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第百五話 ラブラブ夫婦
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第百五話 ラブラブ夫婦
家から出て来たのは、そこらの熊よりも大きい男性だった。
髭もじゃ髪もじゃで、顔は鼻の先くらいしか見えない。
「あたいの名はジェスカ。こっちは旦那のガーゴさ」
ジェスカさんよりも頭一つ大きいガーゴさん。と言う事は、私よりも大きいか。
今の人型で見上げると、首が痛い。
「ヒナ、です」
「へぇ~、随分と可愛らしい嬢ちゃんだねぇ」
ジェスカさんの顔がにゅっと近付いて来た。
ふむ、気付かなかったけど、美人さんだ。
「どうも」
「しかも、結構肝が据わってるね!気に入った!」
バシバシと背中を叩かれる。元の姿ならまだしも、結構痛いので勘弁してください。
「客?」
豪快なジェスカさんとは違い、ガーゴさんは寡黙なのかな?
「あの、この短剣を打ったのは貴方ですか?」
さっき買った短剣を見せると、ガーゴさんが指でつまんでまじまじと見つめた。
「俺だ」
「あんた、良い目してるね!うちの旦那は、鍛冶にかけちゃドワーフ随一さね!」
ドワーフ!!
町で見たドワーフの何倍あるんだ!?
「あっはっはっはっ!驚いたかい?」
「はい」
「素直だね!そういうの、好きだよ!」
「これ」
ガーゴさんが短剣を返してくれた。
「それで、どうしてこんな所まで来たんだい?」
「実は・・・」
二人に、下宿をやっている事、そこには冒険者が何人かいて、鍛冶の出来る人を探している事を説明した。
「へぇ~!小さいのに、頑張ってるんだねぇ!」
またバシバシと背中を叩かれた。
これ、普通の人にやったら、確実に骨が折れるか吹っ飛ぶから!
「う・・・ぐすっ・・・」
ガーゴさんが・・・泣いた!
えぇぇえ、何故?
「小さい女の子・・・健気・・・」
「いや、あの・・・そこまで子供ではないんですが」
「大丈夫、大丈夫!うちの旦那、ちょっとそう言う話に弱くてねぇ」
何故か苦労人認定された。
「馬鹿、泣くんじゃないよ。私まで・・・ぐすっ・・・」
「いやいやいや!本当に、そんな感じじゃないので!」
「「健気・・・」」
「違うから!」
何だ、この夫婦!
*
「はぁ~。このお茶、美味しいねぇ」
「ん。美味い」
落ち着いてもらう為に、お茶を入れました。
湯飲みがお猪口に見えなくも無いが・・・。
「冒険者のいる下宿ねぇ。鍛冶屋がいれば、入りたいって奴は多いだろうね」
「今のところ、下宿人の募集はしてないんです。仕事としては、農機具の研ぎだったり、冒険者の武器の手入れが主になると思います」
「農機具?」
「はい。下宿で出す食べ物は出来るだけ自給自足で」
そこまで言いかけると、また夫婦の目に涙が!いやもう、それは良いから!
「うぅ・・・良い子だねぇ」
「娘」
「ああ、こんな娘がいたらねぇ」
おいおい、話が変な方向に行ったぞ?
