66 / 90
第66話 決勝戦銀髪剣士レイ
しおりを挟む
パン! パン! パン!
やはり決勝戦は特別なようだった。大空に花火が打ち上げられる。剣神武闘会を盛り上げる演出である。
『さあ! 長かったような、短かったような、どちらかはわかりませんが二日間に渡って行われた剣神武闘会もつい大詰め、いよいよ決勝戦の時がやって参りました!』
実況(アナウンス)が響く。
『決勝に残ったのはこの両名です! まず一人目はユグドラシル家の兄弟対決を制したソル選手です! 準決勝では弟のエドワード選手が凄まじい剣技を見せましたが、ソル選手は完璧にその剣を捌き切りました! 決勝ではどのような闘いを見せるでしょうか! 要注目です!』
ソルが登場する。
おおおおおおおおおおおお! と地響きのするような唸り声が響き渡る。
『もう『レベル0』なんて呼ばせない! 優勝は俺の物だ! ソル選手の登場です!』
「ソル! ここまで来たら優勝しちまえ!」
「ああ! 『レべル0』なんて呼び名は関係ねぇ! 俺達はお前の闘いを何戦も見てきたからな! お前の実力は本物だ! 自信を持って闘えよ!」
ソルが登場すると怒号のような歓声が響き渡ってくる。もはやソルを馬鹿にする声どころか、純粋に応援するような声もあった。誰もが『レべル0』と呼ばれ蔑まれた少年の成り上がり物語(ストーリー)を望んでいる。
そしてそれと対峙するのは謎の銀髪少年。全てが謎に包まれている、ミステリアスな少年という組み合わせに、準決勝の時と同じように、劇的なものを感じ、観客達は大いに盛り上がっていた。
『そしてソル選手と対決しますはレイ選手! レイ選手は全てが謎に包まれた謎の剣士です! 一体正体は何者なんでしょうか! しかし、その実力は本物です! 今までの対戦者はなすすべもなく、レイ選手の前に敗れ去っています! このまま優勝へと駆け上がってしまうのか! それとも初めての敗北を喫するのか!』
「……ふっ。くだらない。こんな戯事。すぐに終わらせてあげるよ」
レイは剣を抜く。黒い魔剣のような剣だった。魔力のような力を感じる。やはり、この男は只者ではなかった。雰囲気を感じた。そしてどす黒い、邪気のようなものも感じていた。
ソルは未だかつてないくらい、相手を警戒して事にかかる。
「一体……何者なんだ。君は」
ソルは相手から発せられる気に違和感を感じていた。ダンジョン『ゲヘナ』での生死をかけた生活の中で、ソルは独自の感覚を培っていった。それは野生の勘のようなものだ。第六感のようなものをソルは得るようになったのである。
「ん? 僕の事がどうかしたか?」
「君の気は普通じゃない。普通の人間ではそんな気は放たない。君は何者なんだ?」
「ふふっ……そうか。僕がどこか、おかしいと思うか。僕に勝てたら僕の正体を教えてあげるよ」
レイは微笑を浮かべた。やはり普通の人間ではないようだった。バハムートが言っていた綻びとは。世界を危険な状態にする因子とは、彼の事なのかもしれない。
――だが、ともかく、今は剣を交えるより他にない。今、ここにいる場は剣神武闘会の決勝戦に他ならないのだから。もはや言葉など必要ない。剣で語る以外にない。
『両者、ステージ上で視線で激しい火花を散らしています。両者、準備は整ったようです! それではこれより剣神武闘会の決勝戦を行うます!』
パン! と大きな花火が天空で散った。
『ゴン!』そしてゴングとなる鐘が鳴らされる。
『試合開始です!』
「さてと……それじゃ、ソル君だったか」
レイが剣を構える。
「君が僕の遊び相手として相応しいか、試させて貰うよ」
レイが斬りかかってくる。その剣速、踏み込みはエドのものよりも速い。エドが本気になった時よりも速いかとも思う程だ。少なくとも人間の動体視力で追える速度は超えていた。目にも止まらぬ速さとはこの事だ。
――だが、ソルはその攻撃にも反応できた。
キィン! 甲高い剣の音が闘技場(コロシアム)に響き渡る。
