駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

建国記念パーティー①

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「もちろん、険しい道のりになることは理解しているわ。でも、挑戦したい。それで、今度こそちゃんと誰かを救いたいの」

 『人任せにするんじゃなくて』と話し、姉は少しばかり身を乗り出した。
どこか期待するような……縋るような目を向けてくる彼女の前で、私は口を開く。

「そうですか」

 正直そこまで覚悟が決まっているなら、特に言うことはないため、私は相槌を打つに留めた。
『それに嫁いだ身の私が、どうこう言う話じゃないし』と考えていると、姉が小首を傾げる。

「……えっ?それだけ?」

「はい」

「さ、賛成とか反対とかないの?」

「ありません」

 淡々とした口調で切り返す私に対し、姉はパチパチと瞬きを繰り返した。
かと思えば、少しばかり表情を曇らせる。

「そ、そう……」

 こちらの返答に思うところがあるのか、姉は微妙な反応を示した。
途端に無口となる彼女の前で、私は頭を捻る。
いつものお姉様らしくないな、と思って。

「ごめんなさい。少し他人行儀すぎましたか?」

 思い当たる節と言えばそれしかないので、私は『別に突き放した訳じゃないんです』と弁解した。
が、姉の表情は晴れない。
どこか思い詰めた様子で俯き、ゆらゆらと瞳を揺らした。

「ううん、違うの……そうじゃなくて……ただ、勝手にショックを受けているだけ」

 どんどん声が小さくなっていく姉は、不安そうな素振りを見せる。
いつになく気弱な姿を晒す彼女に、私は目を白黒させた。

「ショック、ですか?じゃあ、やっぱり他人行儀な態度が……」

「いや、それは本当に関係ないわ」

「では、一体何故?」

 さっぱり意味が分からなくて言及すると、姉は表情を強ばらせる。

「それは……」

 どこか気まずそうに視線を逸らし、姉は押し黙った。
が、『このままじゃいけない』と思ったのか意を決したように顔を上げる。

「凄く身勝手で、情けない話なんだけど」

 そう前置きしてから、姉はゆっくりと語り出した。
胸の内に隠した不安と本心を。

「────私、レイチェルに背中を押してもらいたかったの……当主となることを、肯定してほしかった。正直、自分の決断に自信が持てなかったから……」
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