駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

それも今日まで①

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◇◆◇◆

「────というのが、前公爵夫妻の死の真相だ」

 淡々とした口調で当時の状況を話し終え、夫は真っ直ぐ前を見据えた。
かと思えば、ロルフの淹れた紅茶へ手を伸ばす。

「その後の流れは大体予想出来ると思うが、事件の調査を行った皇室から取り引きを持ち掛けられた。若くして当主となった私をサポートする代わりに事件の真相を公表しないでほしい、と。恐らく、前公爵夫人の不貞を周囲に知られるのが嫌だったんだろう。皇室の威厳にも関わるからな」

 皇帝陛下の妹である前公爵夫人の出自を話題に出し、夫は紅茶を一口飲んだ。
と同時に、スッと目を細める。

「正直納得いかない部分もあったが、当時の私は知識も経験も乏しく、一人で家を切り盛り出来る状況じゃなかった。だから、取り引きを受け入れたんだ」

 『決して、悪い話ではなかったしな』と語り、夫はティーカップをソーサーの上に戻した。

 なるほど、旦那様らしい合理的な判断ね。
でも、凄く勇気のいる決断だった筈。
だって、黙秘を選べば確実に自分が悪者にされるから。

 『実際、そうなったし』と世間の反応を思い返し、私はそっと目を伏せた。
全ての泥を被った夫に、同情とも尊敬とも捉えられる感情を抱いて。
『もし、自分が同じ立場だったら……』と思案する中、夫はおもむろに腕を組む。

「一先ず、私から話せることはこれで全てだ。他にも気になる点があれば、出来る限り補足を……」

「────嘘だ、こんなの!」

 義弟は夫の言葉を遮り、テーブルに拳を叩きつけた。
僅かな焦りと不安を露わにしながら。

「デタラメ、言わないでよ!どうせ、自分の罪を隠すための作り話でしょ!?」

 暴露された真相を受け止められないのか、義弟は半ば喚き散らすようにして反論した。
────と、ここでシャノン皇太子殿下が口を開く。

「残念だけど、全て真実だよ。ラニット公爵の話の正当性は、私が保証する」

 『当時、きちんと皇室が調べて裏付けも取れたんだから』と言い、シャノン皇太子殿下は厳しい現実を突きつけた。
すると、義弟は苦しげに顔を歪めて俯く。
と同時に、奥歯を噛み締めた。

「そんな……じゃあ、僕は────元からラニット公爵家を継ぐ資格なんてない、ただの居候になるじゃないか」
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