敵対勢力の私は、悪役令嬢を全力で応援している。

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皇子の婚約者と私の婚約者

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 その後も、和やかな淑女の戦いは続きましたが、良きところでお開きとなりました。


 因みにわたくしはお茶会で、[可もなく不可もなく]を目指しました。家紋に泥を塗らず、失礼にならないように手を抜くこともせず、良い塩梅の対応を心がけました。



 帰りの道すがら、本日の成果について、父から根掘り葉掘り聞かれました。

「お父様。今日は、わたくしが持てる精一杯を、出し切りましたの。ですので、結果をお待ちくださいませ」
と、回答しました。


すると父は大喜びで、
「アメリーが全力を出せたのならば、きっと婚約者になれるだろう!今夜は祝杯だ!!」と、小躍りしながら大喜びしておりました。

 嘘は申しておりませんし。何の問題もありません。




 数日後、新聞にて婚約者がフィルミーナ・デル・アックンヤークン公爵令嬢に内定したと、報道されました。


 この時、第一皇子殿下のお名前が、カイル殿下なのだと初めて認識致しました。
 どれだけ興味がなかったのかと、自分自身に少し戸惑いを覚えました。


 朝、食卓で記事を見たお父様は、半狂乱になり、
「何かの間違いだ!抗議に行ってくる!」
と、すぐさま家を飛び出してしまう勢いでした。


「お父様。申し訳御座いません。私、頑張ったのですが、力及ばずで…」

 と、女優顔負けの演技力で、父に泣き付きました。

「おぉ!泣かないでおくれ!アメリーよ!!お前が悪いわけではない!問題は見る目のない皇子と皇妃だ。そして、父の政戦が及ばなかったのが原因だ。アックンヤークンめ、きっと卑怯な手を使ったに違いない!」


「いいえ、お父様。私の力が及ばなかったのですわ。皇子様の婚約者になることは叶いませんでしたが、今後はもっと精進して参りますわ。不甲斐ない娘でごめんなさいお父様」


「アメリーよ!案ずるでない!父がもっと良い嫁ぎ先を、必ず見つけて来よう!心配するでない!この国を掌握するのは我々だ!未来は明るいぞ我が娘よ!」


「はい。お父様」


 そして、今後の計画を練るべく、早速父は何処かへ行ってしまいました。



 黙ってニコニコと話を聞いていた母が、声をかけてくる。

「ところで、アメリーちゃん。皇子様は好みじゃなかったの?」

 どうやら母には、全てお見通しであったようです。

「ええ。お母様。私には勿体無さ過ぎる、お人でしたわぁ」


「あらあら。なら、仕方ないわね」
 と、優雅にお茶を飲まれた。

「気が変わったら、いつでもお母様に教えて頂戴ね?」

「はいお母様」


 こうして私は無事に、皇子殿下の婚約者選定に脱落致しました。

 
……………………………



 
 無事に皇子様の婚約者とならなかった私は、淑女教育は継続しながらも、穏やかな日々を過ごしておりました。
 
 

 そんなある日、お父様が
「喜べアメリー!国を掌握する縁談を、この父が持ってきたぞ!」
 と、賑やかにご帰宅されました。


「まぁ。流石は私の旦那様。どこのどなたですの?」
 お母様がニコニコと、しかし、怪訝そうに確認されました。



「私は考えたのだ!政治は会議室で動くと!つまり、会議の最高権力者こそ最強なのだ。よって、現・宰相閣下ミーガン侯爵の御子息ウィリアム・デール・ミーガン殿との縁談を、打診したのだ!」



 なるほど。確かに、宰相閣下であれば、国を動かしていらっしゃいます。


 それに父は多分考えておりませんが、財務を司る我が家との相性は抜群でしょう。


 本当に国を掌握することも、事実上可能です。


 母も疑問に思われたようで、
「まぁ!流石は旦那様だわ!でも、宰相閣下の御子息との縁談は、陛下の許可が降りるのかしら?」



「安心しろ我が愛しの妻よ!私に不覚はないのだ!既に許可をもぎ取ってきておる。さぁ来週早速、顔合わせだ!皆一丸となって準備するのだ!ハハハハハハハ!」
 と、高笑いしながら立ち去る父。


「アメリーちゃん。どうやら、来週我が家で顔合わせのようね。楽しみね。準備なさいね。それにしても、流石は私の旦那様だわ。今日も本当に可愛いわ」
 と、母は恍惚としながら、父の後を追って行きました。


 残された私は、一抹の不安を覚えたものの、とりあえず今出来ることをしよう。と、準備を進めることにしました。



………………………………………



 両家顔合わせ当日。

 結果から言うと、無事に婚約は締結されました。

 このときより、私の婚約者はウィル(ウィリアムの愛称)となりました。

 ウィルは、皇子殿下とは違う方向の端正な顔立ちでした。穏やかな方のようで、薄く微笑みを浮かべておりました。


 宰相閣下としても我が家との婚姻は、願ったり叶ったりだったようで、その場で婚約締結となりました。


 家同士で結ぶ婚約に、当人同士の意思は必要ではありません。


 婚約に関する取り決めを、親同士で話し合う間、ウィルに我が家の庭園を案内しました。その際に、お互い自己紹介を交わしました。


 私がウィルと、ウィルがアメリーと呼び合うと決め、これからよろしくお願いします。と、お互いに事務的なやり取りを致しました。


 初対面でしたが、口数が多くなく、穏やかな雰囲気のウィルのことを、私は好ましく思いました。ですので、ウィルと婚約出来たことを、とても嬉しく思いました。


 また同時に、婚約を結んだことで、今後皇子妃にならなくて良いことも、嬉しかったのです。



 婚約を結んだ後の、私とウィルは定期的に会ったり、手紙のやり取りをしたり、贈り物をしたりと、幼い頃から仲良く過ごしておりました。

 私の話を、ウィルが優しく聞いてくれる。
それだけでも、とても嬉しく、幸せに感じておりました。


 私は、ウィルのことを、大変好ましく思っておりました。

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