異世界着ぐるみ転生

こまちゃも

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第百四話 ドワー・・・フ?

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第百四話 ドワー・・・フ?


「ヒナ様、そろそろドワーフの町へ着きそうです」

畑仕事が終わった頃、セバスが現れた。
一緒に島の端まで行くと、山の中腹に町が見えた。

「へぇ~、やっぱり山にあるんだね。でも、資源が枯渇しちゃったらどうするんだろう?」
「町ごと引っ越すそうですよ。あの町は出来て百年程度なので、まだ大丈夫らしいですが」
「なんだかなぁ」

鉱山は、森林伐採みたいにまた木を植えて環境に配慮ってわけにもいかないもんなぁ。
森林再生も、何十年と掛かる上に完全に元通りと言うわけにはいかない。

「ヒナ様。ヒナ様がお心を痛める必要はございません。ドワーフの町が去った鉱山は数年でダンジョン化します」
「へ?」
「ダンジョン化した鉱山の周りには冒険者が集まり、新たな町が出来上がります。冒険者が集まると言う事は、武器や防具が必要となる。それらはドワーフが作ります。言わば、リサイクルです」
「どっちかって言うと、食物連鎖では?」

鉱山がダンジョン化・・・さすがファンタジー世界。

「武器や防具の需要が高まり、鉱山を掘る。枯渇するとダンジョンが出来る。そしてダンジョンが突破されると、資源豊富な山へと再生されます」
「そしてまた掘りつくされて枯渇しても、再生すると・・・意外とクリーンなリサイクルだった!」
「ヒナ様、ダンジョン内で死んだ生き物は、ダンジョン内に取り込まれるんですよ」
「生き物って」
「魔物と冒険者ですね」

ダンジョン、怖い!色んな意味で!
石油や宝石も化石から出来てるって言うし?
弱肉強食の食物連鎖がクリーンなリサイクル・・・いや、わけわからん。

「因みに、クロさんのお姉さまが引きこも・・・占拠した洞窟は、鉱石が煌めく素敵な洞窟へと変わりました」
「マジですか。ってかあれって、ダンジョン突破になるんだ」

殴り飛ばしただけなんだけどね。

「はい。ラスボスがいなくなったと言う事実は同じですから」
「じゃあ、ラスボスを倒さなくても他の廃坑に引っ越ししてもらえば良いのでは?」
「それでは、ドロップ品や宝箱が手に入りません。それに、ラスボスと言っても自我のある魔物とは限りませんから」
「ああ、なるほどね」

話が通じなければ、引っ越しの打診も何も無いか。

「さて、ちょっと下見に行ってこようかな」

アイテムポーチから箒を取り出し、人型に変身。

「お昼には帰るから!」
「いってらっしゃいませ」

箒に乗って、島を出た。

「さて、町の近くの森に降りて・・・」

どこかに降りられる場所が無いかと見渡すと、土煙が見えた。
何かが猛スピードで走っているみたいだ。
とりあえず近くの木の枝に着地。箒をポーチへと入れた。

「よっ・・・ほっと」

枝から枝へ飛び降りつつ、地面にたどり着いた。

「お、近付いて来た」

ドドドドドド!という音と共にやって来たのは、大きなイノシシだった。

「おぉう」

イノシシはそのまま私に目もくれず、走り去って行った。

「何だろう?何かに追われているような・・・」

すると、もう一つの音が聞こえて来た。
土煙を上げてやって来たのは、大きな斧を肩に担いだ大きな女性だった。

「まぁてゴラァァァ!今日の晩飯!」

アマゾネス!?

「いや、冒険者か」

女性はそのまま走り去って行ってしまった。
晩飯!と叫んでいたから、あのイノシシを狩っている最中か。

「いやぁ、凄い人がいるんだなぁ」

あっという間に見えなくなった。

「さて、町は・・・あっちか」

どうせなので、このまま歩いて行く事にした。
そして歩く事一時間。山を半分登ったところで、町の門にたどり着いた。

「ようこそ、鉱山の町ガッシュノーグへ。身分証をお願いします」
「あ、はい」

おお、そんな名前だったのか。
身分証の腕輪を門番に渡すと、ズシン!ズシン!と音が聞こえて来た。

「あ」

さっきの女の人だった。
まるで米俵の様に巨大なイノシシを肩に担いでいる。
さっきは気付かなかったけど、猫の自分と同じくらい大きいな。

「・・・」

女性は門を素通りすると、そのまま歩いて行ってしまった。

「チッ」

舌打ちが聞こえて来た。門番から。

「あの」
「あぁ、失礼しました。確認できました。どうぞ」

何事も無かったかの様に腕輪を返された。
ふむ、ここに住む人は顔パスとか?