「へぇ……」
防がれても尚、レイは余裕の笑みを浮かべていた。驚きはないようであった。その前の試合を見ていたのだから当然であろうか。
「やっぱり……君は人理を逸しているね。とても興味深いよ。どこでそこまでの強さを身に着けたんだい? それに危険でもある。君は危険な存在だよ。僕達の邪魔になりうる存在」
「僕達? ……」
何を言っているんだこいつは? ソルは考えていた。やはり別の国のスパイか何かか? このフレースヴェルグに敵対する存在なのだろうか。
いや、国という単位ではないかもしれない。人類種自体に敵対する存在。他種族の存在かもしれない。バハムートのように人間を模す事ができる種族もいる。そもそも見た目が人類種と殆ど変わらない種族もいる。
その類かもしれない。ソルはあらゆる可能性を洞察し、考慮していた。
「ソル・ユグドラシル! 危険因子の君は今すぐ、ここで僕が排除する! 遊びは終わりだ! ここからは本気で行かせてもらうよ!」
今まで本気でなかったというのか。驚きであった。レイの剣速はまだまだ上昇を見せた。
『物凄い剣の応酬です! 決勝戦に相応しいハイレベルな闘い!』
「すげぇ……速すぎて剣の動きが見えないぜ」
「お、俺もだ……目で追うのがやっと……いや、目で追う事すらできねぇかも』
二人の闘いはさらに速度を増していく。闘技場ステージに無数の火花が散る。
やはり決勝戦は特別なようだった。大空に花火が打ち上げられる。剣神武闘会を盛り上げる演出である。
『さあ! 長かったような、短かったような、どちらかはわかりませんが二日間に渡って行われた剣神武闘会もつい大詰め、いよいよ決勝戦の時がやって参りました!』
実況(アナウンス)が響く。
『決勝に残ったのはこの両名です! まず一人目はユグドラシル家の兄弟対決を制したソル選手です! 準決勝では弟のエドワード選手が凄まじい剣技を見せましたが、ソル選手は完璧にその剣を捌き切りました! 決勝ではどのような闘いを見せるでしょうか! 要注目です!』
ソルが登場する。
おおおおおおおおおおおお! と地響きのするような唸り声が響き渡る。
『もう『レベル0』なんて呼ばせない! 優勝は俺の物だ! ソル選手の登場です!』
「ソル! ここまで来たら優勝しちまえ!」
「ああ! 『レべル0』なんて呼び名は関係ねぇ! 俺達はお前の闘いを何戦も見てきたからな! お前の実力は本物だ! 自信を持って闘えよ!」
ソルが登場すると怒号のような歓声が響き渡ってくる。もはやソルを馬鹿にする声どころか、純粋に応援するような声もあった。誰もが『レべル0』と呼ばれ蔑まれた少年の成り上がり物語(ストーリー)を望んでいる。
そしてそれと対峙するのは謎の銀髪少年。全てが謎に包まれている、ミステリアスな少年という組み合わせに、準決勝の時と同じように、劇的なものを感じ、観客達は大いに盛り上がっていた。
『そしてソル選手と対決しますはレイ選手! レイ選手は全てが謎に包まれた謎の剣士です! 一体正体は何者なんでしょうか! しかし、その実力は本物です! 今までの対戦者はなすすべもなく、レイ選手の前に敗れ去っています! このまま優勝へと駆け上がってしまうのか! それとも初めての敗北を喫するのか!』
「……ふっ。くだらない。こんな戯事。すぐに終わらせてあげるよ」
レイは剣を抜く。黒い魔剣のような剣だった。魔力のような力を感じる。やはり、この男は只者ではなかった。雰囲気を感じた。そしてどす黒い、邪気のようなものも感じていた。
ソルは未だかつてないくらい、相手を警戒して事にかかる。
「一体……何者なんだ。君は」
ソルは相手から発せられる気に違和感を感じていた。ダンジョン『ゲヘナ』での生死をかけた生活の中で、ソルは独自の感覚を培っていった。それは野生の勘のようなものだ。第六感のようなものをソルは得るようになったのである。
「ん? 僕の事がどうかしたか?」
