駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

姉の決意③

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「ありがとうございます。パーティーの開始時刻までには、戻りますね」

 繋いでいた手をそっと離し、私は姉と共にこの場を離れた。
そして、空いている控え室へ向かうと、それぞれソファに腰を下ろす。

「それで、お話というのは?」

 時間もないので早速本題を切り出し、私は背筋を伸ばした。
『もしや、フェリクス様のことで何か?』と思案する私を前に、姉は自身の胸元を握りしめる。
まるで、緊張を解すように。

「落ち着いて聞いてほしいんだけど、私────家を継ぐことにしたの」

「!?」

 大きく目を見開いて固まる私は、衝撃のあまり声も出なかった。
だって、姉が……女性が爵位を引き継ぎ、当主になるというのは生半可な覚悟じゃ出来ないため。
『一応、前例は幾つかあるけど……』と思い返しつつ、ゆらゆらと瞳を揺らした。
────と、ここで姉が片手を突き出す。

「言いたいことは、分かっている。無茶だって、思っているんでしょう?」

「それは……まあ、そうですね」

 変に誤魔化してつけ上がらせたら昔の二の舞になるため、私は素直に頷いた。
すると、姉は『やっぱりね』とでも言うように苦笑を漏らす。

「お父様やお母様も、同じ反応よ。優秀な婿養子を取った方が、色んな意味で安泰だって。でもね、それじゃあダメなの」

 神妙な面持ちでこちらを見据え、姉は手を強く握り締めた。
かと思えば、そっと目を伏せる。

「私ね、レイチェルに自分の過ちを正されてからずっと考えていた。これから、どう生きるべきか……どう在るべきか」

 緑の瞳に憂いを滲ませ、姉は少しばかり眉尻を下げた。

「恐らく、一番楽な生き方はもう人様の事情に首を突っ込まず、普通の貴族令嬢としてお淑やかに過ごすことだと思う。だけど────きっと、私は困っている人を見掛けたら放っておけない」

 静観という選択肢を取れない自分のさがに、姉はフッと笑みを漏らす。
と同時に、拳を自身の胸元へ当てた。

「だから、誰かを救うための力が欲しいの。現状、私一人で問題を解決するのは不可能だから。どれだけ慎重に状況を見極め、策を練っても」

 『両親や使用人に迷惑を掛けてしまうと思う』と自分なりの見解を示し、姉は真剣な顔付きになる。
どことなく、凛とした雰囲気を漂わせながら。

「もちろん、険しい道のりになることは理解しているわ。でも、挑戦したい。それで、今度こそちゃんと誰かを救いたいの」
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