「・・・どうも」

釈然としないまま門を通り、町へと入った。

「お、おぉ!」

右を見ても、左を見ても、ドワーフ!
今の私と同じくらいか小さいくらいの、髭を生やしたオジサンにしか見えないドワーフ達がいた。
全体的に丸っこい。あ、女の人もいる。
建物も全体的に小さい気がする。

「あ」

さっきの女性の後ろ姿が見えた。
周りは女性を避けているようだ。
まぁ、あんな大きなイノシシ担いでいたら、避けるわな。

「さて、少しお店を見るか」

食堂や屋台もあるが、どこも味が濃そう。
おっと、武器屋を見つけた。

「へぇ~」

やはりと言うか、鍛冶を種族の生業とするだけあってかなりの高品質!
鑑定してみても、ランクの高い物が多い。そして、お値段も高い。

「こっちは・・・安売りのもあるんだ」

だが、店先に置かれた樽の中に、雑多に剣が放り込まれていた。
そちらは投げ売り価格みたいだ。

「あ、これ」

鑑定してみると、一つだけ飛びぬけた短剣が一振り。ランクS。
値札を見ると、銀貨一枚となっていた。

「これは掘り出し物だ!すみません、これください!」
「はいはい・・・本当にそれで良いのかい?」

私が持っている剣を見た途端、お店の主らしい女性のドワーフの顔が嫌そうに歪められた。

「まぁ、それを買ってくれるなら良いさ」

銀貨を一枚渡すと、「せいせいした」と言わんばかりにため息を吐いた女性。
何だぁ?
店から数歩離れると、女性の声が聞こえて来た。

「やっぱり観光客は見る目が無いねぇ。あんなのを買っていくなんて」
「打ってる奴を知らないからだろ。何にせよ、処分出来て良かったじゃないか」
「それもそうだね」

笑い声が聞こえて来た。感じわるぅぅ。

「ちょっと、さっきジェスカが通っていったよ!」
「ああ、見た見た!」
「あんな冒険者崩れを嫁に貰うなんてねぇ」
「まぁ、貰った方もアレだからなぁ。どっちもどっちだろ」

さっきの女性、ジェスカさんって言うのか。
よく見ると、舗装されていない土を慣らしただけの道に足跡が付いている。
どうやら町の奥に続いているようだ。

「行ってみるか」

折角ファンタジーな町にわくわくして来たのに、空気悪いしね。
ってか、足でっかいな!これなら見失う事も無いだろう。

「ふんふふ~ん。何が出るかなぁ~」

鼻歌雑じりに、足跡を追いかけた。





「随分と離れたなぁ」

後ろを振り返ると、最後に見た建物が見えなくなっていた。
周りは木々が生い茂り、踏み固めた様な道が一本続いている。

「もう少し行ってみるか」

それから少し進むと、ズドン!と地響きが!
何かあったのかと、思わず走りだした。
すると、家が見えて・・・ん?
いや、家は見えたんだけども、その家の前に女性が立っていた・・・血塗られた女性が。

「ん?」

おぉう、目が合ってしまったぁ。

「こ、こんにちは~」
「・・・もしかして・・・お客さんかい!?」
「へ?」

全身血まみれで、満面の笑顔!

「あんたぁ!お客さんが来たよぉ!」

女性が家に向かって叫んだ。
すると、ドン!ガン!ガシャ~ン!と、凄い音が聞こえて来た。大丈夫か?

「お、お客!」

家の扉は女性に合わせているのか、かなり大きい。
その扉が開いた瞬間、ゴン!と鈍い音が聞こえた。

「だから扉を大きくしようって言ったのに」
「・・・大丈夫」

そして、扉からぬっと出て来たのは、女性よりも大きい、髭もじゃの男性だった。
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