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第五十五話 ドラゴンの国
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第五十五話 ドラゴンの国
「お、おはようございます」
「迎えに来た」
リシュナのお招きでドラゴンの国へ行く事になった当日、迎えに来てくれたのはジェフさんだった。
キラキラとした眼差しでジェフさんを見るクロ。お兄ちゃんの事、大好きなのね。
「本日はお招きいただき」
「固くならなくて良い。君は母の、女王の客人だ。私の事もジェフと呼ぶと良い」
「ありがとうございます。その、私の事もヒナと呼んでください」
「分かった」
「キュ~!」
自分の事も忘れるなと言わんばかりに、ジェフに飛びつくクロ。
ちゃんと抱きしめて受け止めるあたり、優しい人なんだろうと思う。
「キュキュ!」
「そうか」
お、ちょっと表情が緩んだ?あ、戻った。
何を言ったのか気になる!
「では、これに入ると良い」
ジェフさんが巨大なかごを出してくれた。
サ〇エさんが持っていそうな、取っ手付きの買い物かご・・・巨大バージョン。
凄いな。
「失礼」
「へ?」
ひょい、と抱えあげられてしまった。お姫様だぁっこ!?
ジェフさんはそのまま飛び上がり、かごの中へ着地。そっと下ろしてくれた。
ふぁぁぁぁあ!
一瞬の出来事に驚きやら恥ずかしさやら!
今日はそのままで良いと言われたので、猫のままだ。
その私よりも背が高いジェフ。
人型になったら、大人と子供の身長差くらいありそう。
「では、行こう」
ドラゴンの姿に戻るジェフ。ごめんなさい。大人と子供どころか、ドラゴンとおやつって感じでした。かごの取っ手を持ち、空へと舞い上がった。
「人族が騒ぐ。上を行くぞ」
既に空の上だが、更に上って?
あっという間に島が遠くなり、真っ白に包まれた。
「クロ!」
「キュ」
クロをギュッと抱きしめる。
少しすると、突然の光に目がくらんだ。
一瞬目を閉じて再び開けると、まるで別世界だった。
眼下に広がる真っ白な雲。
「キュ~~!!」
クロ大興奮。良かった、抱えてて。
ジェフがどんどんスピードを上げて行くが、全然風が来ない。彼が何かやってくれているようだ。
「私にも、翼があったらな」
思わずポソリと呟いた。
モチにお願いすれば、喜んで飛んでくれるけど・・・自分で飛ぶのとは違うんだろうなぁ。
猫に翼・・・召されそうで怖いな。
時折雲の切れ間から下が見えるが、高すぎて怖さは感じなかった。
「クロ、ヒナ」
呼ばれて前を向くと、雲の上に突き出た山が見えた。
「あの山が、グレイガイスだ」
「すっごいね!」
「キュ!」
近付くにつれ、木々や畑、街並みも見えた。
もっとこう・・・ドラゴンの山!的な岩山を想像していたけど、歩いているのはリシュナやジェフのような人型だった。
岩山の張り出た部分に着地。私達が乗っているかごがゆっくりと地面に下ろされた。
「お帰りなさいませ、ジェフ様、クロ様」
「客人を連れて来た」
バトラー姿の男性が出迎えてくれた。この人も、ドラゴンだろうな。
「ヒナです」
「グレイガイス家筆頭執事、ゴートと申します。ヒナ様には、心からの御礼を申し上げます」
「?」
「クロ様の命の恩人であり、ドラゴンの涙の生産者であるヒナ様に、感謝を捧げぬ者はおりません」
「いえいえ、そんな・・・」
「キュ~!」
クロ、人の肩の上でドヤらない。
「ヒナ、こちらだ」
「え、あ、うん」
「私は、王城にてお待ちしております」
「あ、はい!ジェフ、ちょっと待って!」
淡泊だなぁ。
ジェフの後について町に入った。
建物も道も石造り。頑丈そうだ。
「先ずは町を案内する」
「ありがとう・・・って、大丈夫なの?」
「何が?」
「だって、王子様でしょう?」
ヴァイスは身バレして騒ぎになると困るからって、町には出かけないって言ってた。