「出来れば嬢ちゃんの手助けをしてやりたいが、紹介できるようなドワーフがいなくてねぇ」
「え?」
「旦那はドワーフなのに、こんなにデカいだろう?馴染めなくて、町から離れたここにいる。あたいも、こう見えて巨人族さ」
「巨人族?」
「知らないかい?旦那の四、五倍はありそうな種族なんだが、あたいはこの通り。旦那は大きすぎて、あたいは小さすぎて・・・居場所がない者同士の夫婦ってわけ」
ガーゴさんが大きすぎると言うのは分かるが、ジェスカさんが小さすぎると言うのが想像出来ない。
「それだけ、じゃない」
「ん?」
「ちゃんと、愛している」
「あんた・・・」
二人が手を取り合い、見つめ合う・・・これ、どぉしたら良いんだろうねぇ。
まぁ、夫婦仲良き事は美しきかな。
目の前には、どデカいもじゃもじゃの男性と、ちょっとムキッと筋肉が出る女性。
「コホン!あのぉ・・・お取込み中申し訳ないんですが、紹介してほしいのではないので」
「「え?」」
「お二人一緒に、どうかなぁと」
「い、いやいやいや!あたい達が!?そりゃあ旦那の腕は確かだが、その・・・さっきも言っただろう?」
「はい。ですが、何も問題はありません」
イヤーカフスの魔力を切り、元の姿に戻った。
「私も、こんな感じなので」
二人はぽか~んと口を開けて固まってしまった。
「うちにはエルフも獣人もいますし、まぁその・・・ちょっと変わった人達の集まりと言うか・・・。ああ、衣食住はこちらで用意出来ます。給料は、一か月金貨一枚。仕事があっても無くても、お支払いします」
「「金貨一枚!?」」
「あ、少なかったです?それなら」
エストと同じ額で言ってしまったが、少なかったか。
「ち、違う!違う!衣食住世話してもらって、さらに給料までもらえるなんて」
ガーゴさんが物凄い勢いで頷いた。
「いやぁ、まぁ・・・ちょっと辺鄙な場所にあるので。それはそれ、これはこれ・・・的な?でも、ジェスカさんが冒険者を続ける事は出来ますから!」
「他にも冒険者がいるって言ってたね」
「はい」
三分の二は、単細胞とドМだけど・・・。
「・・・・・すまない。少し考えさせてほしい」
「ジェス?」
そりゃそうだ。
突然現れて「うちに来ない?」とか言われても、困るわな。
「分かりました。では、三日後にまた来ます」
「ああ」
人型に変身し、二人に挨拶をして町へと戻った。
「あの二人を見たからか、余計に小さく見える・・・」
ふと、屋台で食事をしているドワーフが目に入った。
「ふむ・・・お酒か」
木製のコップで乾杯をするドワーフ達。
ここまでお酒の匂いがしてきそうだ。
ガーゴさんの顔が頭を過った。うん、飲みそう!
「今度来る時は、ドングリ持って来ようかな」
そのまま町を抜け、門の外へとやってきた。
そのまま森の中へと入り、人目が無い事を確認してから転移石を発動させて、島へと戻ってきた。
「おかえりなさいませ」
「ただいま、セバス」
「どうでしたか?」
「うん、良い人に会えたよ。おしどり夫婦って感じだった」
ただ、人前でラブラブな空気をだすのは勘弁してほしい。
「ヒナ様。鳥類は他の動物とは違い、一妻一夫です」
「うん?」
「繁殖期にはオスが派手な羽毛となり、求愛ダンスを踊ります」
「う、うん」
鳥の求愛ダンスって、可愛いのから面白いのまであって、結構好きだ。
「鳥類の多くは、繁殖期が終わり、雛が孵ると、解散します」
「へ?」
「オシドリは、雌が卵を産むと、雄が去っていきます」
「え」
「そして、即行で他のメスに行きます」
「オシドリ!」
全然違うじゃん!
「雌は雌で、雛にしか興味が無くなるので、雄はいなくても平気です。むしろ、邪魔」
「え、えぇぇ・・・」
休日に邪魔者扱いされる、お父さん!?
なんとも世知辛い。
「生きとし生ける者の本分が、子孫繁栄ですから」
「残しゃ良いってもんじゃないだろうに・・・」
「鳥と言うか、自然界はそれだけ厳しいと言う事です。例え番になったとしても、次の繁殖期にまた会えるとは限らないですからね」
「ああ、なるほど」
「因みに猫は」
「さぁ、お昼ご飯の支度しないとね!」
逃げるが勝ち!
勢いよく走りだした。
子供かぁ・・・ん?その場合、産まれるのは獣人?それとも、子猫?
いや、その前に相手か。
「お昼ごはぁぁぁぁぁん!」
だって私、まだ二歳(この世界に来て)だし?猫で考え・・・ない!そこは、駄目!
現実逃避ではない!
さぁ、お昼ご飯何にしようかなぁ~。
家から出て来たのは、そこらの熊よりも大きい男性だった。
髭もじゃ髪もじゃで、顔は鼻の先くらいしか見えない。
「あたいの名はジェスカ。こっちは旦那のガーゴさ」
ジェスカさんよりも頭一つ大きいガーゴさん。と言う事は、私よりも大きいか。
今の人型で見上げると、首が痛い。
「ヒナ、です」
「へぇ~、随分と可愛らしい嬢ちゃんだねぇ」
ジェスカさんの顔がにゅっと近付いて来た。
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「どうも」
「しかも、結構肝が据わってるね!気に入った!」
バシバシと背中を叩かれる。元の姿ならまだしも、結構痛いので勘弁してください。
「客?」
豪快なジェスカさんとは違い、ガーゴさんは寡黙なのかな?
「あの、この短剣を打ったのは貴方ですか?」
さっき買った短剣を見せると、ガーゴさんが指でつまんでまじまじと見つめた。
「俺だ」
「あんた、良い目してるね!うちの旦那は、鍛冶にかけちゃドワーフ随一さね!」
ドワーフ!!
町で見たドワーフの何倍あるんだ!?
「あっはっはっはっ!驚いたかい?」
「はい」
「素直だね!そういうの、好きだよ!」
「これ」
ガーゴさんが短剣を返してくれた。
「それで、どうしてこんな所まで来たんだい?」
「実は・・・」
二人に、下宿をやっている事、そこには冒険者が何人かいて、鍛冶の出来る人を探している事を説明した。
「へぇ~!小さいのに、頑張ってるんだねぇ!」
またバシバシと背中を叩かれた。
これ、普通の人にやったら、確実に骨が折れるか吹っ飛ぶから!
「う・・・ぐすっ・・・」
ガーゴさんが・・・泣いた!
えぇぇえ、何故?
「小さい女の子・・・健気・・・」
「いや、あの・・・そこまで子供ではないんですが」
「大丈夫、大丈夫!うちの旦那、ちょっとそう言う話に弱くてねぇ」
何故か苦労人認定された。
「馬鹿、泣くんじゃないよ。私まで・・・ぐすっ・・・」
「いやいやいや!本当に、そんな感じじゃないので!」
「「健気・・・」」
「違うから!」
何だ、この夫婦!
*
「はぁ~。このお茶、美味しいねぇ」
「ん。美味い」
落ち着いてもらう為に、お茶を入れました。
湯飲みがお猪口に見えなくも無いが・・・。
「冒険者のいる下宿ねぇ。鍛冶屋がいれば、入りたいって奴は多いだろうね」
「今のところ、下宿人の募集はしてないんです。仕事としては、農機具の研ぎだったり、冒険者の武器の手入れが主になると思います」
「農機具?」
「はい。下宿で出す食べ物は出来るだけ自給自足で」
そこまで言いかけると、また夫婦の目に涙が!いやもう、それは良いから!
「うぅ・・・良い子だねぇ」
「娘」
「ああ、こんな娘がいたらねぇ」
おいおい、話が変な方向に行ったぞ?