「君の気は普通じゃない。普通の人間ではそんな気は放たない。君は何者なんだ?」
「ふふっ……そうか。僕がどこか、おかしいと思うか。僕に勝てたら僕の正体を教えてあげるよ」
レイは微笑を浮かべた。やはり普通の人間ではないようだった。バハムートが言っていた綻びとは。世界を危険な状態にする因子とは、彼の事なのかもしれない。
――だが、ともかく、今は剣を交えるより他にない。今、ここにいる場は剣神武闘会の決勝戦に他ならないのだから。もはや言葉など必要ない。剣で語る以外にない。
『両者、ステージ上で視線で激しい火花を散らしています。両者、準備は整ったようです! それではこれより剣神武闘会の決勝戦を行うます!』
パン! と大きな花火が天空で散った。
『ゴン!』そしてゴングとなる鐘が鳴らされる。
『試合開始です!』
「さてと……それじゃ、ソル君だったか」
レイが剣を構える。
「君が僕の遊び相手として相応しいか、試させて貰うよ」
レイが斬りかかってくる。その剣速、踏み込みはエドのものよりも速い。エドが本気になった時よりも速いかとも思う程だ。少なくとも人間の動体視力で追える速度は超えていた。目にも止まらぬ速さとはこの事だ。
――だが、ソルはその攻撃にも反応できた。
キィン! 甲高い剣の音が闘技場(コロシアム)に響き渡る。
「へぇ……」
防がれても尚、レイは余裕の笑みを浮かべていた。驚きはないようであった。その前の試合を見ていたのだから当然であろうか。
「やっぱり……君は人理を逸しているね。とても興味深いよ。どこでそこまでの強さを身に着けたんだい? それに危険でもある。君は危険な存在だよ。僕達の邪魔になりうる存在」
「僕達? ……」
何を言っているんだこいつは? ソルは考えていた。やはり別の国のスパイか何かか? このフレースヴェルグに敵対する存在なのだろうか。
いや、国という単位ではないかもしれない。人類種自体に敵対する存在。他種族の存在かもしれない。バハムートのように人間を模す事ができる種族もいる。そもそも見た目が人類種と殆ど変わらない種族もいる。
その類かもしれない。ソルはあらゆる可能性を洞察し、考慮していた。
「ソル・ユグドラシル! 危険因子の君は今すぐ、ここで僕が排除する! 遊びは終わりだ! ここからは本気で行かせてもらうよ!」
今まで本気でなかったというのか。驚きであった。レイの剣速はまだまだ上昇を見せた。
『物凄い剣の応酬です! 決勝戦に相応しいハイレベルな闘い!』
「すげぇ……速すぎて剣の動きが見えないぜ」
「お、俺もだ……目で追うのがやっと……いや、目で追う事すらできねぇかも』
二人の闘いはさらに速度を増していく。闘技場ステージに無数の火花が散る。
1
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
スキル【土いじり】でパーティを追放された俺、開墾した畑からダンジョンが生えてきた。
夏見ナイ
ファンタジー
「役立たず」の烙印を押され、パーティを追放されたアルフォンス。彼のスキルは戦闘に不向きな【土いじり】。失意の彼は都会を離れ、辺境の地で静かに農業を営むことを決意する。
しかし、彼が畑を耕すと、そこから不思議なダンジョンが生えてきた!
ダンジョン内では、高級ポーションになる薬草や伝説の金属『オリハルコン』が野菜のように収穫できる。地味だと思われた【土いじり】は、実はこの『農園ダンジョン』を育てる唯一無二のチートスキルだったのだ。
噂を聞きつけ集まる仲間たち。エルフの美少女、ドワーフの天才鍛冶師……。気づけば彼の農園は豊かな村へ、そして難攻不落の要塞国家へと発展していく。
一方、彼を追放したパーティは没落の一途を辿り……。
これは、追放された男が最強の生産職として仲間と共に理想郷を築き上げる、農業スローライフ&建国ファンタジー!
気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる