レベル0の最強剣士~レベルが上がらないスキルを持つ俺、裏ダンジョンに捨てられたが、裏技を発見し気が付いたら世界最強になっていた。

つくも/九十九弐式

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第8話 イルミラージュの群れを薙ぎ払う

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 イルミラージュの肉を食いつつ、ソルは次の行動を考えていた。

 不味い。

 生肉という事を加味してもまずい。その肉は筋肉質な肉であった。脂肪分のない肉は弾力があり、味気のないものであった。

 だが食わなければならない。食わなければ死ぬのだから贅沢は言っていられなかった。

 先ほどの戦闘で得たSPは30。前回と変わらない。やはりSPの増加量が普通より多かった。

 ソルは自身は気づいてはいないかもしれないが、イルミラージュを討伐する事で得られるSPは『10』なのである。

 ソルは高効率でSPを稼げているのだ。恐らくは固有スキル【レベル0】の効果により得られないEXPがSPとして変換されているからだろう。

 だが、ソルの認識からすればEXPは得られてはいないがSPは得られいる、程度のものだ。

 そしてそれがソルの唯一の希望の光ともなっている。

 肉を食いつつ、ソルは次に習得するスキルを考えていた。

 目下の課題として考えられるのは跋扈しているイルミラージュの群れへの対処だ。

 このダンジョンが何階層まであるか、出口がどこにあるか。先の話はソルにはわからなかった。

 ソルに出来るのは目の前の事の対処だけだ。現在いる階層にはイルミラージュの群れが跋扈している。

 知りえている情報はそれだけだけだ。そしてその問題に対する対処を最優先せざるを得なかった。

 ソルはスキル一覧を表示する。

 今度はそうだ。もっと攻撃的なスキルが必要だ。ソルは攻撃系のスキル欄を見る。

 そしてその上で現在持っているSP『30』で習得できるスキルに限定する。

「よし……これにしよう」

 ソルはスキルを選択した。ソルが選択したスキルは『回し斬り』のスキルだ。

 一回転して剣技を行う攻撃。消費するSPは丁度30。

 通常の攻撃が一体を相手にした攻撃であるのに対して、この『回し斬り』の技スキルは周囲にいる数体の敵を同時に攻撃できるものだった。

 この攻撃があれば例えイルミラージュ数体を相手にする場合でも対応できる――はずだ。

 全ては机上の空論である。考えている中での出来事だ。だから、実際やってみないとどうしようもない。

 このままこの階層で一生を閉じるわけにもいかない。前に進まなければならない。

 意を決してソルは一歩前に踏み出す覚悟を決めた。

 ◇

 もはや逃げ隠れなどできない。する必要性もない。

 目の前にはイルミラージュの群れが跋扈していた。イルミラージュの群れはソルを見るなり、餌だと思って襲い掛かってくる。

「「「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」」」

 奇声を上げて襲い掛かってくる無数のイルミラージュ。

 前だったら恐怖のあまりすくみ上っていたであろう悪夢のようなその光景。

 だが、今のソルはそれでも平常心を失っていなかった。冷静だった。

 全ては一瞬の事だった。だが、ソルはその光景がまるでスローモーションのように見えていた。

 ソルは技スキル『回し斬り』を発動する。

「はああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 回転による斬撃がイルミラージュに襲い掛かる。

 一瞬、時が止まったかのような錯覚に陥った。

 ソルに襲い掛かっていたイルミラージュの群れが地面に墜落したのである。

 周囲には無数のイルミラージュの死体が出来上がっていた。

「はぁ……はぁ……はぁ……何とかなったか」

 ソルは肩で息をしていた。安堵のあまり胸を撫で下ろす。それと同時に、達成感のような充足感が胸に湧き上がってきた。かつては感じえなかったような感情だった。

 こうして『レベル0の最強剣士』が誕生する、その第一歩が踏み出されたのである。



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