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本編
前公爵夫妻の死の真相《ヘレス side》③
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「分かっているわ、馬鹿なことをしたって。でも、フェリクスを生んだとき本当に嬉しかったの。私でもちゃんと子供を作れるんだって、証明出来たようで……」
『それにやっぱり、我が子は可愛かったし』と述べ、夫人は視線を上げた。
と同時に、公爵の目を見つめ返す。
「だけど、いつかはちゃんと真実を打ち明けて罪を償わなければいけないと思っていた。だから────私の死を持って、贖うわ」
そう言うが早いか、夫人は髪から簪を引き抜いた。
先の尖ったソレを自身の首筋に宛てがい、小さく笑う。
どこか吹っ切れたような素振りを見せながら。
多分、出生の秘密を……裏切りをずっと隠して、生きていくのは辛かったんだと思う。
『これで、楽になれる』と安堵する彼女を前に、公爵は慌てて身を乗り出した。
「エミリー……!」
必死の形相で手を伸ばす公爵に対し、夫人はそっと眉尻を下げる。
「本当にごめんなさい、ダミアン」
────愛しているわ。
とは言わずに、一筋の涙を流す。
私にそんなこと言う権利ない、と自制するかのように。
でも、その眼差しからは嫌というほど愛を感じられた。
『夫人……』と呆然とする私の前で、彼女は簪を握る手に力を込める。
と同時に、思い切り首筋を突き刺した。
「あぁぁぁぁああああ……!!!!」
公爵は悲鳴とも絶叫とも取れる大声を上げ、夫人に駆け寄る。
倒れていく彼女を抱き留めながら。
「エミリー……エミリー!しっかりしてくれ!」
半ば懇願するような口調で話し掛け、公爵は患部を圧迫する。
恐らく、止血しようとしているのだろう。
でも、思ったより傷口が深いのか流れる血を……失われていく命を、止めることが出来ない。
「嫌だ、嫌だ……!居なくならないでくれ!浮気したことは、もういいから!全部許す!」
子供のように泣きじゃくりつつ、公爵は懸命に救命活動を行う。
が、素人の応急処置程度では無理みたいで……夫人は微動だにしない。
「っ……!だ、誰か医者を……いや、でも……」
こうなった原因を知られる可能性があるからか、それとも既に助からない状態だと悟っているからか……公爵は判断を迷った。
もはや息をしていない夫人を見つめ、肩から力を抜く。
「エミリー、私の方こそすまなかった。夫として、もっと早くお前の苦しみに気づくべきだったのに……」
『なんて不甲斐ない……』と卑下し、公爵は唇を噛み締めた。
かと思えば、抱き留めた夫人をソファの上に優しく寝かせる。
と同時に、床へ座り込んだ。
「だから────私も自分の罪を償うために、エミリーの後を追うよ」
夫人の額に軽くキスして、公爵は僅かに表情を和らげる。
そして、懐から護身用のナイフを取り出すと────一瞬の躊躇いもなく、自身の首筋に突き刺した。
「愛している、エミリー」
穏やかに微笑んで本心を伝え、公爵はソファに……夫人の顔の真横に倒れ込む。
とんでもない量の血を流しながら。
嗚呼、これは助からない……。
瞬時にそう悟る私は、ただただ立ち尽くすことしか出来なかった。
身近な人の死が、あまりにも衝撃的すぎて。
頭の中が真っ白になる感覚を覚えつつ、大きく瞳を揺らす。
「公爵、夫人……」
震える声で呼び掛けるものの……案の定、返事はない。
『死んでしまった』という現実をより強く感じる中、私は手に持っていた書類を落とした。
『それにやっぱり、我が子は可愛かったし』と述べ、夫人は視線を上げた。
と同時に、公爵の目を見つめ返す。
「だけど、いつかはちゃんと真実を打ち明けて罪を償わなければいけないと思っていた。だから────私の死を持って、贖うわ」
そう言うが早いか、夫人は髪から簪を引き抜いた。
先の尖ったソレを自身の首筋に宛てがい、小さく笑う。
どこか吹っ切れたような素振りを見せながら。
多分、出生の秘密を……裏切りをずっと隠して、生きていくのは辛かったんだと思う。
『これで、楽になれる』と安堵する彼女を前に、公爵は慌てて身を乗り出した。
「エミリー……!」
必死の形相で手を伸ばす公爵に対し、夫人はそっと眉尻を下げる。
「本当にごめんなさい、ダミアン」
────愛しているわ。
とは言わずに、一筋の涙を流す。
私にそんなこと言う権利ない、と自制するかのように。
でも、その眼差しからは嫌というほど愛を感じられた。
『夫人……』と呆然とする私の前で、彼女は簪を握る手に力を込める。
と同時に、思い切り首筋を突き刺した。
「あぁぁぁぁああああ……!!!!」
公爵は悲鳴とも絶叫とも取れる大声を上げ、夫人に駆け寄る。
倒れていく彼女を抱き留めながら。
「エミリー……エミリー!しっかりしてくれ!」
半ば懇願するような口調で話し掛け、公爵は患部を圧迫する。
恐らく、止血しようとしているのだろう。
でも、思ったより傷口が深いのか流れる血を……失われていく命を、止めることが出来ない。
「嫌だ、嫌だ……!居なくならないでくれ!浮気したことは、もういいから!全部許す!」
子供のように泣きじゃくりつつ、公爵は懸命に救命活動を行う。
が、素人の応急処置程度では無理みたいで……夫人は微動だにしない。
「っ……!だ、誰か医者を……いや、でも……」
こうなった原因を知られる可能性があるからか、それとも既に助からない状態だと悟っているからか……公爵は判断を迷った。
もはや息をしていない夫人を見つめ、肩から力を抜く。
「エミリー、私の方こそすまなかった。夫として、もっと早くお前の苦しみに気づくべきだったのに……」
『なんて不甲斐ない……』と卑下し、公爵は唇を噛み締めた。
かと思えば、抱き留めた夫人をソファの上に優しく寝かせる。
と同時に、床へ座り込んだ。
「だから────私も自分の罪を償うために、エミリーの後を追うよ」
夫人の額に軽くキスして、公爵は僅かに表情を和らげる。
そして、懐から護身用のナイフを取り出すと────一瞬の躊躇いもなく、自身の首筋に突き刺した。
「愛している、エミリー」
穏やかに微笑んで本心を伝え、公爵はソファに……夫人の顔の真横に倒れ込む。
とんでもない量の血を流しながら。
嗚呼、これは助からない……。
瞬時にそう悟る私は、ただただ立ち尽くすことしか出来なかった。
身近な人の死が、あまりにも衝撃的すぎて。
頭の中が真っ白になる感覚を覚えつつ、大きく瞳を揺らす。
「公爵、夫人……」
震える声で呼び掛けるものの……案の定、返事はない。
『死んでしまった』という現実をより強く感じる中、私は手に持っていた書類を落とした。
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