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本編
フィオーレ伯爵家へ①
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「こちらも、そろそろ我慢の限界だからな。全く関係のない第三者まで巻き込むような能無しには、付き合い切れない」
まるで義弟のために真実をひた隠しにしていたかのような物言いで、夫は本音を零した。
かと思えば、剣先をあちらへ向ける。
「フェリクス、覚悟しておけ。恐らく、貴様の想像以上に前公爵夫妻の死の真実は残酷だぞ」
『忠告はしたからな』と告げ、夫はゆっくりと歩き出した。
硬直したまま動かない義弟の横を通り過ぎ、さっさとこの場を後にする。
私や姉も、それに続いた。
旦那様が『真実を明かす』と約束したおかげか、すんなり通してくれたわね。
さっきまでのフェリクス様なら、絶対妨害してきた筈なのに。
『一矢報いることよりも、真相解明を取ったのかしら』と考えながら、私は屋敷を出る。
と同時に、帰りの馬車へ乗り込んだ。
姉と肩を並べて座る私の前で、夫は軽く壁を叩く。
「まずは、フィオーレ伯爵家の方へ向かえ」
────という夫の指示により、馬車は私達の実家へ赴いた。
距離で言えば、ラニット公爵家の方が近かったのに。
恐らく、姉を確実に家へ送り届けるためだろう。
義弟の様子を見る限り、今すぐちょっかいを出してくることはないと思うが……念を入れておいて、損はない。
「あの、ありがとう……ございました、色々と」
そう言って、深々と頭を下げるのは他の誰でもない姉だった。
珍しく礼儀を通すということを実行している彼女は、ギュッと手を握り締める。
馬車の小窓越しに見える実家を、横目で捉えながら。
「ラニット公爵が助けてくれなければ、私はここへ帰って来れなかったかもしれません……」
最悪死んでいた可能性もあることをしっかり認識しているのか、姉は肩に力を入れた。
かと思えば、更に深く頭を下げる。
「それから、ごめんなさい。貴方を誤解してしまって……その挙句、駆け落ちまでして。あまつさえ、妹との仲を引き裂こうとした。敵の術中に嵌っているとも、知らずに……本当に愚かでした」
心底反省した様子で陳謝し、姉はグッと奥歯を噛み締めた。
『私がもっと慎重に行動していたら……』と悔やむ彼女を前に、夫は両腕を組む。
「一先ず、謝罪は受け入れる」
まるで義弟のために真実をひた隠しにしていたかのような物言いで、夫は本音を零した。
かと思えば、剣先をあちらへ向ける。
「フェリクス、覚悟しておけ。恐らく、貴様の想像以上に前公爵夫妻の死の真実は残酷だぞ」
『忠告はしたからな』と告げ、夫はゆっくりと歩き出した。
硬直したまま動かない義弟の横を通り過ぎ、さっさとこの場を後にする。
私や姉も、それに続いた。
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さっきまでのフェリクス様なら、絶対妨害してきた筈なのに。
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と同時に、帰りの馬車へ乗り込んだ。
姉と肩を並べて座る私の前で、夫は軽く壁を叩く。
「まずは、フィオーレ伯爵家の方へ向かえ」
────という夫の指示により、馬車は私達の実家へ赴いた。
距離で言えば、ラニット公爵家の方が近かったのに。
恐らく、姉を確実に家へ送り届けるためだろう。
義弟の様子を見る限り、今すぐちょっかいを出してくることはないと思うが……念を入れておいて、損はない。
「あの、ありがとう……ございました、色々と」
そう言って、深々と頭を下げるのは他の誰でもない姉だった。
珍しく礼儀を通すということを実行している彼女は、ギュッと手を握り締める。
馬車の小窓越しに見える実家を、横目で捉えながら。
「ラニット公爵が助けてくれなければ、私はここへ帰って来れなかったかもしれません……」
最悪死んでいた可能性もあることをしっかり認識しているのか、姉は肩に力を入れた。
かと思えば、更に深く頭を下げる。
「それから、ごめんなさい。貴方を誤解してしまって……その挙句、駆け落ちまでして。あまつさえ、妹との仲を引き裂こうとした。敵の術中に嵌っているとも、知らずに……本当に愚かでした」
心底反省した様子で陳謝し、姉はグッと奥歯を噛み締めた。
『私がもっと慎重に行動していたら……』と悔やむ彼女を前に、夫は両腕を組む。
「一先ず、謝罪は受け入れる」
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