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ウッドキューブにきのこを共生させて、間引き手入れをする。一度生えたきのこを間引くことで、次により大きなきのこが生えることがあるのだ。
榎田椎名は近頃流行りのキューブモンスターたちと仲良くなり、さっそく自分の活動における有効活用をしている。
モンスターであるウッドキューブに愛をもって世話をするそのかわりに、きのこの原木となってもらう。人とモンスターそしてきのこの素晴らしい共生関係が築かれつつあった。
榎田椎名は、るんるんと鼻歌混じりに脚立に足を掛けのぼり、手持ちの如雨露で宙に浮かぶ四角い原木たちへと水をあげていく。
魔力と愛を込めて────光を反射しながら校舎裏庭の空に虹を描いた。
鮮やかに煌めく虹のアーチの間をゴロゴロと、丸い岩獣が競うように転がり抜けてゆく。
「待つのでーす!! 校舎裏を転がってはいけないのー!! シュブンキンもランタンに戻るのです!!!」
追いかけ逃げる、白熱するアルマジロと金魚とピンク髪の人間のレースは──
「あん? アルマジロが生意気だと〝クリティカル〟する、よっ?」
丸まっていた3つの岩は、突然大の字に体を開いて止まった。そしてゴロンとその場に倒れては、岩獣たちはその腹を見せた。
転がり競う本能とのめり込むレースの楽しさを、思わず忘れて3匹同時に降参してしまう。
モンスターイワマジロは、その水色の服と鬼のような赤色の瞳を持つ人間による〝クリティカル攻撃〟なるものの脅威を、遺伝子に刻まれ知っているようだ。その身が粉々に砕ける前に、目の前に立つ格上の雌鬼に降参したことをアピールする。
亀のように可愛く裏返るアルマジロに似た生物の姿を見て、用務員の池原叉鬼は笑った。
▼
▽
PINEでメッセージを送ったのは彼女との約束を、再び見つけて思い出したからだ。
時刻は午後8時過ぎ、秘密の夜遊びは、白箱からとりだした黒いジグソーパズルで。
「今回も、同じね」
「あぁー、だな……?」
「なんなんだろなこれ?」
「きっとなんの意味もないことね」
「そうだな、はは」
「次は浦木くんが箱を開けてくれたほうがよさそうね。前に言っていた古い戦いの模様のつづきが見られるかもしれないわ」
「俺が? いいのか? そっちも解いてけば次は違うかもしれないぞ? あぁー……なんか、案外笑ってたり?」
「たとえ次に出てくる表情が違っていて何かを意味していても、面白くなさそう、そんな気がするわ。でも……この人が笑っているそんな結末は、そうね? ────案外いいと思うわ、ふふ」
登別海と浦木幸、2人の手と魔力を用いて、ツギハギ繋げられたジグソーパズルは完成した。しかし、パズルは解けない。どうやらこの物語にはまだまだつづきがあったようだ。
登別海は、今集ったピースの形作る物語に興味はない。されど今彼がつぶやいた結末は、何故かとても素敵なものだと思ってしまった。
四角く切り取られたジグソーの世界に茶髪の女子生徒が映り止まっている。その凍りついた時の中で、彼女の見せる不安気な表情は────やがて、ぼやけるように静寂の図書館の中に消えていった。
榎田椎名は近頃流行りのキューブモンスターたちと仲良くなり、さっそく自分の活動における有効活用をしている。
モンスターであるウッドキューブに愛をもって世話をするそのかわりに、きのこの原木となってもらう。人とモンスターそしてきのこの素晴らしい共生関係が築かれつつあった。
榎田椎名は、るんるんと鼻歌混じりに脚立に足を掛けのぼり、手持ちの如雨露で宙に浮かぶ四角い原木たちへと水をあげていく。
魔力と愛を込めて────光を反射しながら校舎裏庭の空に虹を描いた。
鮮やかに煌めく虹のアーチの間をゴロゴロと、丸い岩獣が競うように転がり抜けてゆく。
「待つのでーす!! 校舎裏を転がってはいけないのー!! シュブンキンもランタンに戻るのです!!!」
追いかけ逃げる、白熱するアルマジロと金魚とピンク髪の人間のレースは──
「あん? アルマジロが生意気だと〝クリティカル〟する、よっ?」
丸まっていた3つの岩は、突然大の字に体を開いて止まった。そしてゴロンとその場に倒れては、岩獣たちはその腹を見せた。
転がり競う本能とのめり込むレースの楽しさを、思わず忘れて3匹同時に降参してしまう。
モンスターイワマジロは、その水色の服と鬼のような赤色の瞳を持つ人間による〝クリティカル攻撃〟なるものの脅威を、遺伝子に刻まれ知っているようだ。その身が粉々に砕ける前に、目の前に立つ格上の雌鬼に降参したことをアピールする。
亀のように可愛く裏返るアルマジロに似た生物の姿を見て、用務員の池原叉鬼は笑った。
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PINEでメッセージを送ったのは彼女との約束を、再び見つけて思い出したからだ。
時刻は午後8時過ぎ、秘密の夜遊びは、白箱からとりだした黒いジグソーパズルで。
「今回も、同じね」
「あぁー、だな……?」
「なんなんだろなこれ?」
「きっとなんの意味もないことね」
「そうだな、はは」
「次は浦木くんが箱を開けてくれたほうがよさそうね。前に言っていた古い戦いの模様のつづきが見られるかもしれないわ」
「俺が? いいのか? そっちも解いてけば次は違うかもしれないぞ? あぁー……なんか、案外笑ってたり?」
「たとえ次に出てくる表情が違っていて何かを意味していても、面白くなさそう、そんな気がするわ。でも……この人が笑っているそんな結末は、そうね? ────案外いいと思うわ、ふふ」
登別海と浦木幸、2人の手と魔力を用いて、ツギハギ繋げられたジグソーパズルは完成した。しかし、パズルは解けない。どうやらこの物語にはまだまだつづきがあったようだ。
登別海は、今集ったピースの形作る物語に興味はない。されど今彼がつぶやいた結末は、何故かとても素敵なものだと思ってしまった。
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