異世界着ぐるみ転生

こまちゃも

文字の大きさ
40 / 141
連載

第五十四話 ヤキモチ?

しおりを挟む
第五十四話 ヤキモチ?


「ぬぁぁぁぁぁあ!!」

突然聞こえた声に、思わずビクッと肩が跳ねた。

「お前、なんちゅう恰好を!」

物凄い勢いで走って来たかと思ったら、バサリ!と何かを被せられた。
見えない。見えないが、声の主が誰かは分かる。

「ジロー、酷くない?」
「酷いのはお前の恰好だ!」
「いや、ちゃんと着てるし!」

上は水着で、下は・・・まぁ、パレオだけだけど。

「それは着ているとは言わん!」
「・・・あそこにいらっしゃる、ビキニアーマーの綺麗なお姉さんよりは、布面積は広いと思うけど?」

久しぶりに会ったのに、お小言から始まるとか・・・懐かしい感じがするが、勘弁して。
アイテムバッグからシャツとズボンを取り出し、着た。

「ジロー?」

遠くからお姉さんが呼んでいる。しかも、他にもいるし。巨乳回復系に、スレンダー魔女ですか。へ~・・・。
「オッサンエルフの、ハーレム冒険紀行」って感じ?

「これ、どうも」

掛けられていた物をジローに返した。
島を出てから一度も連絡が来ないのは、そういう事か。

「ヒナ!あいつらは、その」
「何?」

ジローの目をじっと見ると、視線を逸らされた。
何だ?

「ジロー!」
「ジロー様!」

さっさとここから離れよう。モチ笛を吹いた。

「もう行くのか?」

少し寂しそうな顔。
そんな顔されても、彼女達の前で話せるような事って・・・無いだろ。
イチャイチャを見せられるのは勘弁してほしい。
モチが来るのが見えた。

「じゃね」

スピードを落としながら近くまで来てくれたモチに飛び乗り、その場を去った。





「ちょっと、ジロー!」
「ぬあぁぁ!くそっ!お前がそんな恰好してるから、誤解されただろうが!」
「はぁ?」
「もしかして、今の方がジロー様の?」
「なるほどねぇ。あんな美人なら、納得だわ」
「だよねぇ。こんな美人揃いのパーティに同行して、一度も手を出す素振りも無いもんなぁ」
「神秘的な方でしたぁ」
「テイマー?大型の鳥を使役できるなんて、凄いね」

頭をかきむしるジロー。
岩場に座る姿に目を奪われた。そこにいるはずもない、その姿に。
思わず駆け寄り、他の目から隠した。
抱きしめそうになった腕を押し止めるのに必死だった。
よりによって、よりによってこいつ等と一緒にいる時に!

「うるさい!ほら、さっさと行くぞ!」

一度、酔ってヒナの名を呼んだ事があった。
それ以来、ずっと誤魔化してきたのに!

「泣かせた女は数知れない、あのジローがねぇ」
「そうそう!」
「人聞きの悪い事言うな。俺は遊びで女を抱いた事はない」
「だけど、本気にもならない、でしょう?」
「この前の町でも」
「置いていく」

まったく、ぴーちくぱーちくと。
本当に聞きたい声は、我慢してるってのに。
声を聞いてしまえば、会いたくなる。だから、島を出てから一度も連絡を入れていない。

「ちょっと!」
「酷いですぅ」
「照れてるんじゃない?」
「「「いや~ん」」」

ジローはため息を隠す事なく吐くと、さっさと歩き出した。





「ただいまぁ」

島に帰ると、家の前でセバスが出迎えてくれた。

「お帰りなさいませ」
「モチ、ありがとうね」
「クゥ!」

モチが神社に帰って行くのを見送る。

「私が帰って来るって、よくわかったね」
「モチさんが飛んで行くのが見えたので」

なるほど。

「やはり、ネネルさんは一緒ではないのですね」
「やはり?」
「何となくですが、あの方はそのまま海に残ると思っておりました」
「セバスは何でも分かってて、凄いね」

偶にちょっと怖くなるほどだ。

「いいえ、何でもとはいきません」
「そうなの?」
「はい。ヒナ様が気落ちしていらっしゃるのは分かっても、原因までは分かりませんので」
「いや、十分だと思うけど」

読心術でも使えるんじゃ?

