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第八話 炎の化身
戦いの果てに
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「や、やった……」
ナガレは全力を出し尽くして、ばったりと地面に倒れてしまう。しかしその顔は晴れやかだ。
「やったんだな、俺たち……」
「ええ、勝ったのよ~……!」
「やったぁーーーーッ!」
数分後、気力が戻ってきたナガレは立ち上がる。大喜びしているタネツたちをよそに、事切れたサラマンダーに軽く頭を下げた。
「……ありがとな。お前のこと、忘れないよ」
そう言って、大きな頭に手を置く。まだ炎の熱が残っている……この試練を超えて自分は、また一つ強くなれただろうか。
そんなことを考えていると……突如空間に違和感を感じて、ナガレは上を向く。
「ん……?」
ぐったりして動かないサラマンダーの頭部から、何やら半透明の魂のようなものが飛び出した。しばらく周囲をふよふよ浮遊していたが、やがて空へ登っていき消えてしまう。
(またアレだ……ガラガラマムシの時と似てるな)
「……ナガレ」
「え、ジョー?」
声に振り向くと、すぐ後ろにジョーがいた。ナガレの方を見ず、ただ虚空を見つめている。
「さっきの……お前も見たのか。あの魂を」
「お、おう、見たけど……でも、一体何なんだろうなアレ?」
「分からん……だが、嫌な感じかするな。あんなものは今まで見たことがない。それに、紫色の炎……これには見覚えがある」
「え、そうなのか?」
ナガレが詳しく聞こうとした、その時……。
「…………ぉぉーぃ」
「んっ?」
遠くから声が聞こえて、ナガレは視線を戻した。見れば地平線の向こうから、なにやら大勢の人がやって来る。
「……おーーい! 大丈夫かーっ」
「ありゃ? あいつらもしかして、冒険者か」
全員もれなくご大層な鎧を着込んで、剣やら斧やら弓やら武器を背負っている。
「サラマンダーの噂を聞きつけて、討伐隊が来たのだろう。……ううむ」
ジョーは何やら困った様子。ピンと来たナガレはトレードマークの深緑スカーフを首から外し、ジョーに手渡した。
「これ、頭にターバンみたく巻いとけよ。ちょっと汗しみてるけど、口元まで隠せばバレないって」
「……助かる」
器用にスカーフを頭に巻き、黒マスクの上からさらに顔を隠す。これで正体は誰にも分からないだろう。
「…………んで、そんなことがあったんですよ」
そうしてやって来た15人くらいの冒険者たちに、ナガレは事情を説明していた。討伐隊のリーダーである長身の男は、話にいちいち「へえ!」とか「ほう!」とか大袈裟なリアクションを取ってくれる。
「正直、Cランクの烏合の衆がサラマンダーを倒したなんて信じられんが……この状況で、誰かが助けてくれる訳ないよな。いやはや、こりゃ期待のルーキーたちだな!」
「へへへ、それほどでも~♪」
格上に褒められて、恥ずかしいような嬉しいような、ふわふわした気分だ。……ふと、何人かの冒険者がこちらをチラチラ見ながら何か話しているのに気がついた。
(……あ! 何ヶ月か前に勧誘してた時、アイツらのこと見たぞ)
そう、タイガスにてナガレが勧誘した冒険者たちだ。……サラマンダーの討伐に駆り出されるところを見れば、どうやら格上だったらしい。そりゃ入ってくれないわけである。
(ふふん、どうだ! 勧誘を受けなかったこと、後悔しても遅いぞっ)
気持ち胸を張るナガレ。ここでリーダーの男が、ナガレの後ろで黙りこくっているジョーに気がついた。
「……ん? お前さんの目、どっかで見たような……」
「……人違いでしょう。目元で人を判断するのは難しいのではないですか」
スカーフで髪まで覆っているジョーだったが、目元だけでピンとこられるとは……ラグナロク所属時代はさぞ有名人だったのだろう。
「……ま、いいや。それじゃあ、うーん……一応俺たちに報酬が出てるんだが、そこはどうする? 俺たちも報酬欲しいんだが……」
「ああ、それは大丈夫。報酬は全部そっちが持ってって良いよ! だけどサラマンダーの死骸はこっちが貰ってくから。あと『サラマンダーを倒したのはバッファローの冒険者だ』って事、みんなに伝えといてくれよ」
「よし、分かった。約束しよう」
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