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第二章 君を守るために僕は夢を見る
四十八話 終熄への日々(1)
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後に京都御馬揃えで知られる軍事パレードの準備は、急ピッチで進む。
日時は天正九年(1581年)二月二十八日と決められ、参加者に通知が送られる。
通知が送られた者は、断ると信長の不興を買う恐れがあるので、まずは参加する。
全員参加の前提で、光秀は京都での宿泊場所を次々に手配する。
交通整理の手配と雑踏監視の根回しを進めさせ、朝廷関係者が観覧する一帯の警備態勢のすり合わせをしておく。
そして光秀を手伝うと約束した金森長近は、領地・越前大野から馬の商人と絹織物の職人を多数呼び寄せて、参加者の衣装・馬具を揃える商売を後押しする。
「参加する馬廻や小姓、弓衆の準備を手早く終わらせて、イベント運営の手伝いに回し易いようにする」
それほど身分の高くない参加者は、目立ちたいけど金と時間はそれほどかけたくないけど恥ずかしくないファッションはしたいと、あーだこーだ悩むだろう。
長近は、そういう低予算参加者向けのサービスを充実させて、儲ける。
「流石です先輩。自分ではなく、他人を回す為に根回しするとは」
実際に人手が増すので、光秀は助かる。
「助っ人も呼んだ。腕力と計算力が余っている奴」
上杉征伐が順調過ぎて暇だった前田利家が、他の参加者に先んじて安土城まで来る。
こんな無双キャラでも四十歳を過ぎると、最前線で戦闘するより、後方安全地帯でのデスクワークの有り難さに、足が軽くなる。
「でかいっっ!!? 下から見上げると、意味不明にデカい!」
「上からだと、琵琶湖の反対側まで一望出来る。話は通しておくから、後で見物に行け」
長近の薦めに、利家はキリッと断りを入れる。
「仕事が先だ。それに観光目的で城に入るなどと、不届きだぞ」
「又左(前田利家の通称)。安土城の前の行列。観光客だぞ」
前田利家は、安土城前の待機列を見廻し、絶句する。
織田信長は、全国から集められた名物・工芸品・絵画・珍品を、安土城内で一般公開している。
有料で。
「てっきり、殿への挨拶に来た人々かと」
「挨拶に来た連中は、日時を決めて広場に集めて殿の方から会いに行く。その方が早いから」
「不用心…いや、この一帯は平和か」
戦国時代が終息に向かいつつあるのだと、利家はしみじみと観光客の行列を見渡す。
見渡した列の先で、信長が観光客から入場料を直接徴収していたので、吹く。
「ほら、どんどん払って、どんどん入れ!」
信長が入場料を受け取り、小姓たちが金額を確認し、集金袋に入れる。
どう考えても天下人が直々にやる仕事ではないが、信長らしさが表れている。
こんな信長を間近で見物出来るだけでも、料金に見合う。
そのうち、信長と利家の眼が合う。
「又左(前田利家の通称)!!」
「お久しゅうございます(ぺこり)」
「おみゃあも料金を払え」
古馴染みに挨拶しながらも、集金の手は緩めない。
「いえ、俺は殿に挨拶するついでに、安土城の上層階から琵琶湖を見渡すだけですので。美術品とかには、全然興味が無いです。という訳で、割引きを」
「遂に又左にもサボり癖が伝染したか」
信長が長近を睨み付けるが、長近は利家が腰に提げている算盤を指差す。
「京都御馬揃えの諸費用計算の手伝いで呼びました」
「で、あるか」
長近絡みの案件なので、信長は興味を無くして集金業務に戻る。
利家の方は、更に興味を募らせる。
「お、そこの超絶美形小姓が、森乱丸? 大きくなったなあ。親父さんに…似てないな」
「中身はそれなりに、そっくりですよ」
集金作業を緩めずに、乱丸が煩い大型中年おじさんに笑顔を返す。
サーバルキャットが縄張りに接近した相手に向ける笑顔だった。
弄ると怖そうなので、利家は引き下がって長近の斡旋してきた仕事に向かう。
安土城下の明智光秀の屋敷に入ると、その空気のひりつき加減に、前田利家ですら二の足を踏む。
家中の者は、礼儀正しく大人しく書類仕事に励んでいる。
喧嘩も口論も、ない。
だが、起きても全く不思議ではない緊張感が漂っている。
織田家領内の各地方から与力として召集された家来&明智の古参家来&佐久間等のリストラされて吸収された家来衆が、一箇所で書類仕事。
「はっはっは、剣呑な雰囲気だなあ。ひょっとして、喧嘩したら成敗?」