「いいえ、使えません」
「今、まさに!心を読んだよね!?」
「その・・・ヒナ様は少々、お顔に出易いので」

マジか!

「マジです」
「き、気を付けます」
「それで、何かあったのですか?」
「ジローに会ったよ」
「そうですか・・・もしや、女性と一緒だった、とか」
「それも、顔に出てますか」
「いいえ。久方ぶりにお会いした結果の気落ちなれば、女性関係であろうかと推測いたしました」
「病気だった、とかもあると思うけど」
「それならば、ポーションの一瓶で済むかと」

探偵か!
そんなに顔に出るかなぁ?前は「表情無くて怖い」とか言われてたのになぁ。

「綺麗な女性が三人、一緒だった。冒険者で、多分パーティを組んだんじゃないかな」
「なるほど。ヤキモチ、ですね」
「へい?」

思ってもいなかった言葉に、変な声が出た。
ヤキモチ?

「ジロー殿が他の女性と共にいるのを見て、気落ちしたのですよね?」
「気落ちしたというか、モヤっとしたと言うか」

そうか、ヤキモチか。懐かしいなぁ。
小学校の時、いつも一緒に遊んでいた友達が別の子と一緒にいるのを見て、モヤっとしたなぁ。

「なるほどねぇ。うんうん。ありがとう、セバス!スッキリしたよ!」
「いえ・・・」

猫の姿にも戻りたいし、着替えついでにシャワーでも浴びようかな。
魔法で綺麗になるとはいっても、これはもう気分的な問題だな。

「そのヤキモチと、ジロー殿が望むヤキモチは・・・あべかわ餅とずんだ餅くらい、違うと思いますよ」

セバスの言葉は、空しく風に流されたのだった。





シャワーを浴びて、気分もスッキリ!
そろそろ夕ご飯を作ろうかと考えていた所で、リシュナから連絡が来た。

「はいは~い」
『・・・』
「あれ?お~い」

声が聞こえない。もしかして、何かあった?
ダンジョンの時の事が頭を過った。

『ジェフ、何か言え。ヒナが困っておるではないか』
「ジェフさん!?」

まさかの、クロのお兄ちゃん!

『はい』
「・・・」

え、イタ電?

『もう良い。代われ』

いや、最初っからそうしようよ!

『ヒナ、遊びに来ないか?』
「遊びにって、リシュナの国に?」

ドラゴンの国か・・・行ってみたい!

「行きたい!」
『そうか。では、二日後に迎えに行く』

ドラゴンの国!ファンタジー!

「お土産用意しなきゃ!クロー!」

庭先で遊んでいたクロを見つけた。

「クロ、リシュナが遊びにおいでって」
「キュ」
「私も一緒にって言われたんだけど」
「キュ~!」

嬉しそうに飛び回るクロ。可愛い。
人魚の所には一緒に行けなかったからなぁ。

「お土産用意するから、手伝ってくれる?」
「キュキュ!」

任せとけと言わんばかりに、自分の胸を叩くクロ。

「先ずは、お酒だよね」

クロと一緒にどんぐり(酒)や野菜を収穫。竹籠に入れていく。

「後は・・・」
「キュ」
「ん?」
「キュキュ!キュ~!」

う~ん・・・何を言っているのか、分からん!

「キュ~・・・キュ!」

クロが神社の方を指して、両手でサラサラ~っと・・・。

「桜?」
「キュ!」

正解らしい。
次にコップを持って、中身をすくって・・・食べる。美味しい~・・・???

「桜、食事・・・もしかして、お花見?」
「キュ!」

これも正解!

「中身をすくって食べる物なんて、あったかなぁ」

スープ系は出してないしなぁ。食事風景を思い出して・・・ああ!あれか!

「プリン!」
「キュキュ~!」

クロがクルクルと回って喜ぶ。大正解らしい。
そう言えばリシュナも喜んでいたし、殆ど表情が出ないジェフさんも、少しだけ嬉しそうだったな。
ドラゴンとプリン・・・。

「せっかくなら、ちょっと頑張ってみようか」
「キュ~?」
「頑張るぞ~!」
「キュ~!」
しおりを挟む
感想 449

あなたにおすすめの小説

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつもりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。