敵対勢力の私は、悪役令嬢を全力で応援している。

マイネ

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パーティーの後には。悪役令嬢と悪役令嬢の邂逅。

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 そしてその日、家に帰ると、またもや父からの質問攻めに会いました。


「フィルミーナ嬢が殿下に婚約破棄されて、サラ様という男爵令嬢を婚約者に。と、殿下が宣言されましたの。私、これはチャンスだと思い、いっぱいお話ししてきましたわぁ」


 と、父に告げました。もちろん嘘はありませんわ。


 すると父は、
「よくやったアメリーよ流石だ!我が家の未来は明るいぞー!ハハハハ!」


 と、いつもの高笑いして、何処かに行ってしまわれました。


 すると隣で聞いていた母から
「それでアメリーちゃん、何があったの?」
 と、改めて聞かれました。


 殿下が近日おそらく継承権剥奪、もしくは廃太子されること。フィルミーナ嬢への婚約破棄は、本当に宣言されたこと。また、間接的にフィルミーナ嬢を庇ったこと等を、母に共有しました。


「ですのでお母様。お願いがありますの。
 私、予定より早めにウィルと結婚したいわぁ」

 と、母に告げました。

「まぁー!わかったわアメリーちゃん。お母様、頑張るわね!」
 と嬉しそうに同意し、応援してくれることとなった。




……………………………………




 月日は流れて翌月、学園にて。

 今までお話をしたことのないご令嬢が、話しかけて参りました。

 その方によると
「フィルミーナ様が個別にお話をしたいので、お時間頂けませんか?」
 とのことでした。

「かまいませんわよ」
と、答え令嬢の後を付いていきました。

 するとそこには、少し疲れた見た目のフィルミーナ嬢が居りました。


「アメリー様、先日のパーティーでは、お助け頂き、ありがとうございました。色々と忙しくて、お礼が遅くなり、申し訳ございません。」

「いえ。そのようなこと仰らないでくださいませ。
 私が勝手に行ったことですわ。

 それにこちらこそ、フィルミーナ嬢のお考えをわかりながらも、自分のために、勝手な対応をしてしまいましたわ。

 心より謝罪致します。」


 そう。私はわかっておりました。
 あの程度の冤罪を、フィルミーナ嬢が追求されるはずがなく、跳ね返せない訳がないと。

 ですので今回の件は、完全に私が余計なことをしたのです。


 フィルミーナ嬢の瞳が、驚きで見開かれる。
「…アメリー様には敵いませんわ。バレてしまっていたのですね…」

「甘くみないでくださいませ。バレバレでしたわぁ」

 と言うと、2人の間に笑みが溢れた。


 そう。フィルミーナ嬢はあの時、殿下を守るために、黙って追及を受けていたのです。

 あの場でフィルミーナ嬢が跳ね返せば、殿下は衆人環視の中で、無実の公爵令嬢を根拠なく責め立て、断罪したことになります。
 その結果、殿下は間違いなく、身分剥奪。最悪、命を失うことになっていたでしょう。陛下も子がいくら可愛くても、要らぬ反乱は避ける決意をされていたでしょう。


 それを防ぐため、フィルミーナ嬢は大きく抵抗しないことを、選ばれていたのです。


「ですが、アメリー様のお陰で助かったのは、紛れもない事実ですわ。何か御礼をさせて頂きたいのですが、何がよろしいかしら?」

「…でしたら、私のお友達になってくださいませ。公に仲良くすることは、残念ながら今後も出来ないと思いますが。
私は昔からフィルミーナ嬢と、お友達になりかったのですわぁ」

「まぁ私もですわ。アメリー様とお友達になれるなんて、とても嬉しいですわ。サラ様にも感謝しなくてはなりませんね」

 それを聞いて2人でまたクスクスと笑う。


「でも、それだと御礼になりませんわ。物でもなんでも、かまいませんので、何か御座いませんか?」

「でしたら、私、ウィル…婚約者のウィリアムとどうしても結婚したいのです。
 ですので、フィルミーナ様には、今年度の終わりまで殿下の婚約者の座を、明け渡さないで欲しいのです」



 そう。あの場で婚約破棄を宣言したものの、正式な宣言ではなかったため、殿下とフィルミーナ嬢は、まだ正式には婚約破棄はされいなかったのです。

 そして、そのお願いはフィルミーナ嬢にとって、なかなか大変なお願いだと、わかっておりました。

 しかし、私も譲れない条件でしたので、恥を偲んでお願い致しました。


 しばらく考えた後、フィルミーナ嬢は
「簡単では御座いませんが、不可能ではありませんわ。その件、承りましたわ」
 と、回答してくれた。

「まぁ。ありがとうございます。難しいことなのはわかっておりますが、受けて頂き、心より感謝致しますわぁ」


「お任せください。フィルミーナが必ずやり遂げますわ。
でも、意外でしたわ。アメリー様は殿下の婚約者になりたいのかと、思っておりましたわ」



「フフフ。なぜか皆様そのように思われているのですが、私はウィルと結婚したいのです。

 ウィルってとっても素敵でしょ?もちろんあげられませんけれど。

 それに、私は皇妃にはなりたくないのです。

 殿下には申し訳ないのですが、私には殿下のことが幼き頃から、皇妃という職務を背負ってやってくる、バケモノにしか見えないのですわぁ」


「まぁ。それはとっても不敬ですわね。それに、まだ私の婚約者でしてよ?」


「あら?そうでしたわ。ごめんあそばせ?」


 そして、またお互いに笑い合った。
その日は短いながらも、とても楽しいひと時を過ごしました。



 翌日からはフィルミーナ嬢とは、また元通りの敵対陣営となり、交流は一切なくなりました。

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