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推測
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結果として、ユリア様は王妃として立派に成長なされた。
次代を担う子を産み、立派に育て上げた。
王妃としてクラウス陛下を支え、民の平穏を保ってきた。
それは魔王を倒した儂なんかより、よっぽど賞賛されるべきこと。
「……そう考えると、儂はまだ半人前かもしれんな」
「シグルド殿? どうしたのですか?」
「おっと、すまぬ。少し考え事をしていてな」
儂の顔を覗き込むアリア殿と、当時のユリア様が重なって見える。
そっくりというわけではないが、同じような雰囲気といったところか。
「トロールのことですか、流石ですね」
「う、うむ……」
そうじゃった、今はこっちに集中せんと。
村に到着して、まずは村長から話を聞いたんじゃった。
トロールの目撃情報があり、その後の対策を考えていたのだ。
「それで、どうしましょう?」
「アリア殿の方がランクは上なのだが……」
「す、すみません……そうですね、しっかりしないと」
「いや、別に頼ることは悪いことではない。ただ、これはアリア殿が受けた依頼ということだけじゃよ」
どうにも、彼女は人に頼る経験が少ない感じだ。
距離感が掴めてないというか……こういう部分もユリア様に似ているのかもしれんな。
「ありがとうございます……それはそうですね。では、まずは話を整理します。何か変なところがあったら仰ってください」
「うむ、わかった」
「まずは目撃情報です。村の近くにある森にて、魔獣の死体などが見つかったことが始まりですね。それから数日後、トロールを見た者がいたとか」
「その時点で割とおかしい気がするのう」
村人は戦いの専門ではないから、依頼書には記載しなかったのだろうが……そもそもトロールは、妖魔とあると同時に食人鬼とも呼ばれる人類の敵である。
奴等は視覚が鈍い分嗅覚にも優れているので、村人が発見された時点で襲われているはず。
それに大食漢でもあるので、魔獣の死体を放置しているのもおかしい。
「そうなのですか?」
「なに? ……そうか、妖魔はよく知らんのじゃな? そうなると、儂が主導的役割を担う方が良いか」
「不勉強ですみません……何となくは知っているのですが」
「いや、無理もない。儂はたまたま知っているに過ぎん。では、軽く説明をしよう」
そうして妖魔の性質、特にトロールについて説明する。
妖魔は基本的に人類に見境なく襲い掛かり、逃げ出すことなどない。
ここから推測されるのは……ボスがいる可能性だという事を。
「そのボスというのは?」
「いわゆる上位種じゃな。妖魔の中には、特殊個体が存在する。そいつらは知性があり、魔獣や人類を食らう事で進化するらしい」
「なるほど……では、今回も?」
「可能性の一つとしてあるかもしれん」
「なるほど……どちらにしろ、現地に向かって調査ですか?」
「うむ、そうなるのう。もう日が暮れているので、明朝に森に入るとしよう」
「わかりました。それにしても……人気者ですね」
アリア殿の視線を追うと、そこには子供達に囲まれているオルトスの姿が。
最初は警戒していたのだが、儂のいう事を完全に聞くので安心したらしい。
エルやアルトのおかげで、子供の扱いにも慣れているしのう。
「わぁー! ふわふわ!」
「ウォン!(我はフェンリルなので当然である!)」
「おっきなわんちゃん!」
「ウォン!(わんちゃんではない!)」
「吠えたっ! かっこいい!」
「ウォン!(うむ!)」
……全然、話は噛み合ってないが。
まあ、村の警戒心を解いてくれたのは助かるわい。
冒険者は荒くれ者も多く、村人が警戒することが多いとか。
「ふふ、あんなに人馴れしたシルバーウルフは初めて見ました」
「おや、シルバーウルフを知っているのかな?」
「え、ええ……実家の近くで見たことがあるのです」
「ふむ、そうか」
北の大地位階でシルバーウルフがいるところ……思い当たる節がある。
ここから更に西に行った先に、生息していると聞いたことがあったはず。
なるほど、このお嬢さんの正体が少しずつ見えてきたわい。
次代を担う子を産み、立派に育て上げた。
王妃としてクラウス陛下を支え、民の平穏を保ってきた。
それは魔王を倒した儂なんかより、よっぽど賞賛されるべきこと。
「……そう考えると、儂はまだ半人前かもしれんな」
「シグルド殿? どうしたのですか?」
「おっと、すまぬ。少し考え事をしていてな」
儂の顔を覗き込むアリア殿と、当時のユリア様が重なって見える。
そっくりというわけではないが、同じような雰囲気といったところか。
「トロールのことですか、流石ですね」
「う、うむ……」
そうじゃった、今はこっちに集中せんと。
村に到着して、まずは村長から話を聞いたんじゃった。
トロールの目撃情報があり、その後の対策を考えていたのだ。
「それで、どうしましょう?」
「アリア殿の方がランクは上なのだが……」
「す、すみません……そうですね、しっかりしないと」
「いや、別に頼ることは悪いことではない。ただ、これはアリア殿が受けた依頼ということだけじゃよ」
どうにも、彼女は人に頼る経験が少ない感じだ。
距離感が掴めてないというか……こういう部分もユリア様に似ているのかもしれんな。
「ありがとうございます……それはそうですね。では、まずは話を整理します。何か変なところがあったら仰ってください」
「うむ、わかった」
「まずは目撃情報です。村の近くにある森にて、魔獣の死体などが見つかったことが始まりですね。それから数日後、トロールを見た者がいたとか」
「その時点で割とおかしい気がするのう」
村人は戦いの専門ではないから、依頼書には記載しなかったのだろうが……そもそもトロールは、妖魔とあると同時に食人鬼とも呼ばれる人類の敵である。
奴等は視覚が鈍い分嗅覚にも優れているので、村人が発見された時点で襲われているはず。
それに大食漢でもあるので、魔獣の死体を放置しているのもおかしい。
「そうなのですか?」
「なに? ……そうか、妖魔はよく知らんのじゃな? そうなると、儂が主導的役割を担う方が良いか」
「不勉強ですみません……何となくは知っているのですが」
「いや、無理もない。儂はたまたま知っているに過ぎん。では、軽く説明をしよう」
そうして妖魔の性質、特にトロールについて説明する。
妖魔は基本的に人類に見境なく襲い掛かり、逃げ出すことなどない。
ここから推測されるのは……ボスがいる可能性だという事を。
「そのボスというのは?」
「いわゆる上位種じゃな。妖魔の中には、特殊個体が存在する。そいつらは知性があり、魔獣や人類を食らう事で進化するらしい」
「なるほど……では、今回も?」
「可能性の一つとしてあるかもしれん」
「なるほど……どちらにしろ、現地に向かって調査ですか?」
「うむ、そうなるのう。もう日が暮れているので、明朝に森に入るとしよう」
「わかりました。それにしても……人気者ですね」
アリア殿の視線を追うと、そこには子供達に囲まれているオルトスの姿が。
最初は警戒していたのだが、儂のいう事を完全に聞くので安心したらしい。
エルやアルトのおかげで、子供の扱いにも慣れているしのう。
「わぁー! ふわふわ!」
「ウォン!(我はフェンリルなので当然である!)」
「おっきなわんちゃん!」
「ウォン!(わんちゃんではない!)」
「吠えたっ! かっこいい!」
「ウォン!(うむ!)」
……全然、話は噛み合ってないが。
まあ、村の警戒心を解いてくれたのは助かるわい。
冒険者は荒くれ者も多く、村人が警戒することが多いとか。
「ふふ、あんなに人馴れしたシルバーウルフは初めて見ました」
「おや、シルバーウルフを知っているのかな?」
「え、ええ……実家の近くで見たことがあるのです」
「ふむ、そうか」
北の大地位階でシルバーウルフがいるところ……思い当たる節がある。
ここから更に西に行った先に、生息していると聞いたことがあったはず。
なるほど、このお嬢さんの正体が少しずつ見えてきたわい。
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