ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり

文字の大きさ
9 / 25

9 変えた運命

しおりを挟む
父様から話があると応接室に呼び出され、やっと普通の方の釣書が届いたのかとワクワクした。


「ボリシュ侯爵から連絡があって、ウィルソン君は、騎士学校に転入することになるそうだ。今週中には、王立学園で本人が、手続きをして転校する。突然すぎて私も驚いた。明日明後日の話だけど、彼に会いたくなければ、休んでも構わない」

と言われた。
騎士学校に行くなんて。だから学園には、来ないで準備をしていたのかな。

「ウィルソン様とは、確かに会いたくはないけど、もう関係ない人だし、私に会いに来るとは思えないわ。だって私達は円満な婚約解消ですもの」

と言えば、父様は複雑な顔をした。

「今まで謹慎していた理由は、ウィルソン君の口からの嘘や甘い言動が原因もあるが、彼の恨み節が酷かったらしいんだ。ボリシュ侯爵も自業自得だと叱っていた事さえ、逆ギレを起こし、怒りを爆発させて、リディに危害を加えるのではないかと思えたらしい」

本当に?うわぁ、怖い。全然円満解消じゃないー。想定外。

「ウィルソン様が逆ギレ?何故?彼がこんなこと二度としないとか言っておきながら、ルーナさんとデートしていたからですよね。ほんの数日前の手紙に嘘ありを指摘しただけですよね」

「リディが、ウィルソン君を追い込む為に、わざと二人の後をつけたとか、意地悪だとか、あんなに好意を押し付けてきたのに、一度の失敗を許せないなんて、心の狭い女だと言っているらしい。とても人前に出せる状態ではないと、侯爵は判断した。特に夫人が心を病んでしまっているらしく、侯爵は、ウィルソン君を屋敷に置いておくことも、危険だと思ったそうだよ。そして自分に甘いその考えを、剣で鍛え心技体を身につけて欲しいという親心だそうだ。ボリシュ侯爵もかなり参っている様子だった」

なんて面倒くさい男。

「侯爵様は、お気の毒というか申し訳ないかなという思いはありますよ。でもウィルソン様とは、街であったのは偶然ですし、私のことは陰で好きなように言って構いません、意地悪で心の狭い女でいいです。腹を立てても仕方ないので無視します。しかし、彼は、お互いの経歴に傷がつかないように、婚約解消したという意味をわかっているのでしょうか?それも、彼から提案してきたというのに…本当に彼は、自分勝手で逃げるというか、日が経つほど、最低最悪になっているのではありませんか?何故ボリシュ侯爵は、そんな精神状態のウィルソン様を学園に行かせて、転校を発表させるのですか?しれっと辞めさせ、騎士学校に入れてしまえばいいです」

と言えば、

「何度もお見舞いに通ってくるそうだよ、例の男爵令嬢…クラスメイトを伴ってらしいが。一応、私には門前払いにしているとは言っていたが、実際は見てないし、知らない。侯爵は二人が本気なら、騎士や文官として、自分自身で身を立ててから、認めるつもりだと言っていた。私にも許してくれと言われたから、頷いたし、そうなる未来に我が家は関係ないからね」

「それは真っ当な判断ですね。私は気にしてませんから、どうぞご自由にしていいです。お似合いだと思います」

「自分の手で、王立学園の最後手続きをやることで、区切りになって新しい道に進んで欲しいという、ボリシュ侯爵の親心なのかな。こちらとしても、彼の精神状態の不安定さは、リディのせいにしているから、早く切り替えて欲しいよ、本当に」

うーん。
いちいち我が家に、ウィルソン様の報告されても、確かにもうお腹いっぱいだわ。
なんか色々変な話だけど、最後別れの挨拶をクラスメイトというルーナさんとしたいだけなのか?
まさか二人で私の教室に突撃なんかしないよね?
文句言われたら、キレるよ。婚約解消を提案したのだって、浮気を継続して私に謝罪の手紙をかいていたのも、ウィルソン様本人。今回の落とし所だって両家の親が頑張ってけれたというのに、彼は、めちゃくちゃ面倒くさい~

