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007 強引な辻褄合わせ
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王子を連れて輝く星の拠点へと戻って来たリズレットは先ほど父が訪ねて来ていた応接室へと入った。
フレッドに温めたミルクにハチミツを入れて出すように指示を出す。
「さて、一先ずこれで落ち着いたな。」
ソファーに座ってミルクを飲みながらリズレットは息を吐いた。
目の前の王子は未だミルクに手を付けないまま固まっている。
「ん?あぁ、毒見か。」
リズレットが思い出したように言うとレオナードは慌てたように首を振った。
「いや、良いんだ。頂こう。」
そう言ってカップを手に持つとそっとミルクに口をつける。
温かなミルクにレオナードは僅かに緊張を解いた。
「ところで、何であんな場所に?」
「護衛と逸れてしまったのだ。ところで、君は?」
「今は名乗らない方が互いの為でしょう。それにここは貴方が居て良いような場所じゃないですし、身分を明かしては彼らが可哀想なことになります。なので、ここでは貴方はただのレオとして扱います。私の事はアルとお呼びください。」
室内に残っているフレッドに自分の事は棚に上げて同情の視線を向けた。
「分かった。」
レオナードは引きつった表情のままのフレッドを見て頷いた。
「あ、そうだ。フレッド!例の件、進めても問題なさそうだよ。」
「れ、例の件とは何でしょう?アル様。」
「あれ、いつもと口調が違う…。はぁ、仕方ないか。」
残念そうに呟いたリズレットにフレッドの目に非難の色が見えた。
「自警団の設立の方。ほら、前に話が上がったけど人数が集まらなくて進まなかったやつさ。」
「あれですか?という事は、すでに話を通してきたので?」
「どうかな…。多分大丈夫だとは思うけど、さっき話を広めるように言ってきたから今度は集まるかもしれないね。それに、今回は公募も考えているんだ。色んな所から人を集めれば良いと思ってね。」
「それって、大丈夫なのですか?」
「裏の人間に間者の類が紛れているのは周知の事実だし、二心あるやつは認めないと言ってきた。それに、自警団は問題行動には厳しい処罰を設けるつもりだよ。そういった奴らは自然と追い出される事になるだろうね。」
「分かりました。それと馬車の用意が出来ております。」
フレッドの真っ当な対応にリズレットは落ち着かない気分になったが、先ほど領主の娘だとはバレてしまっているから仕方のない事だと呑み込む。
それに王子もいる前ではそういった態度でも仕方がない。無礼になってはいけないからだ。
「ありがとう。じゃ、レオ行こうか。」
リズレットが手を差し出せばレオナードは戸惑いながらもその手を取った。
ガタゴトと揺れる馬車の中で二人きりになるとリズレットは向かいに座っているレオナードの顔を見つめる。
本来なら不敬になるところだが、僅かに顔色が悪いままなので気になったのだ。
沈黙が続く馬車の静寂を破ったのは第二王子であるレオナードだった。
「その、助けて貰った事、感謝する。ありがとう。」
「いえ、ご無事で何よりでした。ところで、一つお尋ねしても宜しいですか?」
「構わない。」
「なぜ、この町に?」
「レスター辺境伯爵領の事を耳に挟んだからだ。何者かが民の生活を豊かにしていると。」
「それを調べてどうしようというのです?」
「隣国であるアリアナ王国もそれを知りたがっているのだ。この前流行した病もこの領ではあまり広まらなかったとか。その原因を誰も答えられないのでは我が国が侮られてしまうと。私は父と兄上の力になりたくて思わず飛び出してきてしまったのだ。」
王子の言葉にリズレットは少し考えた。
「その話は誰から聞いたのですか?」
「扉が開いていて中で数人の男たちが話していた。暗がりで顔は見ていないが。」
「………それは、わざと聞かされた可能性もありますね。」
「わざと?なぜだ。」
