大迷惑です!勝手に巻き戻さないで!?

ハートリオ

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17 仕方なし!

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シラーとタウルスに気付き立ち上がったのは

「「‥ッ‥」」

緩やかに波打つ鴇色の髪
キラキラと輝きを放つやはり鴇色の瞳
髪も瞳も濃淡が移ろう度に夢のような光を放ち…

((尊い…
いつまでも見つめていたい…))

年の頃はシラーと同じ11才ぐらい
だがその立ち姿には揺るぎない気品が溢れて――

スッと見事なカーテシーをするその人にシラーは口を開く。

「美しい…
まるで妖精姫が舞い降りた様だ…
それが君の本当の姿?
イブ…いや、
イービス・ディーワ・クアエダム妖精国第一王女殿下」

イービスは眉尻を下げている。
――困り顔である。

「はい。あの。うぅ…
実は悪いお知らせがあります」

そう言って俯くイービス。

「‥何故でしょう‥
何故かとても懐かしい気がします‥」

そう呟くタウルスに

「ああ、うん…」

やはりシラーも懐かしさに心が温まる。
メイドとしてはイマイチだったイブ。
何かドジってはよくそんな表情で謝って来たっけ…

「悪い知らせとは?」

優しく問うシラー。

「はいあの!
どういうカウント方式か分からないのですが
…もう変身魔法が使えなくなっています!」

言い辛い事を言ってしまった後は怒涛の言い訳じみた説明が続く。

「最初の回で使って…
次の回では多分最初の回で変身した後に巻き戻ったと思われて…
なので『イブ』の姿でした。
今回、私は最初の回で変身した時点より前に巻き戻したので本来の姿…年令に戻っていました。
なのでシラー様が知る『イブ』…
茶髪茶目の7才年上のメイドのイブに変身しようとしたらもう出来なかったのです!」
「‥え!
君はその…
その神々しいまでの美しさをまた捨てようとしたのかい!?」

シラーが思わず叫ぶ。
変身魔法で変身した後はもう元に戻せない。
つまり変身前の姿を完全に捨てる事になるのだ。

「はい勿論」

不思議そうに返されてシラーは思わず手で口を覆う。
容姿に重きを置かないシラーだが。

「私は女性の価値観を侮っていた様だ…」

瞑目して呟くシラー。
タウルスが首を振る。

「いえ。
イービス殿下の価値観が斜め上なのだと思います」

そう言いながら苦笑するタウルス。
この嬉しい、同時に痛みを伴った懐かしさは何だろう…

2人の様子には全く気付かないイービスは早口で続ける。

「『一生に一度しか使えない魔法』の一つ、変身魔法ですがもう『使用済み』になってしまっている様で…
つまりシラー殿下ももう変身魔法を使えないと思われます。
ごめんなさい…
イマーゴー王国に入る前の時点に巻き戻さなきゃと…
ちょっと多めに巻き戻してしまった様で…
こんな事になるとは思っていなかったのです…」

そこまで説明してシュンと項垂れるイービス。
シラーは優しく問う。

「――うん、
もしかしてイ―ビス姫は茶髪茶目のポッチャリな私の方が良かった?」
「いえ、私は…
中身がシラー殿下なら外見はどうでも…」
「それを聞いて安心したよ。
では何故変身しようと?
私達は逃亡者故に変身する必要があった。
だけど今回は逃亡などしない。
そうだろう?」
「はい。
南南東に向かうのですもの」

南南東の方角にはレムレース帝国がある。
『南南東に向かう』という事は
『逃げずに戦う』という事である。

「だったらもう変身する必要は無いのでは?」

珍しい不思議顔で問うシラー。
イービスはパッと頬を染めて

「でも…だって…
シラー殿下が好きになってくれたのは茶髪茶目で7才年上のイブだったから…」

そこまで言って俯く。

「‥ッッッ!」

仕方のない事である。
シラーが蕩けてしまったのは…
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