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15 イービス
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体も魂も粉々になる様な凄まじい痛み――
それに耐えながら
イービスの心は
逃亡の旅の最初に遡る。
11才のある寒い日。
ディーワ・クアエダム妖精国王宮。
神妙な顔の両親。
『あなたは狙われている。
逃げなければならない』
『納得できる説明を』
『狙っているのは若き皇帝。
武力を誇る帝国は更なる『力』を求めている。
妖精王様の血を引く我がディーワ・クアエダム妖精国王家。
その中で稀に生まれる魔力持ち。
そう、あなた。
そう、皇帝は魔力を持つ子孫を求めている。
あなたに自分の子を産ませる為ならば何でもするだろう』
『何でも?』
『あなたを秘密裡に攫う計画がもう進行中だという』
『私はまだ11才で』
『皇帝には関係ない。
攫っておいて頃合いを見て孕ませる気かもしれないし、
或いはすぐにでも…』
くらり目眩。
暴君と噂の世界一の権力者に
出産道具視されている
一刻を争うとのこと
頭の中は未整理のまま
木枯らしの中
乳母夫婦と乳兄弟のウルスス
たった3人だけを供に国外へ。
雪の深夜。
国境付近の宿。
部屋にウルススがこっそり訪ねて来て。
泣きながら告げた。
『両親の内緒話を聞きました。
両親は帝国の手先でした。
俺が姫を守ります!
2人で逃げましょう』
イービスは1人で消えた。
ウルススが疑われない様に置手紙を残して。
『国境を越えたら皆を欺き1人で逃げる様両親に言われている。
これまでの忠義感謝している。
気を付けて行け』
乳母夫婦は
『正体がバレていた!
どうあってもイービス様を捜し出し皇帝陛下のもとへ連れて行かねば』
と血眼になってイービスを捜したが。
彼らの知るイービス…
鴇色の髪と瞳の11才の絶世の美少女は
茶髪茶目、少しポッチャリ気味で平凡な容姿の18才になっており。
変身魔法で別人『イブ』になった彼女の前を
乳母夫婦は気付く事なく通り過ぎて行った。
両親と一緒にイービスを捜しているテイのウルススが一瞬振り返ったが
気付いたのか
気付かなかったのか
そのまま両親と共に走り去っていった。
大好きで。
味方だと思っていた乳母夫婦と。
最後まで味方でいてくれた乳兄弟ウルスス。
大切な人達と別れ――
……あ…
…苦痛が晴れていく…
「‥ハッ!」
と気付くイービス。
雪の深夜。
国境付近の宿。
ああ、
11才、逃亡中。
5年前に時が戻っている!
『2人で逃げよう』と言うウルススを『1晩考えさせて』と言って部屋に戻した。
仲の良い親子を別れさせたくない。
1人で逃げる。
ウルススが疑われない様に置手紙を書き上げたところだ。
これから変身魔法で変身して宿を出る。
指先に炎を出してみる。
うん、詠唱封印は解けている。
早くイブに変身しよう。
変身魔法は大きな魔法だから集中する。
―――あれ?
えッ?
ウソ何で!?
どどどどうしよう!?
それに耐えながら
イービスの心は
逃亡の旅の最初に遡る。
11才のある寒い日。
ディーワ・クアエダム妖精国王宮。
神妙な顔の両親。
『あなたは狙われている。
逃げなければならない』
『納得できる説明を』
『狙っているのは若き皇帝。
武力を誇る帝国は更なる『力』を求めている。
妖精王様の血を引く我がディーワ・クアエダム妖精国王家。
その中で稀に生まれる魔力持ち。
そう、あなた。
そう、皇帝は魔力を持つ子孫を求めている。
あなたに自分の子を産ませる為ならば何でもするだろう』
『何でも?』
『あなたを秘密裡に攫う計画がもう進行中だという』
『私はまだ11才で』
『皇帝には関係ない。
攫っておいて頃合いを見て孕ませる気かもしれないし、
或いはすぐにでも…』
くらり目眩。
暴君と噂の世界一の権力者に
出産道具視されている
一刻を争うとのこと
頭の中は未整理のまま
木枯らしの中
乳母夫婦と乳兄弟のウルスス
たった3人だけを供に国外へ。
雪の深夜。
国境付近の宿。
部屋にウルススがこっそり訪ねて来て。
泣きながら告げた。
『両親の内緒話を聞きました。
両親は帝国の手先でした。
俺が姫を守ります!
2人で逃げましょう』
イービスは1人で消えた。
ウルススが疑われない様に置手紙を残して。
『国境を越えたら皆を欺き1人で逃げる様両親に言われている。
これまでの忠義感謝している。
気を付けて行け』
乳母夫婦は
『正体がバレていた!
どうあってもイービス様を捜し出し皇帝陛下のもとへ連れて行かねば』
と血眼になってイービスを捜したが。
彼らの知るイービス…
鴇色の髪と瞳の11才の絶世の美少女は
茶髪茶目、少しポッチャリ気味で平凡な容姿の18才になっており。
変身魔法で別人『イブ』になった彼女の前を
乳母夫婦は気付く事なく通り過ぎて行った。
両親と一緒にイービスを捜しているテイのウルススが一瞬振り返ったが
気付いたのか
気付かなかったのか
そのまま両親と共に走り去っていった。
大好きで。
味方だと思っていた乳母夫婦と。
最後まで味方でいてくれた乳兄弟ウルスス。
大切な人達と別れ――
……あ…
…苦痛が晴れていく…
「‥ハッ!」
と気付くイービス。
雪の深夜。
国境付近の宿。
ああ、
11才、逃亡中。
5年前に時が戻っている!
『2人で逃げよう』と言うウルススを『1晩考えさせて』と言って部屋に戻した。
仲の良い親子を別れさせたくない。
1人で逃げる。
ウルススが疑われない様に置手紙を書き上げたところだ。
これから変身魔法で変身して宿を出る。
指先に炎を出してみる。
うん、詠唱封印は解けている。
早くイブに変身しよう。
変身魔法は大きな魔法だから集中する。
―――あれ?
えッ?
ウソ何で!?
どどどどうしよう!?
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