋が、舞っていた。
「こいつ…”知ってる側”だ…!」
俺は、情報たっぷりの付箋を読むのも後回しにして
(今は…狙われているシオンを、絶対に守る!)
繋いでいた手を離し、シオンより一歩前に出て。
俺の背後に、シオンを隠すように押し込んだ。
「俺が、”知ってる側”…?
ま、何のことか知らねーけど。
【黒の悪魔】を捕まえろって指示は、”まだ”出てないからな。
お前は、今回はスルーだ。」
そう言って、派手男は…
慣れた手つきで、左腕を前に突き出した。
「勅令するーーナナ、滑り寄れ。」
ーーヒュンッ!!
「ちっ!!!」
流れるような勅令に、反応が追いつかなくて。
反射的に、背後のシオンをかばいながら
2人して、その場にうずくまることしかできなかった。
それに、
目では追えなかったけど…
明らかに、”何か”が
俺とシオン目がけて、迫ってくるのを感じた。
「それでガードしたつもりか?
俺のナナからは、逃げられねーよ。」
派手男の、冷やかすような声が聞こえた、
その時…
「行っちゃダメ!!!」
俺とシオンの後方から、
ミチカの、叫ぶような声が聞こえた。
「ぐっ!!!」
ミチカの叫びのすぐ後、
すぐ近くで聞こえた、うめき声。
その声に驚いて、
うずくまっていた顔をあげると…
「叔父さん!ツカサ叔父さんっ!!」
シオンの叔父さんが。
俺とシオンの目の前で、
真っ黄色の紐…いや、リボンに。
生き物のようにうねり、動くリボンに、縛りあげられていた。
「ぐっ…!くそっ…おい、そこの派手な男!
シオンは…どこにも、行かないぞ!
これ以上、シオンに近付く、な…っ!」
そう、叫びながら
シオンの叔父さんが、
真っ黄色のリボンに、どんどん縛られていく。
「だめだっ!叔父さんも、狙われてる…!」
シオンがそう叫んで、リボンに手を伸ばす。
俺も一緒になって、必死にリボンを解こうとするけど
「くっそ!なんだこれ!」
俺たちの手は、
絡まっていくリボンに、何の影響も与えられなかった。
「急に出てくんなよなー。
ま、”禁色”の家族っぽいし?このまま連れて帰るか。」
そう、面倒くさそうに話す派手男の周りには
派手な、真っ黄色のモヤが溢れていて。
その中心には…
真っ黄色の、手乗りサイズのヘビが、1匹。
空中を泳いでるみたいに、漂っていた。
「あれが、あいつのオーバー…!」
そのヘビを、よく見てみると…
金色の、リボンが。
可愛らしく、蝶々結びで、
ヘビの身体を着飾っているみたいに、結ばれていた。
「おい、新人。
こいつ、預かっとけ。」
そう言って、派手男が腕を軽く振ると
「ぐあっ!!!」
シオンの叔父さんは、大きな悲鳴をあげて
「ツカサ叔父さんっ!!!」
シオンの叫びも虚しく。
リボンに縛られたまま、
ぐったりと動かなくなった身体は、
引っ張られるように空中を動き、
派手男の後ろにいた、レンの隣の地面に横たえられた。
「ちょっとチカラ強めて、気絶させといたから。
これなら新人でも、監視できんだろ?
俺って優しー。
じゃ、”禁色”を捕まえるまで、ちゃんと見張っとけよ。」
派手男はそう言って。
改めて、俺とシオンの目の前に立つ。
「大人しく…は、捕まってくれない感じ?」
「…覚悟しろ。」
シオンは、いつもの無表情からは想像もつかないほど
眉間にシワを寄せて、派手男を睨みつけてつぶやいた。
そして、
「ヨウ…お願いがある。
叔父さんのこと…任せたい。
ヨウのチカラなら…レンを、説得できる。
俺は…この金髪を…気絶、させたい。」
シオンは、
派手男から目をそらさないまま、
俺に向かって、ハッキリとつぶやいた。
「シオン…!
分かった。叔父さんは、俺に任せろ。
んで…その金髪は、お前に任せる!
思いっきり気絶させろよ!
ミチカ!
お前は、大先生を迎えに行け!」
「…うん、気絶させる。」
「分かったわ!」
こうして…
シオンvs派手男
俺vsレン
の
ブラックアビスvsホワイトノーブルの戦いが、始まった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣
織部
ファンタジー
ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。
セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。
「セラ、ウミ」
「ええ、そうよ。海」
ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します!
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる