あと6日で王太子を振り向かせたい王女は護衛にドキドキしている場合ではない!

ハートリオ

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27 言うべき事を言うチャンス

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「…どういうことかしら?
テナークス殿下はいらっしゃらないの?」

失望の色を隠せないピウス。

クピドゥスはニヤニヤ意地悪く笑いながら。

「いないわよぉ。大切なお仕事があるんですってぇ。‥ふふ、何だと思う?」
「テナークス殿下がいらっしゃらないなら行くわ」

踵を返すピウスにクピドゥスは内心焦る。

思っていた反応と違うッ

オドオドして泣き出すだろうと思ってたのに!?

ダンス室を出ようとしていたピウスはハッと気付いて足を止め、焦り顔のクピドゥスを振り返る。

そうだわ、これはこれでいい機会…言うべき事を言っておかなきゃ――

「コホン、あなたは分かっていない様だけど…私はテナークス殿下の正式な婚約者…つまりあなたは妃にはなれないということよ?」
「はぁ?分かってないのはソッチでしょぉ?愛されてるのは私なのよぉ?」
「あなたは愛妾になる積もりなの?」
「愛妾?――ああ、愛人の事よね?肩書なんて何だっていいわぁ。実際愛され‥」
「愛妾は使い捨てよ。すぐに若い令嬢に取って代わられる。子供を産んだって関係無く捨てられるし、その子供の立場も弱いのよ」
「はぁぁ?なに負け惜しみ‥‥ハッ!」

クピドゥスは思い出す。
母の最期の言葉を。

『アタシはアンタに負けたんじゃない!若さに負けたんだッ‥』

ゾクリとして更に思い出す。

――そう言えば昨日パパんとこの若い衆がわざわざ言いに来たっけ。

『お嬢、ボスから言って来いって言われたんで言っときますけどね、王太子の愛人になるっつってましたよね?やめた方がいいっす!何か噂で聞いたんすけど、愛人なんて損らしいっすよ!若いうちだけチヤホヤされて、ちょっとトウが立ってきたら直ぐにポイらしいっす!』

あん時は『アタシをそんじょ其処らの女と一緒にすんじゃないよ!アタシは特別なんだ、捨てられたりするもんかよ!』って相手にしなかったけど…
け…ど…

「ちゃんと身の振り方を考えるべきですわ」
「‥ハッ!‥な、何よ!?だから別れろって言いたいの!?冗談じゃないわよ!アタシはね、アンタなんかよりずっと愛されてんの!その証拠にアタシの中には‥ハッ‥あ‥あ‥アンタ、人の事言ってる場合じゃないのよ!アンタ、今めっちゃピンチなんだから!」

(…まぁ、ピンチだけど…)
と思いながら僅かに首を傾げるピウス。

「可愛い仕草をしてる場合じゃないんだから!
あ、あんたの護衛の事よ!」

ピクリとピウスの眉が動く。

「…私の護衛が何か?」
「何だって、あれよ!ホラあれ‥『王太子に対する不敬罪』だって言って断罪するって言ってたわ!」
「…何ですって!?断罪って…」
「コレよ!」

クピドゥスは手を床と水平にして自分の首に当てる。

斬首の意味だ。

ピウスは目を見開く。

「‥ッ‥今‥校庭で!?」
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