駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

第二プラン《フェリクス side》②

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「待ってください。あちらの出方を窺ってから、今後の方針を立てるべきでは?」

 『あまりにも性急すぎる』と反発する僕に対し、デニス皇子殿下は厳しい目を向けた。

「それだと、遅すぎる」

 『後手に回るだけだ』と言い、デニス皇子殿下は顎に手を当てる。
と同時に、天井を見上げた。

「私達には、もう時間がない。フェリクスも、それは分かっているだろう?」

 ……ええ、もちろん。
僕の宿敵である兄さんは着実に地盤を固め、デニス皇子殿下の政敵・・である────シャノン皇太子殿下は即位間近なのだから。
僕ら弟が兄の地位を奪い取るチャンスは、今しかない。

「完全に手出し出来ない状態となる前に、行動しなければ。多少強引な手を使ってでも。フェリクスの敗北は私の敗北にも繋がるのだから」

 『お前だけの問題じゃない』と告げ、デニス皇子殿下は青い瞳に僅かな焦りを滲ませる。
まず僕を当主にしないと、何も始まらないからだろう。
ラニット公爵家という後ろ盾を得られないことには、シャノン皇太子殿下と張り合えないため。
ほぼ勝敗が決したような皇位継承権争いで、形勢逆転を狙うなど夢のまた夢。
だからこそ、デニス皇子殿下はこれまでさんざん僕に協力してくれた。
『互いの野望を叶えるための協力は、惜しまないこと』という約束を忠実に守って。

「第一、あちらの出方を窺ったとして心情や思惑を正確に把握出来るとは限らない。上手に欺かれたり、胸の内を隠されたりする可能性がある」

 『そんなリスクを背負ってまで、やる必要があるのか』と問うデニス皇子殿下に、僕は何も言えなかった。
まさにその通りだな、と思ったから。

 義姉さんの性格からして、こちらを欺くことはないだろうけど……胸の内を隠すくらいは、やりそうだ。

 控えめで大人しいものの、決して弱い女性なんかじゃない義姉に、僕は内心溜め息を漏らす。
『本当に兄さんには、勿体ない人だよ』と思案しつつ、前髪を掻き上げた。

「────分かりました。第二プランへ移行しましょう」

 ようやく腹を括った僕は、第一プランの懐柔を諦める。
と同時に、僅かだが残っていた良心を捨て去った。
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