「出来れば嬢ちゃんの手助けをしてやりたいが、紹介できるようなドワーフがいなくてねぇ」
「え?」
「旦那はドワーフなのに、こんなにデカいだろう?馴染めなくて、町から離れたここにいる。あたいも、こう見えて巨人族さ」
「巨人族?」
「知らないかい?旦那の四、五倍はありそうな種族なんだが、あたいはこの通り。旦那は大きすぎて、あたいは小さすぎて・・・居場所がない者同士の夫婦ってわけ」
ガーゴさんが大きすぎると言うのは分かるが、ジェスカさんが小さすぎると言うのが想像出来ない。
「それだけ、じゃない」
「ん?」
「ちゃんと、愛している」
「あんた・・・」
二人が手を取り合い、見つめ合う・・・これ、どぉしたら良いんだろうねぇ。
まぁ、夫婦仲良き事は美しきかな。
目の前には、どデカいもじゃもじゃの男性と、ちょっとムキッと筋肉が出る女性。
「コホン!あのぉ・・・お取込み中申し訳ないんですが、紹介してほしいのではないので」
「「え?」」
「お二人一緒に、どうかなぁと」
「い、いやいやいや!あたい達が!?そりゃあ旦那の腕は確かだが、その・・・さっきも言っただろう?」
「はい。ですが、何も問題はありません」
イヤーカフスの魔力を切り、元の姿に戻った。
「私も、こんな感じなので」
二人はぽか~んと口を開けて固まってしまった。
「うちにはエルフも獣人もいますし、まぁその・・・ちょっと変わった人達の集まりと言うか・・・。ああ、衣食住はこちらで用意出来ます。給料は、一か月金貨一枚。仕事があっても無くても、お支払いします」
「「金貨一枚!?」」
「あ、少なかったです?それなら」
エストと同じ額で言ってしまったが、少なかったか。
「ち、違う!違う!衣食住世話してもらって、さらに給料までもらえるなんて」
ガーゴさんが物凄い勢いで頷いた。
「いやぁ、まぁ・・・ちょっと辺鄙な場所にあるので。それはそれ、これはこれ・・・的な?でも、ジェスカさんが冒険者を続ける事は出来ますから!」
「他にも冒険者がいるって言ってたね」
「はい」
三分の二は、単細胞とドМだけど・・・。
「・・・・・すまない。少し考えさせてほしい」
「ジェス?」
そりゃそうだ。
突然現れて「うちに来ない?」とか言われても、困るわな。
「分かりました。では、三日後にまた来ます」
「ああ」
人型に変身し、二人に挨拶をして町へと戻った。
「あの二人を見たからか、余計に小さく見える・・・」
ふと、屋台で食事をしているドワーフが目に入った。
「ふむ・・・お酒か」
木製のコップで乾杯をするドワーフ達。
ここまでお酒の匂いがしてきそうだ。
ガーゴさんの顔が頭を過った。うん、飲みそう!
「今度来る時は、ドングリ持って来ようかな」
そのまま町を抜け、門の外へとやってきた。
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「うん?」
「繁殖期にはオスが派手な羽毛となり、求愛ダンスを踊ります」
「う、うん」
鳥の求愛ダンスって、可愛いのから面白いのまであって、結構好きだ。
「鳥類の多くは、繁殖期が終わり、雛が孵ると、解散します」
「へ?」
「オシドリは、雌が卵を産むと、雄が去っていきます」
「え」
「そして、即行で他のメスに行きます」
「オシドリ!」
全然違うじゃん!
「雌は雌で、雛にしか興味が無くなるので、雄はいなくても平気です。むしろ、邪魔」
「え、えぇぇ・・・」
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なんとも世知辛い。
「生きとし生ける者の本分が、子孫繁栄ですから」
「残しゃ良いってもんじゃないだろうに・・・」
「鳥と言うか、自然界はそれだけ厳しいと言う事です。例え番になったとしても、次の繁殖期にまた会えるとは限らないですからね」
「ああ、なるほど」
「因みに猫は」
「さぁ、お昼ご飯の支度しないとね!」
逃げるが勝ち!
勢いよく走りだした。
子供かぁ・・・ん?その場合、産まれるのは獣人?それとも、子猫?
いや、その前に相手か。
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