異世界着ぐるみ転生

こまちゃも

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第五十四話 ヤキモチ?

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第五十四話 ヤキモチ?


「ぬぁぁぁぁぁあ!!」

突然聞こえた声に、思わずビクッと肩が跳ねた。

「お前、なんちゅう恰好を!」

物凄い勢いで走って来たかと思ったら、バサリ!と何かを被せられた。
見えない。見えないが、声の主が誰かは分かる。

「ジロー、酷くない?」
「酷いのはお前の恰好だ!」
「いや、ちゃんと着てるし!」

上は水着で、下は・・・まぁ、パレオだけだけど。

「それは着ているとは言わん!」
「・・・あそこにいらっしゃる、ビキニアーマーの綺麗なお姉さんよりは、布面積は広いと思うけど?」

久しぶりに会ったのに、お小言から始まるとか・・・懐かしい感じがするが、勘弁して。
アイテムバッグからシャツとズボンを取り出し、着た。

「ジロー?」

遠くからお姉さんが呼んでいる。しかも、他にもいるし。巨乳回復系に、スレンダー魔女ですか。へ~・・・。
「オッサンエルフの、ハーレム冒険紀行」って感じ?

「これ、どうも」

掛けられていた物をジローに返した。
島を出てから一度も連絡が来ないのは、そういう事か。

「ヒナ!あいつらは、その」
「何?」

ジローの目をじっと見ると、視線を逸らされた。
何だ?

「ジロー!」
「ジロー様!」

さっさとここから離れよう。モチ笛を吹いた。

「もう行くのか?」

少し寂しそうな顔。
そんな顔されても、彼女達の前で話せるような事って・・・無いだろ。
イチャイチャを見せられるのは勘弁してほしい。
モチが来るのが見えた。

「じゃね」

スピードを落としながら近くまで来てくれたモチに飛び乗り、その場を去った。





「ちょっと、ジロー!」
「ぬあぁぁ!くそっ!お前がそんな恰好してるから、誤解されただろうが!」
「はぁ?」
「もしかして、今の方がジロー様の?」
「なるほどねぇ。あんな美人なら、納得だわ」
「だよねぇ。こんな美人揃いのパーティに同行して、一度も手を出す素振りも無いもんなぁ」
「神秘的な方でしたぁ」
「テイマー?大型の鳥を使役できるなんて、凄いね」

頭をかきむしるジロー。
岩場に座る姿に目を奪われた。そこにいるはずもない、その姿に。
思わず駆け寄り、他の目から隠した。
抱きしめそうになった腕を押し止めるのに必死だった。
よりによって、よりによってこいつ等と一緒にいる時に!

「うるさい!ほら、さっさと行くぞ!」

一度、酔ってヒナの名を呼んだ事があった。
それ以来、ずっと誤魔化してきたのに!

「泣かせた女は数知れない、あのジローがねぇ」
「そうそう!」
「人聞きの悪い事言うな。俺は遊びで女を抱いた事はない」
「だけど、本気にもならない、でしょう?」
「この前の町でも」
「置いていく」

まったく、ぴーちくぱーちくと。
本当に聞きたい声は、我慢してるってのに。
声を聞いてしまえば、会いたくなる。だから、島を出てから一度も連絡を入れていない。

「ちょっと!」
「酷いですぅ」
「照れてるんじゃない?」
「「「いや~ん」」」

ジローはため息を隠す事なく吐くと、さっさと歩き出した。





「ただいまぁ」

島に帰ると、家の前でセバスが出迎えてくれた。

「お帰りなさいませ」
「モチ、ありがとうね」
「クゥ!」

モチが神社に帰って行くのを見送る。

「私が帰って来るって、よくわかったね」
「モチさんが飛んで行くのが見えたので」

なるほど。

「やはり、ネネルさんは一緒ではないのですね」
「やはり?」
「何となくですが、あの方はそのまま海に残ると思っておりました」
「セバスは何でも分かってて、凄いね」

偶にちょっと怖くなるほどだ。

「いいえ、何でもとはいきません」
「そうなの?」
「はい。ヒナ様が気落ちしていらっしゃるのは分かっても、原因までは分かりませんので」
「いや、十分だと思うけど」

読心術でも使えるんじゃ?

