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8. 悪役令息の恋心
しおりを挟む「アルフレッド、こんな所に居たのかい?
ずっと探していたんだよ。」
少し小走りで、側に来たセドリック様。
急いで来たのか息も上がり、額も汗ばんでいて、何故かいつもより若干不満気な様子だ。
ルークと一緒に居た僕に嫉妬しているのだろうか?
王子とルークは、まだ親交を深めている様には見えないが、心惹かれて始めているのだろうか?
やっぱり、そうなる運命なんだな‥。
と、そんな事を考えていたせいで、返事をするのが遅れてしまった。
「セドリック様、申し訳ありません。本日は‥」
「今日は、朝から生徒会の会議があったから、一緒にランチはとれないのは分かってたんだ。だけど、アルに一目会いたくてね‥‥邪魔を、したかい?」
「いいえ、そんな事はありません。う、嬉しいです。」
頭を少し肩に傾けながら、いつものキラキラ王子スマイルで、僕の眼を見て話をしてくれるセドリック様。
僕はボサボサ前髪で、瞳を隠しているのに、まるで、愛おしい人を見つめる様に‥。
カッコよすぎだろ?
太陽の光を浴びて、碧い瞳は、スカイブルーの色をしていて、虹彩まではっきりと見える。
まるで、空のようで、吸い込まれそうだ。
汗ばんだシャツも、セドリック様の色気を醸し出していて‥。
色々とドキドキしちゃった僕は、赤面した顔を上げれなくて、俯いたまま返事を返してしまっていた。
「君は?」
「アルフレッド様と同じクラスのルークと申します。」
「ほう、君が‥。私のアルフレッドと仲良くしてくれてありがとう。」
「いえいえ、僕の方こそ、アルフレッド様にはいつも仲良くさせて頂いております。アルフレッド様は、僕にとても親切で優しいので。今日も2人きりでしたし、僕が作ったサンドイッチをそれはそれは美味しいと食して下さいまして‥」
「何⁈い、いや、アルは、皆に優しいからな。皆にだ。例え2人きりだと言えど、勘違いはせぬ様にな‥。」
「むっ、アル様は、僕を一番気遣ってくれています。特別に思ってくれているのです。」
「それは、友としてだ。私は、婚約者であるからな。もっと特例な存在だ。」
頭の上では、セドリック様とルークが、言葉をかわしていたが、ボーっとしていた僕は、何だかよく聞こえていなかった。
後で、今日の出会いは、きっと親交を深めるきっかけになってしまったのだとは思ったけれど、深く考えるのはやめた。
考えたくなかったからだ。
まさか2人が、お互いに牽制し合っていたとはつゆ知らず。
たまたまこの光景を見かけた、同じクラスのヘンリーが、静かながらバチバチの空気が流れていたのに気がついて、ビックリしていた何て事も知らず。
「ヘンリーただいま。」
教室に戻った僕は、隣の席でうなだれているヘンリーに声をかけた。
「お前、今日もなかなか(の鈍感ぶり)だったな。」
「ん?何の事?」
「いや、何でもない。(王子の執着は)知らない方がいい事もあるかもって事。」
今日も今日とて、僕にとってはいつもの学園生活が始まる。
セドリック様は、政略な意味での婚約者であるはずなのに、申し分のない誠実な対応をして下さる。
今日だって、こんな地味な僕に、にこやかに笑いかけてくれる。
優しい目をして、声をかけてくれる。
だから、いつも勘違いしそうになる。
これは、きっと義務感からだ。
僕が、セドリック様に本当の意味で愛されれる事はないんだ。
だって、近い未来、王子はルークと恋人になって、僕を断罪するって決まっているのだから。
そう言う運命だから。
そう言うストーリーだから。
だから、未来は変えられない。
そんな事を考えていたら、何故だか、胸が締めつけられる感覚がして、勝手に涙が頬を伝っていたんだ。
悲しくてなんて無いはずなのに、僕は、声もあげずに、泣いていたみたいだ。
セドリック様の笑顔を思い浮かべながら。
止めどなく流れる涙を、少し乱暴に拭った。
そして、自身に発破をかける意味で、両手で、軽く頬を打った。
「しっかりしろ僕!」
「分かってたはずだ!セドリック様はルークと結ばれる運命だ。僕はどうあがいても、一緒にはなれない。だから、だから‥好きになっちゃいけない。いけないだ‥‥。」
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