利家は冗談で言ったのだが、聞こえてしまった人たちはドン引きしている。
「他家の人と喧嘩したら、即成敗か自害。口論しても、即成敗か自害。それが今の明智家です」
急成長した多国籍軍を抱えて信長の至近距離で良い子ちゃんでいさせるには、そこまで厳しくするしかない。
とはいえ、口論でも即成敗という職場環境で、平気でいられる人材は滅多にいない。
長近の解説を聞いて、利家は納得する。
「成る程なあ。この俺に弄られても反論出来ないし、喧嘩を吹っ掛ける遊びも出来ない。それはキツイな」
「という訳で、今の又左は無敵モードだ。それを踏まえた上で、して欲しい仕事は…」
長近は、書類仕事をしている家来衆の中で、最も奥の方で経費の処理をしているコーナーに誘う。
「第三者の視点で、京都御馬揃えに関わる全ての資金の流れをチェックしてくれ。不正があれば関係者を残らず突き止める」
「監査だけでいいのか?」
「不正が見つかった段階で、明智家が即処分する。又左が手を汚すまでもない」
「ネズミの炙り出しか。よし、今ある会計の書類を、片っ端から全部見せろ」
明智の家来衆は
「は? 一人で捌ける量じゃありませんけど?」
みたいなアンビリーバボーな視線を向けるが、長近も利家も涼しい顔だ。
後に前田家が百万石の大大名になっても、決済は全て自分で行なった前田利家である。
大イベントの会計監査も、一人で処せる。
後に豊臣政権から全幅の信頼を寄せられるのも、秀吉との人間関係より、会計面での正常さが大きい。
前田家にはこの『正常な経営』という基本方針が受け継がれており、豊臣政権・徳川幕府だけでなく明治政府立ち上げ時期も頼りにされた。
これで光秀の負担が、また減った。
「これが終わったら、先輩みたいに、茶の湯で暇潰ししよう」
光秀が茶室で寛ぎながら、何かのフラグを立て始めたが、長近は放置する。
完全に壊れるようなら、信長が速やかにリストラする。
その筈だ。
長近が手を汚さなくても、信長がこの『使えるけど性分が毒蛇』な人材を、使い潰して捨てるはずだ。
その筈だ。
任せた家来たちを「迷惑をかけそうになったら即殺処分」するような外道な男は、用が無くなり次第、捨てる筈だ。
信長は、ずっとそうしてきた。
そこで失敗るとは、信長の周辺では、誰も考えていなかった。
日時は天正九年(1581年)二月二十八日と決められ、参加者に通知が送られる。
通知が送られた者は、断ると信長の不興を買う恐れがあるので、まずは参加する。
全員参加の前提で、光秀は京都での宿泊場所を次々に手配する。
交通整理の手配と雑踏監視の根回しを進めさせ、朝廷関係者が観覧する一帯の警備態勢のすり合わせをしておく。
そして光秀を手伝うと約束した金森長近は、領地・越前大野から馬の商人と絹織物の職人を多数呼び寄せて、参加者の衣装・馬具を揃える商売を後押しする。
「参加する馬廻や小姓、弓衆の準備を手早く終わらせて、イベント運営の手伝いに回し易いようにする」
それほど身分の高くない参加者は、目立ちたいけど金と時間はそれほどかけたくないけど恥ずかしくないファッションはしたいと、あーだこーだ悩むだろう。
長近は、そういう低予算参加者向けのサービスを充実させて、儲ける。
「流石です先輩。自分ではなく、他人を回す為に根回しするとは」
実際に人手が増すので、光秀は助かる。
「助っ人も呼んだ。腕力と計算力が余っている奴」
上杉征伐が順調過ぎて暇だった前田利家が、他の参加者に先んじて安土城まで来る。
こんな無双キャラでも四十歳を過ぎると、最前線で戦闘するより、後方安全地帯でのデスクワークの有り難さに、足が軽くなる。
「でかいっっ!!? 下から見上げると、意味不明にデカい!」
「上からだと、琵琶湖の反対側まで一望出来る。話は通しておくから、後で見物に行け」
長近の薦めに、利家はキリッと断りを入れる。
「仕事が先だ。それに観光目的で城に入るなどと、不届きだぞ」
「又左(前田利家の通称)。安土城の前の行列。観光客だぞ」
前田利家は、安土城前の待機列を見廻し、絶句する。
織田信長は、全国から集められた名物・工芸品・絵画・珍品を、安土城内で一般公開している。
有料で。
「てっきり、殿への挨拶に来た人々かと」
「挨拶に来た連中は、日時を決めて広場に集めて殿の方から会いに行く。その方が早いから」
「不用心…いや、この一帯は平和か」
戦国時代が終息に向かいつつあるのだと、利家はしみじみと観光客の行列を見渡す。