「いいえ、使えません」
「今、まさに!心を読んだよね!?」
「その・・・ヒナ様は少々、お顔に出易いので」

マジか!

「マジです」
「き、気を付けます」
「それで、何かあったのですか?」
「ジローに会ったよ」
「そうですか・・・もしや、女性と一緒だった、とか」
「それも、顔に出てますか」
「いいえ。久方ぶりにお会いした結果の気落ちなれば、女性関係であろうかと推測いたしました」
「病気だった、とかもあると思うけど」
「それならば、ポーションの一瓶で済むかと」

探偵か!
そんなに顔に出るかなぁ?前は「表情無くて怖い」とか言われてたのになぁ。

「綺麗な女性が三人、一緒だった。冒険者で、多分パーティを組んだんじゃないかな」
「なるほど。ヤキモチ、ですね」
「へい?」

思ってもいなかった言葉に、変な声が出た。
ヤキモチ?

「ジロー殿が他の女性と共にいるのを見て、気落ちしたのですよね?」
「気落ちしたというか、モヤっとしたと言うか」

そうか、ヤキモチか。懐かしいなぁ。
小学校の時、いつも一緒に遊んでいた友達が別の子と一緒にいるのを見て、モヤっとしたなぁ。

「なるほどねぇ。うんうん。ありがとう、セバス!スッキリしたよ!」
「いえ・・・」

猫の姿にも戻りたいし、着替えついでにシャワーでも浴びようかな。
魔法で綺麗になるとはいっても、これはもう気分的な問題だな。

「そのヤキモチと、ジロー殿が望むヤキモチは・・・あべかわ餅とずんだ餅くらい、違うと思いますよ」

セバスの言葉は、空しく風に流されたのだった。





シャワーを浴びて、気分もスッキリ!
そろそろ夕ご飯を作ろうかと考えていた所で、リシュナから連絡が来た。

「はいは~い」
『・・・』
「あれ?お~い」

声が聞こえない。もしかして、何かあった?
ダンジョンの時の事が頭を過った。

『ジェフ、何か言え。ヒナが困っておるではないか』
「ジェフさん!?」

まさかの、クロのお兄ちゃん!

『はい』
「・・・」

え、イタ電?

『もう良い。代われ』

いや、最初っからそうしようよ!

『ヒナ、遊びに来ないか?』
「遊びにって、リシュナの国に?」

ドラゴンの国か・・・行ってみたい!

「行きたい!」
『そうか。では、二日後に迎えに行く』

ドラゴンの国!ファンタジー!

「お土産用意しなきゃ!クロー!」

庭先で遊んでいたクロを見つけた。

「クロ、リシュナが遊びにおいでって」
「キュ」
「私も一緒にって言われたんだけど」
「キュ~!」

嬉しそうに飛び回るクロ。可愛い。
人魚の所には一緒に行けなかったからなぁ。

「お土産用意するから、手伝ってくれる?」
「キュキュ!」

任せとけと言わんばかりに、自分の胸を叩くクロ。

「先ずは、お酒だよね」

クロと一緒にどんぐり(酒)や野菜を収穫。竹籠に入れていく。

「後は・・・」
「キュ」
「ん?」
「キュキュ!キュ~!」

う~ん・・・何を言っているのか、分からん!

「キュ~・・・キュ!」

クロが神社の方を指して、両手でサラサラ~っと・・・。

「桜?」
「キュ!」

正解らしい。
次にコップを持って、中身をすくって・・・食べる。美味しい~・・・???

「桜、食事・・・もしかして、お花見?」
「キュ!」

これも正解!

「中身をすくって食べる物なんて、あったかなぁ」

スープ系は出してないしなぁ。食事風景を思い出して・・・ああ!あれか!

「プリン!」
「キュキュ~!」

クロがクルクルと回って喜ぶ。大正解らしい。
そう言えばリシュナも喜んでいたし、殆ど表情が出ないジェフさんも、少しだけ嬉しそうだったな。
ドラゴンとプリン・・・。

「せっかくなら、ちょっと頑張ってみようか」
「キュ~?」
「頑張るぞ~!」
「キュ~!」
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