「その場合、クロもだが」
「あ、そうか。百五十・・・何番目だったっけ?」
「百五十八番目だ」
「本当に子沢山だよねぇ」
「父上と母上が夫婦となって二千年は経つ」
「二千年・・・」
途方もない。この世界って、寿命の差が凄い。
そういう私も、二百年くらい生きるんだっけ。
「あれ?洋服屋さんだ」
町を歩いていると、洋服屋を見つけた。ちょっと驚いた。
「人族の町にもあるだろう」
「ドラゴンって、必要ないのかと思ってた」
「俺は服を着ているが?」
「なんていうか・・・ドラゴンから人型になる時に、裸じゃなくて服を着ていたから、そういう魔法とかあるのかなぁと」
リシュナに聞きたいと思っていたんだよね。
私は人型になる時も猫に戻る時も、一々着替えないといけないのが面倒なんだよね。
猫から人はまだ良いけど、人から猫となると、破れるか伸びると思う。やった事ないけどね。
「ドラゴンの姿になれるのは、王族のみ。町に住む者達は、ドラゴンの血は引いているが、他の種族と交わった者の末裔だ」
「へぇ~」
「我が国では、ドラゴン同士の婚姻は王のみになる」
「え、そんな決まりがあるんだ」
「そうしないと、世界がドラゴンで溢れる」
「なるほど」
何千年も生きて、何百人と子供を産めるんだもんね。
「そうなると、クロの将来のお嫁さんは他種族って事か」
「キュ?」
「まだ早いか」
「キュ」
分かっているのか、いないのか・・・まぁ、まだ先の話だしね。
「それで、ジェフ達はどうやってるの?」
「アイテムだ。これを使う」
小さいビー玉?
直径一センチ程のビー玉に、金具が着けられている。
「綺麗・・・ん?中に何か入ってる?」
よく見ると、中に洋服一式が入っている様に見える。
「魔力を流すと、服を変えられる」
「へぇ~!」
これは、ゲームの中にはなかったアイテムだ!
「姉上や母上はいくつも持ち歩いている」
「便利・・・」
猫の時用と、人型の時用、両方入れておける。
「それ、どこで買えるの?」
「・・・・・」
小首を傾げられた!ちょっと可愛いじゃないか。
「リシュナに聞いてみるね」
「そうしてくれ」
それから少し町を見て、お城へと向かった。
ゴートさんが出迎えてくれて、そのまま謁見の間へと通された。
「本日はお招きいただき」
「良い。いつもの様にしてくれ」
「え、でも・・・」
謁見室には結構な数の人がいるんだけど・・・。
私が立っている絨毯の両脇には数十名の人がいる。
「皆、我の子共じゃ。何も問題あるまい」
「え、全員!?」
「そうじゃ。クロ、母の元へ来ておくれ」
「キュ~」
クロがしょうがないな~って感じで王座へと向かい、リシュナの膝の上に座った。
「ヒナはクロの命の恩人。皆も周知しておる。何も問題あるまいて。のぉ、クロ?」
「キュ!」
「はぁ・・・分かった。お土産持って来たんだけど、ここで出す?ちょっと大きいのもあるんだけど」
リシュナが台を用意してくれたので、その上に持って来た物を出していく。
段々山盛りになってきたところで、最後の一つになった。
「ちょっと大きいんだけど・・・あっちで出して良い?」
謁見の間の、少し開けた場所に出す事に。
うう、皆の目が・・・緊張する!
「じゃあ」
さっさと出してしまおう。
「よっこいしょっと」
取り出しました。私が見上げる程の高さを誇る、六トン味噌樽(仕込み用)。
いやぁ、頑張った。樽から手作り!
「な!?」
「何だあれは!?」
そりゃあザワザワ、するよね。作ってる最中、自分でも「何やってんだろ」とか思った。
「リシュナ、プリン好きでしょう?ドラゴンの姿でも満足できるようにと思って」
「ふ、ははははは!お主は本当に、面白い!」
因みに、スプーン付きでソースは後掛けです。
「ジェフの分もあるからね」
私がそう言うと、ジェフが一瞬少しだけ頬を染めた。
喜んでもらえたようで、何よりです!
