駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

フィオーレ伯爵家へ②

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「一先ず、謝罪は受け入れる」

 『今回の誘拐の損害と相殺だ』と言い、夫は馬車の扉を開けた。

「だから、さっさと帰れ。貴様を心から心配する者達が、待っている」

 『早く無事な姿を見せてやれ』と促す夫に、姉はハッとする。
と同時に、すぐそこまでやってきた両親や使用人の方を見た。
早くも泣きそうになっている彼らの前で、姉は僅かに目を見開く。
自分がどれほど、周りに想われているのか……今、本当の意味で理解したのだろう。

「はい、失礼します」

 最後にもう一度頭を下げ、姉は馬車から地上へ……実家へ降り立つ。
真っ直ぐ前を見据えながら。

「お父様、お母様、それに使用人の皆も────ただいま」

 ちょっと涙声になりながらも、姉は自分の帰還を……無事を知らせた。
すると、両親と使用人達は一も二もなく

「「「おかえりなさい」」」

 と、答える。
ポロポロと大粒の涙を流し、姉を囲む彼らは一様に肩の力を抜いた。
かと思えば、少しばかり目を吊り上げる。

「もう……!一体、どれだけ心配したと思っているの!」

「ラニット公爵家より、誘拐の一報を聞いた時は心臓が止まったぞ!」

「お願いですから、危ないことはしないでください!」

「お嬢様に何かあったらと思うと、胸が張り裂けそうです!」

 両親と使用人達は姉を愛しているからこそ、厳しい言葉を投げ掛けた。
『公爵様にまで迷惑を掛けて!』と叱りつける彼らに、姉は一切反論せずじっとしている。
以前までの彼女なら、『でも!』『だって!』と反発していた筈なのに。

 きっと、今回の一件を通して変わったのね。
お姉様は頑固で思い込みの激しいところがあるけど、決して成長しない人間ではないから。

 『逆境すらも糧にして、今後に活かす筈』と考える中、夫は顔を上げた。

「そろそろ、出発しろ」

 その言葉を合図に、馬車は再び走り出す。
と同時に、両親達がこちらへ向かって頭を下げた。
感謝の意を表すかのように。

「元を正せば、こちらの身内の不始末だというのに……頭の硬い連中だ」
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