「父様、一応言っておくなら、男爵令嬢ルーナさん、もう新しい恋人いるみたいですよ。何人も学園内に。腕絡ませて歩いてましたし、男子生徒に囲まれてました。ボリシュ侯爵も、きちんとルーナさんを調べた方が、いいのではないでしょうかね」

と言えば、

「面倒な、本当に厄介な人間を家に入れるところだった」

と父様も溜息を再び吐きながら漏らした。
ほら、私気づいて偉いでしょう!と言いたくなったが我慢した。
再び、父様に溜息を吐かれたが、もう何も言われなかった。

次の日、休もうかと考えたが、言われたら言い返せるし、私が逃げるような負けた気持ちになるのは、嫌だったから学園に登校した。馬車留で待ち伏せされたり、偶然だとしても会いたくはないので、早く学園についてしまう作戦だ。

「万が一、我が家に迎えに来るなんてことは」

ないとは思うが、私が彼の運命を変えたというのは、本能的に気づいているのではないかと思った。だって、婚約者の時は、私の事なんて右から左に流していた。婚約解消となった後からの執着というか、私が悪いという感覚が怖かった。ルーナさんと新しく進めばいいに。
精神的に、執着されてると思うと凄い怖いね。
私、これ、やっていたんだよね。凄い怖い女ですわ、私。

馬車の中、ゆっくり呼吸をして、気持ちを落ちつかせた。

初めて誰もいない教室に入る。
やる事がない。座っていてもつまらない。
ならどうする?ウィルソン様とルーナさんの再会を見に行くしかないでしょう。
ストーカーとしての性分か見たいという感情が押さえられない。隠れて見ていれば、会わなくて済む。二人のクラスは、バレてしまうから無理だし、ルーナさんは門前によく立っているとクロエ達も話していた。

まだまだ人の気配もない。
どこで観察するか、ポイントを探す為に校舎入り口をウロウロする。

「おい、新入生何をしている?」

この声は…
思わず、両手を上げてしまった。相変わらず、怖い。明らかに声が怒っているんだもの。

「お前か、最近、無断で机やロッカーに手紙を入れたりする人間は!」

えっ、ストーカー!?

「違います!そんな行動してません」

「では何故さっきからウロウロしては、隠れられそうな場所を探している?」

どのくらい見られていたのだろうか?気配を感じなかったのだけど。
後ろを振り返ると、引き込まれるような綺麗な青い目がこちらをじっと見ていた。
何度目だろう?この瞳を見たのは。
一瞬、見惚れしまった。
今、そんなことしている暇も時間もないのに!馬鹿だ、私は。

「…おはようございます、生徒会の方。私は都合がありまして、隠れなければいけません。話なら後日させてください」

と言えば、「駄目だ」と一言で会話を切った。

最悪だ。私の身の上話なんて興味もないくせに。

「説明、新入生」

見目が良くても、この人駄目だわ。
圧が強すぎる。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に仕立て上げられたので領地に引きこもります(長編版)

下菊みこと
恋愛
ギフトを駆使して領地経営! 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に

ゆっこ
恋愛
 王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。  私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。 「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」  唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。  婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。 「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」  ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

攻略対象者の婚約者を持つ姉の代わりに、エンディングを見てきました

犬野きらり
恋愛
攻略対象者の婚約者を持つ姉の代わりに、エンディングを見てきました… というタイトルそのままの話です。 妹視点では、乙女ゲームも異世界転生も関係ありません。 特に私(主人公)は出しゃ張たりしません。 私をアピールするわけでもありません。 ジャンルは恋愛ですが、主人公は恋愛していません、ご注意下さい

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

【完結】婚約破棄はいいのですが、平凡(?)な私を巻き込まないでください!

白キツネ
恋愛
実力主義であるクリスティア王国で、学園の卒業パーティーに中、突然第一王子である、アレン・クリスティアから婚約破棄を言い渡される。 婚約者ではないのに、です。 それに、いじめた記憶も一切ありません。 私にはちゃんと婚約者がいるんです。巻き込まないでください。 第一王子に何故か振られた女が、本来の婚約者と幸せになるお話。 カクヨムにも掲載しております。

前世の記憶を思い出したら、なんだか冷静になってあれだけ愛していた婚約者がどうでもよくなりました

下菊みこと
恋愛
シュゼットは自分なりの幸せを見つける。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...