「お、おはようございます」
「迎えに来た」
リシュナのお招きでドラゴンの国へ行く事になった当日、迎えに来てくれたのはジェフさんだった。
キラキラとした眼差しでジェフさんを見るクロ。お兄ちゃんの事、大好きなのね。
「本日はお招きいただき」
「固くならなくて良い。君は母の、女王の客人だ。私の事もジェフと呼ぶと良い」
「ありがとうございます。その、私の事もヒナと呼んでください」
「分かった」
「キュ~!」
自分の事も忘れるなと言わんばかりに、ジェフに飛びつくクロ。
ちゃんと抱きしめて受け止めるあたり、優しい人なんだろうと思う。
「キュキュ!」
「そうか」
お、ちょっと表情が緩んだ?あ、戻った。
何を言ったのか気になる!
「では、これに入ると良い」
ジェフさんが巨大なかごを出してくれた。
サ〇エさんが持っていそうな、取っ手付きの買い物かご・・・巨大バージョン。
凄いな。
「失礼」
「へ?」
ひょい、と抱えあげられてしまった。お姫様だぁっこ!?
ジェフさんはそのまま飛び上がり、かごの中へ着地。そっと下ろしてくれた。
ふぁぁぁぁあ!
一瞬の出来事に驚きやら恥ずかしさやら!
今日はそのままで良いと言われたので、猫のままだ。
その私よりも背が高いジェフ。
人型になったら、大人と子供の身長差くらいありそう。
「では、行こう」
ドラゴンの姿に戻るジェフ。ごめんなさい。大人と子供どころか、ドラゴンとおやつって感じでした。かごの取っ手を持ち、空へと舞い上がった。
「人族が騒ぐ。上を行くぞ」
既に空の上だが、更に上って?
あっという間に島が遠くなり、真っ白に包まれた。
「クロ!」
「キュ」
クロをギュッと抱きしめる。
少しすると、突然の光に目がくらんだ。
一瞬目を閉じて再び開けると、まるで別世界だった。
眼下に広がる真っ白な雲。
「キュ~~!!」
クロ大興奮。良かった、抱えてて。
ジェフがどんどんスピードを上げて行くが、全然風が来ない。彼が何かやってくれているようだ。
「私にも、翼があったらな」
思わずポソリと呟いた。
モチにお願いすれば、喜んで飛んでくれるけど・・・自分で飛ぶのとは違うんだろうなぁ。
猫に翼・・・召されそうで怖いな。
時折雲の切れ間から下が見えるが、高すぎて怖さは感じなかった。
「クロ、ヒナ」
呼ばれて前を向くと、雲の上に突き出た山が見えた。
「あの山が、グレイガイスだ」
「すっごいね!」
「キュ!」
近付くにつれ、木々や畑、街並みも見えた。
もっとこう・・・ドラゴンの山!的な岩山を想像していたけど、歩いているのはリシュナやジェフのような人型だった。
岩山の張り出た部分に着地。私達が乗っているかごがゆっくりと地面に下ろされた。
「お帰りなさいませ、ジェフ様、クロ様」
「客人を連れて来た」
バトラー姿の男性が出迎えてくれた。この人も、ドラゴンだろうな。
「ヒナです」
「グレイガイス家筆頭執事、ゴートと申します。ヒナ様には、心からの御礼を申し上げます」
「?」
「クロ様の命の恩人であり、ドラゴンの涙の生産者であるヒナ様に、感謝を捧げぬ者はおりません」
「いえいえ、そんな・・・」
「キュ~!」
クロ、人の肩の上でドヤらない。
「ヒナ、こちらだ」
「え、あ、うん」
「私は、王城にてお待ちしております」
「あ、はい!ジェフ、ちょっと待って!」
淡泊だなぁ。
ジェフの後について町に入った。
建物も道も石造り。頑丈そうだ。
「先ずは町を案内する」
「ありがとう・・・って、大丈夫なの?」
「何が?」
「だって、王子様でしょう?」
ヴァイスは身バレして騒ぎになると困るからって、町には出かけないって言ってた。
「その場合、クロもだが」
「あ、そうか。百五十・・・何番目だったっけ?」
「百五十八番目だ」
「本当に子沢山だよねぇ」
「父上と母上が夫婦となって二千年は経つ」