「殿下は現王妃様のお子ですから。殿下が率先して国の為に動くように仕向けられたのではないかと。そうすれば、殿下は王位を目指す心積もりがあるという意思表示に捉えることも出来ますので。」
リズレットの言葉にレオナードは固まる。
「母上はそんな事望んでいない!私もだ。」
「殿下のお気持ちはそうなのでしょう。ですが、周りはそうとは捉えません。殿下がこうしてレスター辺境伯爵領に出向いて調べまわっているのは恐らく周知の事でしょう。それは、国の為に自ら動こうとする王子の姿。即ち、次期国王を目指しているのだと。お母さまの実家の事も考えれば有利なのは当然殿下の方です。」
「そんなつもりは…。」
「それに、王位を望まないとご両親や兄君に明言したことはありますか?」
「いや、ない。」
「それはまた…殿下がそれを望まないのであれば、ここに来た理由と護衛から逸れた理由を考える必要がありますね。」
顔を青ざめさせたレオナードにリズレットは少し考えてから困ったように微笑んだ。
「そうですね…では、こう致しましょうか。ここには友人を訪ねて来た事にすればいいのです。友のわがままに付き合った。待ち合わせに護衛を撒いて行ったが、迷子になってしまった。無事に友人に会えて親切な人にレスター辺境伯爵の屋敷に連れて来て貰ったと。輝く星に関しては、友人との話題作りに領で有名になっているクランを調べて回った事にすれば如何でしょう。」
「だが友人といっても…。」
「私を友人という事にすれば良いではありませんか。後で手紙を偽装しなければいけませんけど。」
「助けて貰ったのに更に迷惑をかけるわけには…それに下手をすれば君の命が危ない。」
「多分、大丈夫ですよ。それに迷惑だなんてこれ以上、落ちようがないですし。」
リズレットの言葉にレオナードは首を傾げた。
「何より、護衛たちの処分を軽くしてあげることも出来ますしね。」
「それは、そうだが。」
「とにかく、屋敷に着いたらそういう理由があった事を周知させてください。それから、すぐに手紙の用意を。ご両親や兄君に心配をかけているはずです。」
「分かった。すまないアル。」
ゆっくりと馬車が止まりリズレットは先に降りてレオナードに手を差し伸べた。
屋敷の前にはすでに知らせが届いていたらしく、父とランドリック様がレオナードの顔を見てほっと安心したように見えた。
だが、隣に立つリズレットの姿を見てアルフォンスの表情が強張る。
レオナードからそっと手を放すとリズレットは父に向って駆けて行った。
急に走り出したアルにレオナードは驚いて声を上げた。
「おい、アル!」
騎士たちを躱してアルフォンスに飛び掛かったリズレット。
男装したままのリズレットに眉をひそめながらもアルフォンスはしっかりと抱きとめた。
「ただいま!お父様。」
「…お帰り、リズ。」
「お父様、お友達を連れてきました。レオ、父のアルフォンスです。ねぇ、お友達を家に泊めてもいいでしょ?私の為にわざわざここまで来てくれたのだから。」
「どういう事だ?」
意味が分からずアルフォンスが尋ねるがリズレットは強引に話を進める。
「ほら、レオ早く!あ、レオの部屋は私と一緒で良いでしょ?話したいことが沢山あるもの。」
「え?」
レオナードが困惑したままだが、リズレットはそのまま屋敷の中に入っていく。
「ほら、行くわよレオ!何しているの。」
レオナードの手を掴んで屋敷の中に入ったリズレットは応接室にレオナードを引っ張っていくと、着替えてくると言って部屋に引き返していった。
屋敷の前ではどういう事なのか分からず困惑したままのアルフォンスとレオナードの護衛として来ていたランドリックが残された。
そして慌てるように応接室に駆け込んでいく。
「殿下!どういう事なのですか。」
ランドリックの言葉にレオナードも困惑顔だ。アルフォンスも状況が呑み込めずにいた為、ただそれを静観するしかなかった。
着替えてくると言っていたリズレットは部屋に入った後、のんびりと風呂に入っていた。
