大迷惑です!勝手に巻き戻さないで!?

ハートリオ

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16 南南東へ

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「‥ハッ!」

と気付くシラー。
11才、逃亡中。
5年前に時が戻っている!
そしてこの場所は――
草原の中の十字路。

最初も
その次に時戻りした時も
この十字路を北北西に進路を取ってイマーゴー王国に入った。

「殿下!
北北西に進みましょう!
イマーゴー王国は国境の審査も簡易的なものですし~~…」

前回、前々回と同様に従者の1人が叫ぶ。
まさか。
進路は決まっている。
約束したのだ。
我が唯一に。

「南南東へ進む。
イマーゴー王国は実はレムレース帝国の属国。
入国が容易なのは様々な立場の者を逃げ込ませる為の罠だ。
レムレース帝国は逃げ込んで来た帝国に不都合な存在を思うがままに捕らえ好きに出来る」
「ッ!――いいえ!
何としてもイマーゴー王国に入ってもらいます!」

従者は剣を抜く。

「‥ボース貴様ッ!?
主であるシラー殿下に剣を向けるとはッ!」

タウルスが叫ぶ。

「タウルス、この男は帝国の犬だ。
皇帝の命令で何年も前にスピーリトゥス精霊国入りし
時間を掛けて騎士として父上の信用を得て
皇帝の思惑を仄めかし私の単身国外逃亡を父上に進言し
今回まんまと私の従者に収まった。
私を監視しプテロプース伯爵家へ誘導する為にな」
「‥バレてるならッ」

ボースは前回の茶髪茶目のオジサン体型のシラーには懸想していたが。
今回の、本来のシラー…
青藤色の瞳に淡藤色の髪
涼やかな色をした美貌の少年シラーには全く興味がない。
なので冷酷に躊躇無く
ラミアの許へ届ける為シラーの手足を切り落とそうと剣を振り上げる。

シラーを守る為抜刀してボースに向かうタウルス。
魔法を発動しようとボースに手のひらを向けるシラー。

だがその二人よりも早く
樹木の見当たらない草原でソレは起きた。

ボースの立つ地面から鉄格子の様な細く固い枝達が突き出て来て下から刺し貫く。

「ッ、ッ、‥」

何本もの固い枝に全身を貫かれる形で拘束され
小刻みに呼吸するボース。
事態が把握出来ない‥
いや、コレを知っている気がする!?
シラーが告げる。

「妖精王様の怒りはまだ鎮まらぬ様だな。
5年後の未来から罰がお前を追いかけて来た。
覚悟するがいい。
妖精王様の愛するイブを害した罪、簡単には許されぬ」

絶望に落ちるボース。
その周りを木々が覆い隠していく。
草原の一部が森となった。
小さな森の真ん中で
人目に触れる事無く
死ぬことも許されず
苦痛に苛まれながら
ひたすら許しを願う
そんな地獄に落ちたのだ――

森を後にし
シラーが厳かに宣言する。

「逃亡の旅は終わりだ。
スピーリトゥスへ帰る。
だがその前に。
南南東へ向かう。
約束したのだ。
大切な女性と」

タウルスは先ほどシラーが口にした名…
――『イブ』――
その名を耳にした時
何故か涙が溢れるも
気付かれぬ様に拭い…

「では私はこれより」

シラーに跪き

「殿下と殿下の大切な御方…
お二人をこの命を懸けてお守り致します」

頭を垂れる。

シラーは頷き

「お前の忠誠心は本物だと分かっている。
…だがイブ…
イービス姫の事は私が守る。
お前はなるべく接触するな」

そう言って歩き出す。
タウルスは普段冷静で無表情、
感情を全く見せないまだ11才の主でも
大切な女性には独占欲をお持ちなのだなとクスリと微笑う。


1日進んだ道の先に…

「‥ハッ‥殿下!
あそこに誰かが…
えぇと…」

タウルスが口ごもる。
誰かがガックリした様子で膝を抱え体育座りしているのだ。

何か思ってたのと違う…
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