見渡した列の先で、信長が観光客から入場料を直接徴収していたので、吹く。
「ほら、どんどん払って、どんどん入れ!」
信長が入場料を受け取り、小姓たちが金額を確認し、集金袋に入れる。
どう考えても天下人が直々にやる仕事ではないが、信長らしさが表れている。
こんな信長を間近で見物出来るだけでも、料金に見合う。
そのうち、信長と利家の眼が合う。
「又左(前田利家の通称)!!」
「お久しゅうございます(ぺこり)」
「おみゃあも料金を払え」
古馴染みに挨拶しながらも、集金の手は緩めない。
「いえ、俺は殿に挨拶するついでに、安土城の上層階から琵琶湖を見渡すだけですので。美術品とかには、全然興味が無いです。という訳で、割引きを」
「遂に又左にもサボり癖が伝染したか」
信長が長近を睨み付けるが、長近は利家が腰に提げている算盤を指差す。
「京都御馬揃えの諸費用計算の手伝いで呼びました」
「で、あるか」
長近絡みの案件なので、信長は興味を無くして集金業務に戻る。
利家の方は、更に興味を募らせる。
「お、そこの超絶美形小姓が、森乱丸? 大きくなったなあ。親父さんに…似てないな」
「中身はそれなりに、そっくりですよ」
集金作業を緩めずに、乱丸が煩い大型中年おじさんに笑顔を返す。
サーバルキャットが縄張りに接近した相手に向ける笑顔だった。
弄ると怖そうなので、利家は引き下がって長近の斡旋してきた仕事に向かう。
安土城下の明智光秀の屋敷に入ると、その空気のひりつき加減に、前田利家ですら二の足を踏む。
家中の者は、礼儀正しく大人しく書類仕事に励んでいる。
喧嘩も口論も、ない。
だが、起きても全く不思議ではない緊張感が漂っている。
織田家領内の各地方から与力として召集された家来&明智の古参家来&佐久間等のリストラされて吸収された家来衆が、一箇所で書類仕事。
「はっはっは、剣呑な雰囲気だなあ。ひょっとして、喧嘩したら成敗?」
利家は冗談で言ったのだが、聞こえてしまった人たちはドン引きしている。
「他家の人と喧嘩したら、即成敗か自害。口論しても、即成敗か自害。それが今の明智家です」
急成長した多国籍軍を抱えて信長の至近距離で良い子ちゃんでいさせるには、そこまで厳しくするしかない。
とはいえ、口論でも即成敗という職場環境で、平気でいられる人材は滅多にいない。
長近の解説を聞いて、利家は納得する。
「成る程なあ。この俺に弄られても反論出来ないし、喧嘩を吹っ掛ける遊びも出来ない。それはキツイな」
「という訳で、今の又左は無敵モードだ。それを踏まえた上で、して欲しい仕事は…」
長近は、書類仕事をしている家来衆の中で、最も奥の方で経費の処理をしているコーナーに誘う。
「第三者の視点で、京都御馬揃えに関わる全ての資金の流れをチェックしてくれ。不正があれば関係者を残らず突き止める」
「監査だけでいいのか?」
「不正が見つかった段階で、明智家が即処分する。又左が手を汚すまでもない」
「ネズミの炙り出しか。よし、今ある会計の書類を、片っ端から全部見せろ」
明智の家来衆は
「は? 一人で捌ける量じゃありませんけど?」
みたいなアンビリーバボーな視線を向けるが、長近も利家も涼しい顔だ。
後に前田家が百万石の大大名になっても、決済は全て自分で行なった前田利家である。
大イベントの会計監査も、一人で処せる。
後に豊臣政権から全幅の信頼を寄せられるのも、秀吉との人間関係より、会計面での正常さが大きい。
前田家にはこの『正常な経営』という基本方針が受け継がれており、豊臣政権・徳川幕府だけでなく明治政府立ち上げ時期も頼りにされた。
これで光秀の負担が、また減った。
「これが終わったら、先輩みたいに、茶の湯で暇潰ししよう」
光秀が茶室で寛ぎながら、何かのフラグを立て始めたが、長近は放置する。
完全に壊れるようなら、信長が速やかにリストラする。
その筈だ。
長近が手を汚さなくても、信長がこの『使えるけど性分が毒蛇』な人材を、使い潰して捨てるはずだ。
その筈だ。
任せた家来たちを「迷惑をかけそうになったら即殺処分」するような外道な男は、用が無くなり次第、捨てる筈だ。
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「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
作家 蔵屋日唱
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