レベル0の最強剣士~レベルが上がらないスキルを持つ俺、裏ダンジョンに捨てられたが、裏技を発見し気が付いたら世界最強になっていた。

つくも/九十九弐式

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第74話 (魔王SIDE)魔王城での出来事

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 ここは魔界であった。呼び方を変えるなら地獄ともいえるだろう。

 その魔界には一人の王がいた。その名を魔王と呼ぶ。

 魔王は魔王城の玉座に腰をかけていた。美しい美貌をした青年にしか見えないが、本当の年齢は1000歳以上になっている。永久にも近しい程長い歳月を魔王は生きてきたのである。

 そして、その眼下には一人の魔人がいた。魔人の名はレイという。そう、剣神武闘会の決勝でソルと闘った相手である。

 その魔人レイが仕える主が魔王サタンというわけだった。

「報告をせよ。魔人レイ。人間界での活動の結果はどうだった?」

 魔王サタンは冷たい氷のような眼差しをレイに向ける。別に怒っているわけではなかった。魔王サタンの感情は氷のように凍り付いている。その為、あまり喜怒哀楽というものが存在していないだけだ。

「はっ。魔王サタン様。私は人間界に存在した聖剣レーヴァテインを奪取するべく、人間が催した武闘会に参加しました。優勝すればその聖剣レーヴァテインを手に入れる事ができたからです」

 そう、魔人レイは報告した。聖剣レーヴァテイン以外にも金や名声が手には入ったのだが、その二つは魔人にとっては取るに足らない些細なものであった為、わざわざ言葉にはしなかった。

「ほう……それで結果はどうなった?」

「結果としましては、その聖剣の奪取には失敗しました」

「なぜ失敗した?」

 別に懲罰を与える気などないだろうが、その冷たい声色とオーラにあの魔人であるレイですらも思わずビクついてしまう程であった。それほどまでに圧倒的なオーラを魔王サタンは発していたのだ。流石は魔界の王と言うべきか。

「はっ……それが思っていたよりも手強い人間がいた為、それと竜王バハムートの存在もありました。故に私と言えども、倒すのは困難と判断し、撤退しました」

「手強い人間? どんな人間だ? そいつは」

「ソル・ユグドラシルという名の少年です。あどけない見た目をしていたが、底の知れない強さを感じました。脆弱な人間種の存在とはいえ、決して侮れるものではありません」

「ユグドラシルか……聞いた事のある名だな。そうか、あの勇者ロイの家系の子孫か」

 人間に対して、大した興味のない魔王ではあったが、それでも勇者の名前くらいは憶えがあった。それだけ勇者の存在は有名だったのである。

「はい……そやつは『レベル0』だのと揶揄されていましたが、秘めていた力は確かなものでした。あのまま継戦していても倒せていたか怪しい為、撤退した次第であります。誠に申し訳ございません魔王様。目的を果たせなかった事深くお詫び申し上げます」

 レイはかしづき、深々と頭を下げる。

「どのような処罰でも受ける覚悟であります」

「……そうか。そうであったのならば仕方あるまい。よい、頭を上げよ。レイよ。余はそなたを許そう」

「魔王様。そのご慈悲、大変感謝しております。その懐の広さ、流石は魔王様です」

 言われた通り、レイは頭を上げた。

「それより魔道砲の準備はどうなっている?」

「はっ……魔道砲の建造は着実に進んでいます」

 魔道砲。それは魔界に建造されている大型の砲台である。その大きさは山をも超える程に大きなものであった。

 それだけ大きな砲台を用意する理由は一つしかいなかった。魔族の天敵である、天界(エデン)にいる天使達を撃ち落とす為である。その為に巨大な砲台が必要であった。

「建造が完了するまでにそれほどの時間はかからないかもしれません」

「……そうか。それは良かった」

「ですが一つだけ問題が」

「……問題? なんだ?」

「魔道砲を打つのに十分な魔晶石(クリスタル)が入手できていません。エルフ種の反発を買っています。膨大な魔力を秘めた魔晶石(クリスタル)を採掘できるのはエルフ種の領土からだけですから。特に十分な火力を出すには神の魔晶石(ゴッドクリスタル)が必要になります」

「……そうか。ならば魔人レイよ。そなたもエルフ種の攻勢に加担せよ」

「はっ……了解しました。それともう一人、魔王様に紹介したい配下がいるのです。その者の戦線への参加も是非認めて頂きたい」

「配下……誰だ? それは?」

「紹介します。入ってこい」

「はっ」

 男が現れた。人間の男だ。黒い鎧を着こんだ剣士。

「人間か……」

「正確には人間だった男です。彼はもはや人の身を捨てています。その本質は我々魔族に近い。件のソル・ユグドラシルの弟で、エドワードと申します」

「へっ……初めまして、魔王様。エドワードと申します」

 エドはにやりと笑う。

「この者を戦線まで連れていきたいのですが、よろしいでしょうか?」

「構わぬが……そなたの駒なのだろう。好きに扱うが良い」

「ありがとうございます」

「それより……その戦線ってとこに、あの兄貴は現れるんですかね?」

「それはわからないが……思わぬ妨害が入るやもしれぬ」

 エドがソルに対して復讐心を抱いている事は理解しているが、レイは魔族である。魔族には魔族の都合がある。故にエドの都合を優先する事はできなかった。
 だが、戦場で再会した場合、敵として斬り捨てる事には何の問題もなかった。存分にやってもらえばよいとレイは考えていた。

「へへっ……楽しみだぜ。あの兄貴と再び再会するのが。前、俺は運悪く兄貴に負けちまったけど、今度はそうはいかないぜ。ギタギタにしてやる。それで、兄貴の目の前でクレアをレ〇プしてやるぜ。くっけっけっけ」

 人間身をなくしたエドは不気味な笑みを浮かべる。その笑みはなんとも魔族のような、壊れた表情をしていた。

「それでは参ります。魔王様」

「ああ……健闘を祈る」

 魔人レイはエドを連れてエルフ領まで向かった。魔道砲に必要なエネルギー源である、魔晶石(クリスタル)を手に入れる為に、エルフを屈服させなければならなかったのである。



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