そして、着替えを済ませてからゆっくりと寛ぐ。
これからどうすべきかを考えるのに少しだけ時間が欲しかったのだ。
考えが纏まるとワインレッドの少しだけ大人びたドレスに冒険者用のポシェットをつけて応接室に再び突撃していった。
フレッドに温めたミルクにハチミツを入れて出すように指示を出す。
「さて、一先ずこれで落ち着いたな。」
ソファーに座ってミルクを飲みながらリズレットは息を吐いた。
目の前の王子は未だミルクに手を付けないまま固まっている。
「ん?あぁ、毒見か。」
リズレットが思い出したように言うとレオナードは慌てたように首を振った。
「いや、良いんだ。頂こう。」
そう言ってカップを手に持つとそっとミルクに口をつける。
温かなミルクにレオナードは僅かに緊張を解いた。
「ところで、何であんな場所に?」
「護衛と逸れてしまったのだ。ところで、君は?」
「今は名乗らない方が互いの為でしょう。それにここは貴方が居て良いような場所じゃないですし、身分を明かしては彼らが可哀想なことになります。なので、ここでは貴方はただのレオとして扱います。私の事はアルとお呼びください。」
室内に残っているフレッドに自分の事は棚に上げて同情の視線を向けた。
「分かった。」
レオナードは引きつった表情のままのフレッドを見て頷いた。
「あ、そうだ。フレッド!例の件、進めても問題なさそうだよ。」
「れ、例の件とは何でしょう?アル様。」
「あれ、いつもと口調が違う…。はぁ、仕方ないか。」
残念そうに呟いたリズレットにフレッドの目に非難の色が見えた。
「自警団の設立の方。ほら、前に話が上がったけど人数が集まらなくて進まなかったやつさ。」
「あれですか?という事は、すでに話を通してきたので?」
「どうかな…。多分大丈夫だとは思うけど、さっき話を広めるように言ってきたから今度は集まるかもしれないね。それに、今回は公募も考えているんだ。色んな所から人を集めれば良いと思ってね。」
「それって、大丈夫なのですか?」
「裏の人間に間者の類が紛れているのは周知の事実だし、二心あるやつは認めないと言ってきた。それに、自警団は問題行動には厳しい処罰を設けるつもりだよ。そういった奴らは自然と追い出される事になるだろうね。」
「分かりました。それと馬車の用意が出来ております。」
フレッドの真っ当な対応にリズレットは落ち着かない気分になったが、先ほど領主の娘だとはバレてしまっているから仕方のない事だと呑み込む。
それに王子もいる前ではそういった態度でも仕方がない。無礼になってはいけないからだ。
「ありがとう。じゃ、レオ行こうか。」
リズレットが手を差し出せばレオナードは戸惑いながらもその手を取った。
ガタゴトと揺れる馬車の中で二人きりになるとリズレットは向かいに座っているレオナードの顔を見つめる。
本来なら不敬になるところだが、僅かに顔色が悪いままなので気になったのだ。
沈黙が続く馬車の静寂を破ったのは第二王子であるレオナードだった。
「その、助けて貰った事、感謝する。ありがとう。」
「いえ、ご無事で何よりでした。ところで、一つお尋ねしても宜しいですか?」
「構わない。」
「なぜ、この町に?」
「レスター辺境伯爵領の事を耳に挟んだからだ。何者かが民の生活を豊かにしていると。」
「それを調べてどうしようというのです?」
「隣国であるアリアナ王国もそれを知りたがっているのだ。この前流行した病もこの領ではあまり広まらなかったとか。その原因を誰も答えられないのでは我が国が侮られてしまうと。私は父と兄上の力になりたくて思わず飛び出してきてしまったのだ。」
王子の言葉にリズレットは少し考えた。
「その話は誰から聞いたのですか?」
「扉が開いていて中で数人の男たちが話していた。暗がりで顔は見ていないが。」
「………それは、わざと聞かされた可能性もありますね。」
「わざと?なぜだ。」
「殿下は現王妃様のお子ですから。殿下が率先して国の為に動くように仕向けられたのではないかと。そうすれば、殿下は王位を目指す心積もりがあるという意思表示に捉えることも出来ますので。」