「二千年・・・」
途方もない。この世界って、寿命の差が凄い。
そういう私も、二百年くらい生きるんだっけ。
「あれ?洋服屋さんだ」
町を歩いていると、洋服屋を見つけた。ちょっと驚いた。
「人族の町にもあるだろう」
「ドラゴンって、必要ないのかと思ってた」
「俺は服を着ているが?」
「なんていうか・・・ドラゴンから人型になる時に、裸じゃなくて服を着ていたから、そういう魔法とかあるのかなぁと」
リシュナに聞きたいと思っていたんだよね。
私は人型になる時も猫に戻る時も、一々着替えないといけないのが面倒なんだよね。
猫から人はまだ良いけど、人から猫となると、破れるか伸びると思う。やった事ないけどね。
「ドラゴンの姿になれるのは、王族のみ。町に住む者達は、ドラゴンの血は引いているが、他の種族と交わった者の末裔だ」
「へぇ~」
「我が国では、ドラゴン同士の婚姻は王のみになる」
「え、そんな決まりがあるんだ」
「そうしないと、世界がドラゴンで溢れる」
「なるほど」
何千年も生きて、何百人と子供を産めるんだもんね。
「そうなると、クロの将来のお嫁さんは他種族って事か」
「キュ?」
「まだ早いか」
「キュ」
分かっているのか、いないのか・・・まぁ、まだ先の話だしね。
「それで、ジェフ達はどうやってるの?」
「アイテムだ。これを使う」
小さいビー玉?
直径一センチ程のビー玉に、金具が着けられている。
「綺麗・・・ん?中に何か入ってる?」
よく見ると、中に洋服一式が入っている様に見える。
「魔力を流すと、服を変えられる」
「へぇ~!」
これは、ゲームの中にはなかったアイテムだ!
「姉上や母上はいくつも持ち歩いている」
「便利・・・」
猫の時用と、人型の時用、両方入れておける。
「それ、どこで買えるの?」
「・・・・・」
小首を傾げられた!ちょっと可愛いじゃないか。
「リシュナに聞いてみるね」
「そうしてくれ」
それから少し町を見て、お城へと向かった。
ゴートさんが出迎えてくれて、そのまま謁見の間へと通された。
「本日はお招きいただき」
「良い。いつもの様にしてくれ」
「え、でも・・・」
謁見室には結構な数の人がいるんだけど・・・。
私が立っている絨毯の両脇には数十名の人がいる。
「皆、我の子共じゃ。何も問題あるまい」
「え、全員!?」
「そうじゃ。クロ、母の元へ来ておくれ」
「キュ~」
クロがしょうがないな~って感じで王座へと向かい、リシュナの膝の上に座った。
「ヒナはクロの命の恩人。皆も周知しておる。何も問題あるまいて。のぉ、クロ?」
「キュ!」
「はぁ・・・分かった。お土産持って来たんだけど、ここで出す?ちょっと大きいのもあるんだけど」
リシュナが台を用意してくれたので、その上に持って来た物を出していく。
段々山盛りになってきたところで、最後の一つになった。
「ちょっと大きいんだけど・・・あっちで出して良い?」
謁見の間の、少し開けた場所に出す事に。
うう、皆の目が・・・緊張する!
「じゃあ」
さっさと出してしまおう。
「よっこいしょっと」
取り出しました。私が見上げる程の高さを誇る、六トン味噌樽(仕込み用)。
いやぁ、頑張った。樽から手作り!
「な!?」
「何だあれは!?」
そりゃあザワザワ、するよね。作ってる最中、自分でも「何やってんだろ」とか思った。
「リシュナ、プリン好きでしょう?ドラゴンの姿でも満足できるようにと思って」
「ふ、ははははは!お主は本当に、面白い!」
因みに、スプーン付きでソースは後掛けです。
「ジェフの分もあるからね」
私がそう言うと、ジェフが一瞬少しだけ頬を染めた。
喜んでもらえたようで、何よりです!
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