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08 優しくするべき相手
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な‥誰だ!?
あの妖精界から舞い降りたかのような花と光の妖精姫は――
テナークスは目を見開き明らかに自分に向かって歩いて来る超美少女を見つめる。
3才からの婚約者ピウス姫が美しいことは勿論3才の頃から知っている。
そして3ヶ月毎のお茶会でその鮮やかな成長を見て来た――
(少女から大人の女性へと成長していく姿はまるで魔法の様で…名残惜しくお茶会を終えれば心はもう3ヶ月後を夢見ていた…)
だが15才で留学して来た時は王女らしく無表情の面を外さない少女になっていた。
キラキラと私を見つめてくれたオーキッドピンク(落ち着いたピンク)の瞳は常に伏せられるように――私と目を合わせない様になってしまった。
白い陶器の様な肌はつややかだがその頬が朱に染まることは無く、まるで美しいが血の通わない人形の様だった…
ところがどうだ?
今、光を放ちながら私に頬を染める彼女――!
真っ直ぐに私を見つめるオーキッドピンクの瞳はかつての様に――いやそれ以上に美しく華やかに煌めいている――!
その初々しく愛らしく可憐で華やかな様子に心奪われない者がいようか――
美しく完璧な面立ちは無表情でいれば冷たくも見える。
だが一たび表情を得ればそんなにも光り輝くのだ‥はッ
彼女の表情がみるみるうちに陰っていく!?
一体なに‥
「テナ様ぁ~~、あなたの大切な宝物を忘れてますわぁ」
「――は?」
誰‥ああ、クピドゥスか‥そうか‥一緒に登校してたんだっけ‥忘れていた‥
「手を貸してくれなくっちゃ、私、降りれませんわぁ」
何だよ…そんな事御者に頼めば…あ。
御者が痛そうに手のひらをさすっている。
気を利かせてクピドゥスに手を貸そうとして扇子で叩き落とされた様だ…
仕方なしにクピドゥスに手を差し出せばクピドゥスは勝ち誇った顔でピウス姫を見て(余計な事をするな)爪を立てる様にして私の手を握り馬車から降りる。
「‥ッ痛!?」
王太子に何て事をと睨みつければクピドゥスのドぎついドピンクの口紅を塗りたくった分厚く大きな唇が弧を描き。
「だって…テナ様お好きでしょ?爪を立てられるの…」
耳元で吐息を吹きかけられながらそんな事を言われれば。
昨夜の…そしてさっきまで馬車の中で激しく絡み合った睦事が瞬時に思い出され。
(…そうだ、クピドゥスは優しい女だ…君に冷たくされて傷ついた私を慰めてくれたのはクピドゥスだ…クピドゥスの大らかに開かれた体なのだ…)
優しくするべき相手を思い出し。
クピドゥスの肩を抱いて目の前で立ち止まっているピウス姫を無視して校舎に向かう。
「‥あ、あのッ!
お待ちくださいませ、テナークス殿下!」
「テナ様早く行きましょうよぉ、何だか寒いわぁ」
――何なんだ…女ってのはどいつもこいつも…私は1人しかいないのだぞ?…チッ
心の中で舌打ちし『さっさと用事を言え』とばかりに視線だけピウス姫に向ける。
――ん?
さっきは顔ばかり見てたから気付かなかったが何か持っている?
何だ?バスケット?
『それは何だ?ん?』と視線で優しく問えば――
あの妖精界から舞い降りたかのような花と光の妖精姫は――
テナークスは目を見開き明らかに自分に向かって歩いて来る超美少女を見つめる。
3才からの婚約者ピウス姫が美しいことは勿論3才の頃から知っている。
そして3ヶ月毎のお茶会でその鮮やかな成長を見て来た――
(少女から大人の女性へと成長していく姿はまるで魔法の様で…名残惜しくお茶会を終えれば心はもう3ヶ月後を夢見ていた…)
だが15才で留学して来た時は王女らしく無表情の面を外さない少女になっていた。
キラキラと私を見つめてくれたオーキッドピンク(落ち着いたピンク)の瞳は常に伏せられるように――私と目を合わせない様になってしまった。
白い陶器の様な肌はつややかだがその頬が朱に染まることは無く、まるで美しいが血の通わない人形の様だった…
ところがどうだ?
今、光を放ちながら私に頬を染める彼女――!
真っ直ぐに私を見つめるオーキッドピンクの瞳はかつての様に――いやそれ以上に美しく華やかに煌めいている――!
その初々しく愛らしく可憐で華やかな様子に心奪われない者がいようか――
美しく完璧な面立ちは無表情でいれば冷たくも見える。
だが一たび表情を得ればそんなにも光り輝くのだ‥はッ
彼女の表情がみるみるうちに陰っていく!?
一体なに‥
「テナ様ぁ~~、あなたの大切な宝物を忘れてますわぁ」
「――は?」
誰‥ああ、クピドゥスか‥そうか‥一緒に登校してたんだっけ‥忘れていた‥
「手を貸してくれなくっちゃ、私、降りれませんわぁ」
何だよ…そんな事御者に頼めば…あ。
御者が痛そうに手のひらをさすっている。
気を利かせてクピドゥスに手を貸そうとして扇子で叩き落とされた様だ…
仕方なしにクピドゥスに手を差し出せばクピドゥスは勝ち誇った顔でピウス姫を見て(余計な事をするな)爪を立てる様にして私の手を握り馬車から降りる。
「‥ッ痛!?」
王太子に何て事をと睨みつければクピドゥスのドぎついドピンクの口紅を塗りたくった分厚く大きな唇が弧を描き。
「だって…テナ様お好きでしょ?爪を立てられるの…」
耳元で吐息を吹きかけられながらそんな事を言われれば。
昨夜の…そしてさっきまで馬車の中で激しく絡み合った睦事が瞬時に思い出され。
(…そうだ、クピドゥスは優しい女だ…君に冷たくされて傷ついた私を慰めてくれたのはクピドゥスだ…クピドゥスの大らかに開かれた体なのだ…)
優しくするべき相手を思い出し。
クピドゥスの肩を抱いて目の前で立ち止まっているピウス姫を無視して校舎に向かう。
「‥あ、あのッ!
お待ちくださいませ、テナークス殿下!」
「テナ様早く行きましょうよぉ、何だか寒いわぁ」
――何なんだ…女ってのはどいつもこいつも…私は1人しかいないのだぞ?…チッ
心の中で舌打ちし『さっさと用事を言え』とばかりに視線だけピウス姫に向ける。
――ん?
さっきは顔ばかり見てたから気付かなかったが何か持っている?
何だ?バスケット?
『それは何だ?ん?』と視線で優しく問えば――
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