リズレットの言葉にレオナードは固まる。
「母上はそんな事望んでいない!私もだ。」
「殿下のお気持ちはそうなのでしょう。ですが、周りはそうとは捉えません。殿下がこうしてレスター辺境伯爵領に出向いて調べまわっているのは恐らく周知の事でしょう。それは、国の為に自ら動こうとする王子の姿。即ち、次期国王を目指しているのだと。お母さまの実家の事も考えれば有利なのは当然殿下の方です。」
「そんなつもりは…。」
「それに、王位を望まないとご両親や兄君に明言したことはありますか?」
「いや、ない。」
「それはまた…殿下がそれを望まないのであれば、ここに来た理由と護衛から逸れた理由を考える必要がありますね。」
顔を青ざめさせたレオナードにリズレットは少し考えてから困ったように微笑んだ。
「そうですね…では、こう致しましょうか。ここには友人を訪ねて来た事にすればいいのです。友のわがままに付き合った。待ち合わせに護衛を撒いて行ったが、迷子になってしまった。無事に友人に会えて親切な人にレスター辺境伯爵の屋敷に連れて来て貰ったと。輝く星に関しては、友人との話題作りに領で有名になっているクランを調べて回った事にすれば如何でしょう。」
「だが友人といっても…。」
「私を友人という事にすれば良いではありませんか。後で手紙を偽装しなければいけませんけど。」
「助けて貰ったのに更に迷惑をかけるわけには…それに下手をすれば君の命が危ない。」
「多分、大丈夫ですよ。それに迷惑だなんてこれ以上、落ちようがないですし。」
リズレットの言葉にレオナードは首を傾げた。
「何より、護衛たちの処分を軽くしてあげることも出来ますしね。」
「それは、そうだが。」
「とにかく、屋敷に着いたらそういう理由があった事を周知させてください。それから、すぐに手紙の用意を。ご両親や兄君に心配をかけているはずです。」
「分かった。すまないアル。」
ゆっくりと馬車が止まりリズレットは先に降りてレオナードに手を差し伸べた。
屋敷の前にはすでに知らせが届いていたらしく、父とランドリック様がレオナードの顔を見てほっと安心したように見えた。
だが、隣に立つリズレットの姿を見てアルフォンスの表情が強張る。
レオナードからそっと手を放すとリズレットは父に向って駆けて行った。
急に走り出したアルにレオナードは驚いて声を上げた。
「おい、アル!」
騎士たちを躱してアルフォンスに飛び掛かったリズレット。
男装したままのリズレットに眉をひそめながらもアルフォンスはしっかりと抱きとめた。
「ただいま!お父様。」
「…お帰り、リズ。」
「お父様、お友達を連れてきました。レオ、父のアルフォンスです。ねぇ、お友達を家に泊めてもいいでしょ?私の為にわざわざここまで来てくれたのだから。」
「どういう事だ?」
意味が分からずアルフォンスが尋ねるがリズレットは強引に話を進める。
「ほら、レオ早く!あ、レオの部屋は私と一緒で良いでしょ?話したいことが沢山あるもの。」
「え?」
レオナードが困惑したままだが、リズレットはそのまま屋敷の中に入っていく。
「ほら、行くわよレオ!何しているの。」
レオナードの手を掴んで屋敷の中に入ったリズレットは応接室にレオナードを引っ張っていくと、着替えてくると言って部屋に引き返していった。
屋敷の前ではどういう事なのか分からず困惑したままのアルフォンスとレオナードの護衛として来ていたランドリックが残された。
そして慌てるように応接室に駆け込んでいく。
「殿下!どういう事なのですか。」
ランドリックの言葉にレオナードも困惑顔だ。アルフォンスも状況が呑み込めずにいた為、ただそれを静観するしかなかった。
着替えてくると言っていたリズレットは部屋に入った後、のんびりと風呂に入っていた。
そして、着替えを済ませてからゆっくりと寛ぐ。
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